3Dゲームの個人開発を進めるにあたり、モデル制作への理解を深めたいと思っていたので、最近盛り上がっているVRChatの関連技術を学び始めました。
VRChat自体は、VTuberブーム最初期の2018年頃に少し触って以降ひさしぶりにプレイしました。当時はHTC Vive、いまはMeta Quest 3で遊んでいます。マシンスペックの強化による画面解像度の驚きもありましたが、今回試したモデル導入プロセスがかなり簡易化されていることに驚きました。
2018年当時も導入に挑戦したことがありましたが、もっと手順が複雑だった気がします。いまはVCC (VRChat Creator Companion)経由でUnityを開いて、モデルを配置し、コントロールパネルでアカウントにログインし、モデルをアップロードして完了。めちゃくちゃ簡単です。
今回VRChatを再開した動機は「3Dモデル制作への理解を深めること」で、下記の順番で勉強を進めていこうと考えています。
- 既存の販売キャラをベースにして基礎的な改変+ギミック組み込みをしてみる ※基本仕様の理解
- VRoidの3DモデルアバターをVRChatにつれてくる ※ゼロからのテクスチャ作成など実践的な制作知識の習得
- Blenderによるフルスクラッチモデル制作
現在は1と2のプロセスを並行して進めています。今回は1の備忘録です。
セール中の「マヌカ」ちゃんモデルと、対応する服と髪を購入し、初めてのVRChatアバター導入と改変(瞳の描き変えと色変更)ができました。導入に際して参考になったサイトやミスした部分などを記録します。
目次
1. ベースモデル「マヌカ」購入と導入
今回ベースモデルとして購入したのは、Studio DINGOさんの人気モデル「マヌカ」です。
ちょうどモデルを探していたときに、作者のDINGOさんがXで50%OFFのブラックフライデーセールを実施してくれていたのが決め手になりました。さすが人気モデル。クオリティ高いです。
Boothでは、個々のクリエイターさんたちが各々のタイミングで今回のようなセールを実施してくれるようです。気に入ったモデルを見つけたら、作者さんのXアカウントなどを登録しておくと良さそうですね。
具体的な導入手順については、「メタカル最前線」さんの下記の記事が参考になりました。
画像を交えながら、これ以上ないくらい丁寧な解説で助かりました。
【徹底解説】VRChatのアバターアップロード・導入方法。困ったときのトラブルシューティング付き | メタカル最前線
VCC (VRChat Creator Companion)について
この導入プロセスで感動したのはVCCです。VRChat向けのコンテンツ制作を支援する公式ツールなのですが、制作対象を「Avatar」か「World」に指定してUnityプロジェクトを新規作成する ことができるのでセットアップが非常にラク。
UnityHubからプロジェクトを新規作成して、PackageManagerからVRChat関連のコンポーネントをインストールして~という手順がなくてストレスがないです。管理画面もUnityHubのレイアウトと似ているし、ProjectTypeでAvatarかWorldかすぐに見分けがつくので管理がしやすい。良いですね。
2. モデルの改変をしてみる (服装の購入)
服装アセットは3Dキャラにフィットさせるために微調整が必要になるのが常ですが、マヌカちゃんのような有名モデルの場合、あらかじめマヌカちゃんのモデルに最適化された「マヌカ対応」商品が販売されています。
元気で明るいマヌカちゃんですが、今回は落ち着いた&少しミステリアスなキャラに改変をしたいと考えていたので、服装は少し大きめのテックウェアが良いなとBoothを探していました。
そして購入したのが、hajimata雑貨店さんの「マヌカ対応衣装 Tech Wear」です。
偶然にも服装を探していたその日に発売された衣装でした。素晴らしいクオリティ!
ケモミミなどはシルエット的に面白いので残しても良かったのですが、髪の毛も次に購入したかったので今回は非表示。購入したテックウェアをヒエラルキーに配置して完了!簡単!
なお、服装の導入方法についても先述した「メタカル最前線」さんの記事を参考にしました。わかりやすい!
