【Blender】アニメーション基礎 - キーフレームとグラフエディタを制覇する

作成: 2025-12-08

Blenderでのアニメーション制作の第一歩、キーフレームの概念と、動きに生命を吹き込むグラフエディタの基本的な使い方を徹底解説。

概要

Blenderで静的な3Dモデルに生命を吹き込み、動きを与えるプロセスが「アニメーション」です。オブジェクトを動かす基本から、キャラクターを歩かせたり、複雑な機械を動作させたりと、その可能性は無限大です。Blenderのアニメーションシステムの核心には、「キーフレーム」という概念と、その動きを精密に制御するための「グラフエディタ」が存在します。

この記事では、静的なモデリングから一歩進んで、オブジェクトに動きを与えたいと考え始めた初心者から中級者の方へ向けて、アニメーションの基本的な考え方であるキーフレームの打ち方から、動きの質を劇的に向上させるグラフエディタの活用法までを、分かりやすく解説します。

アニメーションの心臓部:キーフレーム

アニメーションとは、パラパラ漫画と同じ原理です。少しずつ変化する静止画(フレーム)を連続して表示することで、動いているように見せています。Blenderでは、この「特定のフレーム」におけるオブジェクトの状態(位置、回転、スケールなど)を記録します。この記録された情報のことをキーフレームと呼びます。

例えば、オブジェクトを左から右へ動かす場合、以下のようにキーフレームを設定します。

  1. 1フレーム目: オブジェクトを左端に配置し、その位置情報をキーフレームとして記録します。
  2. 100フレーム目: オブジェクトを右端に配置し、その位置情報をキーフレームとして記録します。

これだけで、Blenderは1フレーム目から100フレーム目までの間の動きを自動的に「補間」し、滑らかに移動するアニメーションを生成してくれます。

キーフレームの打ち方

キーフレームを打つ最も簡単な方法は、ショートカットキーIを使うことです。

  1. タイムラインでキーフレームを打ちたいフレームに移動します。
  2. 3Dビューポートでオブジェクトを目的の状態(位置、回転、スケール)にします。
  3. オブジェクトを選択した状態でIキーを押し、表示されるメニューから記録したいプロパティ(例:「位置」「回転」「スケール」など)を選択します。

キーフレームが打たれると、タイムラインとそのプロパティの色が黄色に変わります。

動きに魂を宿す:グラフエディタ

キーフレームを打つだけで基本的なアニメーションは作成できますが、その動きは非常に機械的で、いわゆる「等速直線運動」になりがちです。現実世界の動きには「タメ」や「ツメ」といった緩急があります。このような自然で生き生きとした動きを作り出すための強力なツールがグラフエディタです。

「Animation」ワークスペースに切り替えると、グラフエディタが表示されます。これは、オブジェクトのプロパティの変化を時間の経過と共にグラフとして視覚化したものです。

  • 横軸: 時間(フレーム)
  • 縦軸: プロパティの値(例:X軸の位置)

補間モードの変更

キーフレーム間の動きの補間方法は、グラフエディタで変更できます。キーフレームを選択してTキーを押すと、補間モードのメニューが表示されます。

補間モード説明
リニア (Linear)一定の速度で変化します。機械的な動きに適しています。
ベジェ (Bezier)最も柔軟なモード。ハンドルを調整することで、動きの緩急を自由にコントロールできます。
コンスタント (Constant)次のキーフレームまで値を維持し、瞬時に変化します。オブジェクトの出現・消滅などに使います。

ベジェハンドルによる緩急のコントロール

補間モードを「ベジェ」にすると、キーフレームのポイントからハンドル(制御棒)が表示されます。このハンドルの角度や長さを調整することで、グラフのカーブを変化させ、動きのスピードを直感的にコントロールできます。

  • ハンドルを水平にする: カーブが水平になるため、その点での速度がゼロになります。ゆっくりと動き始め、ゆっくりと停止する「イーズイン・イーズアウト」の効果が得られます。
  • ハンドルを垂直に近づける: カーブが急になるため、その点での速度変化が激しくなります。

例えば、ボールがバウンドするアニメーションでは、地面に衝突する直前でカーブを急にし(加速)、最高点ではカーブを水平にする(一瞬停止する)ことで、非常にリアルな動きを表現できます。

まとめ

Blenderのアニメーション制作は、キーフレームとグラフエディタという2つの強力なツールによって支えられています。これらの基本をマスターすることが、魅力的なアニメーションを生み出すための第一歩です。

  • キーフレーム: アニメーションの「重要な瞬間」を記録する点。Iキーで簡単に設定できる。
  • 自動補間: Blenderがキーフレーム間を滑らかに繋いでくれる。
  • グラフエディタ: 動きの「質」をコントロールする場所。グラフのカーブが動きの速度を表す。
  • ベジェ曲線: ハンドル操作で、動きに「タメ」や「ツメ」といった自然な緩急を与えることができる。

まずは単純な立方体を動かすことから始め、グラフエディタでカーブを様々に変化させてみてください。カーブの形とオブジェクトの動きがどのように連動するかを体感的に理解することが、アニメーションマスターへの近道です。