【Blender】モデリングの基本 - 基本プリミティブから複雑な形状を作る

作成: 2025-12-06

Blenderの基本プリミティブを組み合わせて、初心者でも複雑な形状を作成できる方法を解説

概要

3Dモデリングの基本は、シンプルな形状(プリミティブ)から始めて、徐々に複雑な形状を作り上げていくことです。この記事では、Blenderで使用できる基本プリミティブと、それらを組み合わせて複雑なモデルを作成するための基本テクニックを解説します。

基本プリミティブの種類

BlenderではShift + Aでオブジェクトを追加できます。「メッシュ」カテゴリに基本プリミティブがあります。

プリミティブ特徴主な用途
立方体(Cube)6面、8頂点建物、家具、箱状のもの
球(UV Sphere)均等な緯度・経度分割頭部、惑星、丸いもの
ICO球三角形で構成スカルプト用、ローポリ球
円柱(Cylinder)上下に円形の面パイプ、柱、ボトル
円錐(Cone)底面が円、先端が尖る屋根、矢印、コーン
トーラスドーナツ形状タイヤ、リング、チューブ
平面(Plane)1枚の四角形地面、壁、背景
円(Circle)辺のみで面なし穴、パイプの断面

プリミティブ追加時の設定

プリミティブを追加した直後、画面左下に設定パネルが表示されます。ここで初期パラメータを調整できます。

例: 円柱の場合

  • 頂点数: 円の滑らかさ(8で八角形、32で滑らかな円)
  • 深度: 円柱の高さ
  • 半径: 円柱の太さ
  • フタを埋める: 上下の面を作成するか

この設定パネルは、次の操作を行うと消えてしまいます。設定を変更したい場合は、プリミティブ追加直後に調整しましょう。

基本的なメッシュ編集ツール

プリミティブを変形させて目的の形状を作るための基本ツールです。

押し出し(Extrude): E

面や辺を押し出して、新しいジオメトリを作成します。

  1. 編集モードで面を選択
  2. Eキーで押し出し
  3. マウスを動かして距離を調整
  4. クリックで確定

ループカット(Loop Cut): Ctrl + R

オブジェクトにループ状の辺を追加します。

  1. 編集モードでCtrl + R
  2. マウスを辺の上に移動(黄色いループが表示)
  3. ホイールで分割数を調整
  4. クリックで位置を確定

面の差し込み(Inset): I

選択した面の内側に新しい面を作成します。

  1. 面を選択
  2. Iキーで差し込み
  3. マウスを動かして幅を調整

ベベル(Bevel): Ctrl + B

辺を面取りして角を滑らかにします。

  1. 辺を選択
  2. Ctrl + Bでベベル
  3. ホイールでセグメント数を調整

複雑な形状を作る戦略

戦略1: ブロッキング

  1. 大まかな形状をプリミティブの組み合わせで作る
  2. 各パーツの配置とサイズを調整
  3. 細部を追加していく

例: 家を作る

  • 立方体 → 本体
  • 立方体を変形 → 屋根
  • 円柱 → 煙突
  • 平面 → ドア、窓

戦略2: サブディビジョンモデリング

  1. ローポリゴンで基本形状を作成
  2. サブディビジョンサーフェスモディファイアーで滑らかに
  3. ループカットで必要な辺を追加
  4. 頂点を調整して形状を整える

戦略3: ブーリアン

複数のオブジェクトを合成・差分・交差で結合します。

  1. 2つのオブジェクトを重ねて配置
  2. 一方にブーリアンモディファイアーを追加
  3. 合成(Union): 2つを結合
  4. 差分(Difference): 一方でくり抜き
  5. 交差(Intersect): 重なる部分のみ残す

初心者が陥りやすい失敗

失敗1: いきなり細部から作り始める

常に大きな形から始めて、徐々に細部を追加しましょう。

失敗2: 三角形が多すぎる

可能な限り四角形(クワッド)で構成しましょう。サブディビジョンがきれいにかかります。

失敗3: 面の向きがバラバラ

編集モードでShift + Nを押して法線を外側に統一しましょう。

失敗4: 重複頂点がある

Aで全選択 → M → 「距離でマージ」で重複を削除しましょう。

効率的なワークフロー

  1. リファレンス画像を用意: 作りたいものの写真や絵を用意
  2. 大きな形から: プリミティブで大まかな形を作る
  3. ミラーを活用: 対称なものはミラーモディファイアーで半分だけ作る
  4. こまめに保存: Ctrl + Sを習慣に
  5. プレビューを確認: サブディビジョンを適用前にプレビューで確認

まとめ

  • プリミティブ: 立方体、球、円柱など基本形状からスタート
  • 押し出し・ループカット: 形状を発展させる基本操作
  • ブロッキング: 大きな形から始めて細部へ
  • 四角形優先: クリーンなメッシュを心がける

最初は複雑なモデルに挑戦せず、シンプルなオブジェクト(コップ、椅子、テーブルなど)から練習することをお勧めします。