【2024年最新版】 VRChat初心者必見!BOOTHで買った衣装をUnityで簡単に改変(カスタマイズ)する方法を解説 | メタカル最前線
導入時のミス
Techwearに付属されていた防弾メガネの配置位置をミスってました。
服と同じ階層に配置するとメガネが体に追従するため、頭のなかに埋まってしまいます。
頭に追従させたい場合は、ArmatureのなかのSpine(背骨)、Chest(胴体)、Neck(首)、Head(頭)、Manuka_hair_rootと同階層に配置しておけば頭や髪と一緒に動きます。
3. 瞳と服の色の改変
購入したアセットの配置はできたので、次は瞳の描き変えと服装の色を変更しました。
瞳の描き変え方法にはいくつかの方法があり、服装と同じようにBoothで瞳テクスチャを購入して差し替えるという方法が最も簡単そうです。
ですが今回は、将来的なモデル制作の練習として、マヌカちゃんのテクスチャに加筆する形で瞳を修正してみました。
具体的には、マヌカちゃんの顔のテクスチャファイルを作業用フォルダにコピーし、そちらでPhotoshopとクリスタを使って瞳を加筆。出来上がったものをpng形式で出力して元々のフォルダに同名ファイルとして上書きするという方法です。こうすると、Unityが自動的に参照を更新してくれるので、すぐに変更を反映することができます。
瞳のテクスチャを更新したとき「あれ?」と思いました。
ハイライトやクローバーの柄は、クリスタ編集中に削除したはずです。
どうして表示されてるの?
正体はシェイプキーでした。各モデルにはキャラクターの目の開き具合などを微調整できるパラメータが用意されています。今回のハイライトもシェイプキーの設定を変更することで上手く隠すことができました。つまりハイライトテクスチャは消す必要がなかったということですね。
落ち着いた雰囲気にしたかったので、シェイプキーで瞼を少し下げました。それと瞳の怪しさを強調したかったので、瞳孔をダイヤ型から小さな丸に変更。シェイプキー便利ですね。
瞳を緑色にしたので、服の色合いを黒から紺色に変更しました。
全体の色合いを変更したかっただけなので、服テクスチャの上に青色のレイヤーを合成したものを再出力して置き換えただけです。胸元や背中に模様を加筆しても面白そうだなと思います。
だいぶイメージに近づいてきました。
髪型の変更
「マヌカ対応モデル」ですぐにイメージにあった髪型を見つけることができました。マヌカちゃん人気に感謝。
今回購入したのは、かやすとあさんの「みみだしボブ」です。
オリジナルマヌカちゃんの団子髪シルエットも面白いですが、ボブの落ち着いたシルエットが今回は合いそうです。
リボンは消すか迷ったけど、シルエット出したかったので、逆に最大サイズに変更。
導入時のミスとして、今回のボブをシーンに配置してフィットさせようとしたら下記のエラーが発生しました。髪の毛の構造にズレがあると適用できないっぽい?
そんなときは髪の毛に「MA Bone Proxy」をアタッチして、Bone referenceを「Head」にすると追従するようになります。これで設定が完了しているので、再度「Setup Outfit」を適用する必要はありません。
まとめ
今回は「はじめてのVRChatモデル導入 」ということで、モデルと関連衣装の購入と導入、瞳テクスチャの描き変えと色の変更を一気に進めることができました。VCCとBoothと各解説サイトの丁寧な説明に感謝です。
マヌカちゃんについても、当初のイメージしてた「落ち着いてる+ミステリアス」な改変ができた気がします。
Blenderによるフルスクラッチ制作の夢はまだまだ先ですが、今回のような改変を続けつつ、VRoidで3Dテクスチャ編集への理解度を少しずつ高めながら学習を続けていけば、いずれ到達できそうかなって感じました。
何より、今回の改変がシンプルに面白かったので、これからもマイペースに進めていこうと思います。次回は「ギミック組み込み」に挑戦予定です!
おまけ 初自作ワールド
「World作成するならアスレチックでしょ」で事故る人の図。
VRChatのワールド制作では、「移動床の上にキャラを乗せる」というのが至難の業らしく、どうしても実現できませんでした。ついつい忘れがちですが、VRChatはオンラインゲームなのでインスタンス内の各プレイヤーの位置を同期する必要があるんですよね。
椅子に座らせるなどすれば擬似的に回避できますが、通常のゲーム開発のように純粋なコリジョン床を配置しただけだと、床が動いてもプレイヤー位置が更新されず、そのまま下に滑り落ちてしまうようです。
結構テクニカルな実装方法はあるようですが、いずれにせよ採用例が少ないので、まずは基礎的なワールドから順番に学んでいこうと思います。