【Blender】グリースペンシル入門 - 2D/3D描画の融合で新しい表現を

作成: 2025-12-08

Blenderのグリースペンシル機能を完全解説。2Dアニメーション、3Dスペースへの描画、2D/3D混合表現など、グリースペンシルが開く無限の可能性を初心者向けに紹介。

概要

Blenderは、3Dモデリングとアニメーションのための強力なツールとして知られていますが、実は2D描画・アニメーション機能も搭載しています。それが「グリースペンシル」です。

グリースペンシルは、デジタル漫画制作、2Dアニメーション制作、3Dシーンへのアノテーション(注釈)追加、さらには3Dモデルと2D描画を組み合わせた独創的な表現まで、多岐にわたる用途に対応できる、非常に柔軟で強力な機能です。

この記事では、グリースペンシルの基本的な使い方から、簡単なアニメーション制作、そして3Dとの融合表現まで、初心者から中級者の方がグリースペンシルの世界に足を踏み入れるための基礎知識を解説します。

グリースペンシルオブジェクトの作成

グリースペンシルを使い始めるには、まずグリースペンシルオブジェクトを作成する必要があります。

  1. Shift + Aキーでオブジェクト追加メニューを表示します。
  2. 「グリースペンシル」を選択し、用途に応じたプリセット(「2D アニメーション」「3D スケッチ」など)を選択します。

「2D アニメーション」を選択すると、正面図(フロントビュー)で描画するのに最適化された環境が自動的に設定されます。

描画ツールの基本

グリースペンシルオブジェクトを選択した状態で、左側のツールバーから描画ツールを選択します。

ツール用途
ペンシル (Pencil)基本的な描画ツール。手描きのような自然な線を描きます。
ブラシ (Brush)より太く、柔らかい線を描きます。
消しゴム (Eraser)描いた線を消します。
直線 (Line)直線を描きます。Shiftキーを押しながら使うと、より正確に描けます。
ポリゴン (Polygon)多角形を描きます。
円 (Circle)円を描きます。

ブラシの設定

  • サイズ: Fキーを押しながらマウスをドラッグして調整します。
  • 強さ: Shift + Fキーを押しながらマウスをドラッグして調整します。
  • : 左側のツールバーにある色見本をクリックして、描画色を選択します。

レイヤーの管理

グリースペンシルでは、複数のレイヤーを使用して、異なる要素を分離して管理できます。例えば、「背景」「キャラクター」「エフェクト」といったように、レイヤーを分けることで、後から個別に編集・アニメーションを追加できます。

レイヤーの追加:

  1. プロパティエディタの「グリースペンシルプロパティ」タブを開きます。
  2. 「レイヤー」セクションで、「+」ボタンをクリックして新しいレイヤーを追加します。
  3. 各レイヤーに分かりやすい名前を付けます。

簡単なアニメーション制作

グリースペンシルでアニメーションを作成する基本的なワークフローは、従来の手描きアニメーションと同じです。

  1. フレーム1: キャラクターの最初のポーズを描きます。
  2. フレーム5: キャラクターの次のポーズを描きます(キーフレームを設定)。
  3. フレーム10: さらに次のポーズを描きます。
  4. 再生: タイムラインで再生すると、各フレーム間が自動的に補間され、アニメーションが完成します。

キーフレームの設定: 描画後、Iキーを押してキーフレームを設定するか、プロパティエディタから「グリースペンシルキーフレーム」を追加します。

3Dスペースへの描画

グリースペンシルの強力な特徴の一つが、3Dスペースに直接描画できることです。これにより、3Dモデルの上に2D的な描画を重ねることで、ユニークな視覚効果を作り出せます。

3Dスケッチモード:

  1. グリースペンシルオブジェクトを選択し、描画ツールを選択します。
  2. 3Dビューポートで、マウスカーソルを3D空間内に移動させながら描画します。
  3. 描画は、カメラから見た位置に、3D空間内に配置されます。

このアプローチにより、3Dモデルの周囲に説明的な矢印やテキスト、装飾的な要素を追加することができます。

2D/3D混合表現

グリースペンシルの最も創造的な使い方の一つが、3Dレンダリングと2D描画を組み合わせることです。例えば、3Dで作成した背景に、手描きのキャラクターを重ねたり、3Dモデルの一部を手描きで修正・強調したりすることができます。

コンポジターとの組み合わせ:

  1. グリースペンシルを含むシーンをレンダリングします。
  2. コンポジターで、レンダリング結果とグリースペンシルレイヤーを合成します。
  3. 色調補正やエフェクトを追加して、最終的な見た目を調整します。

まとめ

グリースペンシルは、Blenderの3D機能と2D描画機能を融合させた、非常にユニークで強力なツールです。

  • 基本的な描画: ペンシル、ブラシ、消しゴムなどのツールで、直感的に描画できる。
  • レイヤー管理: 複数のレイヤーを使用して、要素を分離・管理できる。
  • アニメーション: 従来の手描きアニメーションと同じワークフローで、2Dアニメーションを制作できる。
  • 3D描画: 3Dスペースに直接描画することで、ユニークな表現が可能。
  • 2D/3D融合: 3Dレンダリングと2D描画を組み合わせて、新しい表現を生み出す。

グリースペンシルは、従来の3DCGの枠を超えた、新しい表現の可能性を開きます。アニメーション、イラスト、デザイン、VFXなど、様々な分野での活用が期待できます。ぜひ、この強力なツールを使いこなして、あなたの創造性を存分に発揮してください。