概要
3Dモデルに質感(金属、プラスチック、木材など)を与えるのがマテリアルです。Blenderはノードベースのシェーディングシステムを採用しており、物理ベースレンダリング(PBR)に対応しています。この記事では、マテリアルの基本とPBRワークフローについて解説します。
マテリアルとは?
マテリアルは、オブジェクトの表面がどのように光を反射・吸収するかを定義する設定です。
- 色(Color): 表面の基本色
- 反射(Reflection): 光の反射の仕方
- 粗さ(Roughness): 表面のザラつき
- 金属感(Metallic): 金属か非金属か
マテリアルの追加
- オブジェクトを選択
- プロパティ → マテリアル(球体アイコン)
- 「新規」をクリック
これで新しいマテリアルが作成され、オブジェクトに割り当てられます。
シェーダーエディター
より詳細なマテリアル設定にはシェーダーエディターを使用します。
開き方:
- 上部の「Shading」ワークスペースを選択
- または任意のエリアで「エディタータイプ」→「シェーダーエディター」
ノードをつなげてマテリアルを構築します。
PBRワークフローとは?
PBR(Physically Based Rendering:物理ベースレンダリング)は、現実世界の物理法則に基づいてマテリアルを設定する手法です。
メリット:
- リアルな見た目が得られる
- どのような照明環境でも自然に見える
- 業界標準なので他のソフトとの互換性が高い
プリンシプルBSDFノード
BlenderのPBRマテリアルの中心となるノードです。デフォルトで新規マテリアルに追加されています。
主要なパラメータ
| パラメータ | 説明 | 範囲 |
|---|---|---|
| ベースカラー | 表面の色 | 色 |
| メタリック | 金属度(0=非金属、1=金属) | 0-1 |
| 粗さ | 表面の粗さ(0=鏡面、1=マット) | 0-1 |
| IOR | 屈折率(ガラス等に使用) | 1.0-2.5 |
| 伝播 | 透明度(ガラス等に使用) | 0-1 |
| 発光 | 自己発光の色と強度 | 色と強度 |
よく使う設定例
| 素材 | メタリック | 粗さ |
|---|---|---|
| プラスチック | 0 | 0.3-0.5 |
| 木材 | 0 | 0.5-0.8 |
| 磨かれた金属 | 1 | 0.1-0.2 |
| 錆びた金属 | 1 | 0.6-0.8 |
| ガラス | 0 | 0(伝播=1) |
| ゴム | 0 | 0.8-1.0 |
テクスチャの適用
より詳細な質感を表現するにはテクスチャ(画像)を使用します。
画像テクスチャノードの追加
- シェーダーエディターで
Shift + A - 「テクスチャ」→「画像テクスチャ」
- ノードの「開く」 で画像ファイルを選択
- カラー出力をプリンシプルBSDFの対応する入力に接続
よく使うテクスチャマップ
| マップ | 接続先 | 説明 |
|---|---|---|
| ディフューズ/アルベド | ベースカラー | 基本色 |
| ラフネス | 粗さ | 表面の粗さ |
| メタリック | メタリック | 金属/非金属部分 |
| ノーマル | ノーマル | 疑似的な凹凸 |
| AO(アンビエントオクルージョン) | 掛け合わせ | 影の強調 |
ノーマルマップの接続
ノーマルマップは直接接続せず、「ノーマルマップ」ノードを経由します。
- 「テクスチャ」→「画像テクスチャ」を追加
- 「ベクトル」→「ノーマルマップ」を追加
- 画像テクスチャのカラー → ノーマルマップのカラー
- ノーマルマップのノーマル → プリンシプルBSDFのノーマル
- 画像テクスチャの色空間を「Non-Color」に設定
テクスチャの入手先
PBRテクスチャを無料で入手できるサイト:
- Poly Haven: https://polyhaven.com/
- ambientCG: https://ambientcg.com/
- Texture Haven: https://texturehaven.com/
よくある問題
テクスチャが表示されな い
ビューポートシェーディングを「マテリアルプレビュー」か「レンダー」に切り替えましょう(Z キー)。
テクスチャが歪んでいる
UVマッピングを確認・修正しましょう。
色が正しくない
色空間設定を確認しましょう。色テクスチャはsRGB、データテクスチャはNon-Colorに設定します。
まとめ
- マテリアル: オブジェクトの質感を定義
- プリンシプルBSDF: PBRマテリアルの基本ノード
- メタリック・粗さ: 素材感を決める2大パラメータ
- テクスチャマップ: より詳細な質感表現に使用
PBRマテリアルを理解することで、リアルで説得力のある3Dシーンを作成できるようになります。