【Blender】ライティングの基礎 - リアルな光と影を作る

作成: 2025-12-06

Blenderでリアルで美しいライティングを実現するための基本知識と実践方法

概要

3Dシーンの見栄えを決定づける最も重要な要素の一つが「ライティング」です。どれだけ優れたモデルやマテリアルを作っても、ライティングが悪ければ魅力が半減します。この記事では、Blenderでリアルなライティングを実現するための基礎知識を解説します。

ライトの種類

Blenderには4種類の基本ライトがあります。Shift + A → 「ライト」から追加できます。

ライト特徴主な用途
ポイント点から全方向に光を放射電球、ランプ、キャンドル
サン平行光線、無限遠から照射太陽光、屋外シーン
スポット円錐状に光を放射スポットライト、懐中電灯
エリア面から光を放射、ソフトな影窓からの光、スタジオ照明

各ライトの設定

プロパティ → ライト(電球アイコン)で詳細設定が可能です。

共通設定:

  • カラー - 光の色
  • パワー - 光の強度(ワット単位)

スポットライト固有:

  • サイズ - 光の広がり角度
  • ブレンド - 光の境界のぼかし

エリアライト固有:

  • 形状 - 矩形、楕円、正方形、円盤
  • サイズ - 光源の大きさ(大きいほど影がソフト)

3ポイントライティング

映画や写真で使われる基本的なライティング手法です。

1. キーライト(主光源)

  • 最も強い光源
  • 被写体の斜め前方(45度程度)に配置
  • シーン全体の明るさを決定

2. フィルライト(補助光)

  • キーライトの反対側に配置
  • キーライトより弱い(50%程度)
  • 影を和らげる役割

3. バックライト(逆光)

  • 被写体の後方に配置
  • 輪郭を強調し、背景から浮き立たせる
  • リムライトとも呼ばれる

配置のコツ

      [バックライト]
           ↓
      [被写体]
     ↙      ↘
[キー]      [フィル]
(強)         (弱)

HDRIを使った環境光

HDRI(High Dynamic Range Image)を使用すると、写実的な環境照明を簡単に実現できます。

HDRIの設定方法

  1. シェーダーエディター → 「ワールド」に切り替え
  2. 「追加」→「テクスチャ」→「環境テクスチャ」
  3. 「開く」でHDRI画像を選択
  4. 環境テクスチャのカラー → ワールド出力の背景

無料HDRIの入手先

影の制御

リアルな影はシーンに深みを与えます。

ソフトシャドウとハードシャドウ

  • ソフトシャドウ: エリアライト、大きな光源で生成
  • ハードシャドウ: ポイントライト、小さな光源で生成

実際の影は多くの場合ソフトなので、エリアライトの使用が推奨されます。

影の濃さを調整

Cyclesの場合:

  • ライトのパワーを調整
  • フィルライトで影の部分を明るく

Eeveeの場合:

  • ライト設定 → 「影」→「ソフトネス」を調整

ライティングのコツ

1. 現実を観察する

日常の光の当たり方を観察し、参考にしましょう。

2. 光源の色を意識

  • 朝夕: オレンジ〜赤みがかった色
  • 日中: やや青みがかった白
  • 室内灯: 電球色(暖色)または蛍光灯(寒色)

3. コントラストを活用

明るい部分と暗い部分の差を意識することで、ドラマチックな表現が可能です。

4. 光源を見せない

実際のライトオブジェクトがカメラに映らないように配置すると自然に見えます。

よくある問題

シーンが暗すぎる

以下を試してみましょう。

  • ライトのパワーを上げる
  • HDRIの強度を調整
  • レンダー設定でエクスポージャーを調整

影が真っ黒になる

以下を試してみましょう。

  • フィルライトを追加
  • 環境光(HDRI)を追加
  • Eeveeの場合、アンビエントオクルージョンを有効化

光がリアルに見えない

以下を試してみましょう。

  • エリアライトを使用してソフトシャドウに
  • 光源のサイズを現実に合わせる
  • 複数の光源を使用

まとめ

  • 4種類のライト: ポイント、サン、スポット、エリア
  • 3ポイントライティング: キー、フィル、バックの基本構成
  • HDRI: 簡単にリアルな環境光を実現
  • エリアライト: ソフトシャドウで自然な影

ライティングはレンダリング結果を大きく左右する要素です。基本を押さえた上で、様々なシチュエーションを試してみましょう。