
RPGツクールMVやRPGツクールMZでゲームを作成する際、特定の条件を満たすと道が開ける、といったギミックを実装したくなることがありますよね。例えば、ボスを倒したり、仕掛けを解いたりした後に、それまで通れなかった場所に床が出現して 進めるようになる、といった演出です。
このような「スイッチをONにすると出現する床」は、プレイヤーに達成感を与え、探索の幅を広げる効果的なギミックとなります。
この記事では、RPGツクールMV/MZで、特定のスイッチがONになった時にイベント機能を使って床(足場)を出現させ、通行可能にする具体的な作り方を解説します。
この記事の内容
なぜ「イベント」で床を作るのか?(概要説明)
RPGツクールでは、マップの基本的な地形や壁などは「タイル」を配置して作成します。しかし、マップに配置したタイルそのものは、基本的に静的なものであり、ゲーム中のスイッチや変数の状態によって表示を切り替えたり、消したりすることはできません。
そのため、今回のような「特定の条件(スイッチON)で出現する床」のような動的な仕掛けは、「イベント」機能を使って 実装する必要があります。イベントであれば、出現条件を設定したり、表示する画像を指定したり、通行設定を制御したりすることが可能です。
この記事では例として、ゲーム内のスイッチ「#0001_通行床表示」がONになった時に、指定した場所に床タイルが表示され、通行可能になるように設定していきます。
イベントで床タイル画像を使うための「タイルセット」編集
まず、出現させたい床のグラフィックをイベントの画像として設定する準備が必要です。
マップ上で新しいイベントを作成し、画像設定を開いてみてください。おそらく、[タイルセットB](壁やオブジェクトなど)や[タイルセットC](建物の屋根など)の画像は選択できても、肝心の地面や床に使われるタイル画像がリストに表示されないことに気づくはずです。

これは、イベント画像として使用できるタイルセットがデフォルトでは限定されているためです。これを解決するには、「データベース」(ツールバーの歯車アイコンなど)を開き、「タイルセット」タブで設定を変更する必要があります。
1. データベースを開き、「タイルセット」タブを選択します。
2. 現在のマップで使用しているタイルセット(例: 001: フィールド)を選択します。
3. 右側の設定項目で、[A]タブの[A2](地面タイル)に設定されている画像シートと同じ画像ファイルを、[D]タブ(または空いている他のタブ、例: [E])にも設定します。

4. これで設定は完了です。「適用」または「OK」を押してデータベースを閉じます。
この操作により、イベントの画像設定リストに[タイルセットD](または設定したタブ)が追加され、そこから床タイルを選択できるようになります。
【重要】通行設定の確認!
タイルセット編集画面で、追加設定した床タイルの画像を選択し、左側の「通行」設定がどのようになっているか必ず確認してください。
- ◯: 通行可能
- ×: 通行不可
- ★: 通行可能(プレイヤーより上に表示)
出現させたい床タイルが「×」(通行不可)になっていると、イベントで床が表示されてもプレイヤーはその上を歩くことができません。必ず「◯」(または状況 に応じて★)に設定されているか確認し、もし×だったらクリックして◯に変更しておきましょう。
スイッチで出現・通行可能になる床イベントの設定手順
タイルセットの準備ができたら、床を出現させるイベントを作成します。設定は非常にシンプルです。
1. 床を出現させたいマップ上のマスを右クリックし、「イベントの作成」を選択します。
2. イベントエディターが開いたら、まず1ページ目(初期状態のページ)は、画像などを何も設定せず、基本的にそのままの状態にしておきます。ただし、以下の2点は確認・設定してください。
- オプション: 「すり抜け」のチェックがオフになっていることを確認します。(チェックが入っていると、床がない状態でもプレイヤーが通過できてしまいます)
- プライオリティ: 「通常キャラの下」を選択します。(これにより、後で床が出現したときにプレイヤーがその上を歩けます)
(※トリガーはデフォルトの「決定ボタン」のままで問題ありません。実行内容も空のままでOKです。)

3. 次に、イベントエディター上部の「EVページ作成」ボタンをクリックし、2ページ目を作成します。
4. 2ページ目で、床が出現した状態を設定します。
- 出現条件: 左側の「出現条件」欄で「スイッチ」にチェックを入れ、対象のスイッチ(例: #0001_通行床表示)が「ON」であることを指定します。
- 画像: 左下の「画像」欄をダブルクリックし、タイルセット選択画面を開きます。先ほどタイルセット編集で選択可能になった床タイル(例: [タイルセットD]から)を選び、「OK」をクリックします。
- オプション: 1ページ目と同様に、「すり抜け」はオフのままにします。
- プライオリティ: 1ページ目と同じく「通常キャラの下」を選択します。
(※トリガーや実行内容は、このページも基本的にそのままでOKです。)

5. これでイベントの設定は完了です。「OK」を押してイベントエディターを閉じます。
6. 作成した「出現床」イベントをコピー(Ctrl+C または Cmd+C)し、床を出現させたい他のマスに ペースト(Ctrl+V または Cmd+V)して配置していきます。

ゲームをテストプレイし、指定したスイッチ(例: #0001_通行床表示)をONにするイベントを実行すると、イベントを配置した場所に床が出現し、その上を歩けるようになっているはずです。

以上で、スイッチ操作によって出現する通行可能な床の実装は完了です。
まとめ:イベント活用で動的なマップを作ろう
この記事では、RPGツクールMV/MZで「スイッチがONになると出現する床」をイベント機能を使って実装する基本的な方法を解説しました。
ポイントは以下の通りです。
- タイル自体は動的に変更できないた め、「イベント」として床を作成する。
- イベント画像で床タイルを使うために、事前に「データベース」で「タイルセット」設定を変更しておく必要がある。
- タイルセット編集時には、床タイルの「通行設定」が「◯(通行可能)」になっているか確認する。
- イベントは2ページ構成にし、1ページ目は空白(スイッチOFF時)、2ページ目は出現条件(スイッチON)と床画像、オプション(すり抜けOFF、プライオリティ通常キャラの下)を設定する。
このテクニックを使えば、ボス撃破後に新たな道が開けたり、仕掛けを解くことで隠し通路が出現したりと、プレイヤーの行動によってマップが変化する、よりダイナミックなゲームを作ることができます。ぜひ、あなたの作品作りに活用してみてください!