概要
Blenderには「Cycles」と「Eevee」という2つのレンダリングエンジンが搭載されています。それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けることが重要です。この記事では、両エンジンの違いと、最適な設定方法について解説します。
Cyclesとは?
Cyclesは物理ベースのパストレーシングレンダラーです。
特徴
- フォトリアリスティック: 光の物理的な挙動をシミュレート
- 正確な反射・屈折: ガラスや水の表現が美しい
- グローバルイルミネーション: 光の相互反射を自動 計算
- レンダリング時間: 比較的長い(GPUで高速化可能)
向いている用途
- 静止画(プロダクトビジュアル、建築パース)
- 高品質なアニメーション
- ガラス、金属、透明体を含むシーン
Eeveeとは?
Eeveeはリアルタイムレンダラーです。ゲームエンジンと同様の技術を使用しています。
特徴
- 高速: リアルタイムでプレビュー可能
- 十分な品質: 多くの用途で満足な結果
- 制限あり: 一部の光学効果はCyclesほど正確ではない
向いている用途
- アニメーション(特に長尺)
- プレビューやテスト
- ゲームアセットの確認
- SNS向けコンテンツ
エンジンの切り替え
- プロパティ → レンダー(カメラアイコン)
- 「レンダーエンジン」でCycles/Eeveeを選択
Cyclesの重要な設定
サンプル数
光線のサンプリング回数です。多いほど綺麗だがレンダリング時間も増加。
| 用途 | サンプル数の目安 |
|---|---|
| プレビュー | 64-128 |
| 最終レンダー(静止画) | 256-1024 |
| アニメーション | 128-256 |
設定場所はレンダープロパティ → サンプリング → レンダーです。
デノイズ
ノイズを除去する機能です。少ないサンプルでも綺麗な結果が得られます。
- レンダープロパティ → サンプリング → 「デノイズ」を有効化
- デノイザーを選択:
- OptiX: NVIDIA GPU向け(高速)
- OpenImageDenoise: CPU/全GPU対応(高品質)
GPU レンダリング
GPUを使用して高速化できます。
- 編集 → プリファレンス → システム
- 「Cyclesレンダーデバイス」でGPUを選択
- レンダープロパティ → デバイス → 「GPU演算」
Eeveeの重要な設定
アンビエントオクルージョン
隅や接触面に自然な影を追加します。
- レンダープロパティ → アンビエントオクルージョン → 有効化
ブルーム
明るい部分が発光しているように見える効果です。
- レンダープロパティ → ブルーム → 有効化
スクリーンスペース反射
反射を表現します。
- レンダープロパティ → スクリーンスペース反射 → 有効化
- 「屈折」もオンにするとガラスが改善
シャドウ
影の品質を向上させます。
- レンダープロパティ → シャドウ
- 「キューブサイズ」「カスケードサイズ」を上げる(1024以上推奨)
透過
透明なオブジェクトを正しく表示します。
- マテリアル設定 → 「設定」→ 「ブレンドモード」→ 「アルファブレ ンド」
出力設定
解像度
- 出力プロパティ → 解像度
- X、Y のピクセル数を設定
- よく使う解像度:
- HD: 1920 x 1080
- 4K: 3840 x 2160
- Instagram: 1080 x 1080
ファイル形式
| 形式 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| PNG | 透過対応、可逆圧縮 | 静止画(透過あり) |
| JPEG | 軽量、非可逆圧縮 | Web用静止画 |
| EXR | HDR対応、高品質 | 合成用、後処理用 |
| FFmpeg | 動画形式 | アニメーション |
レンダリングの実行
- F12: 現在のフレームをレンダリング
- Ctrl + F12: アニメーションをレンダリング
レンダリング結果は「画像」メニュー → 「名前を付けて保存」で保存できます。
まとめ
| 項目 | Cycles | Eevee |
|---|---|---|
| 品質 | フォトリアリスティック | 十分な品質 |
| 速度 | 遅い(GPU推奨) | 高速 |
| 反射・透過 | 完全対応 | 制限あり |
| 主な用途 | 静止画、高品質CG | アニメ、プレビュー |
- 高品質な静止画: Cycles + デノイズ
- アニメーション: Eevee(または低サンプルCycles)
- プレビュー: Eevee
目的に応じてエンジンを選択し、設定を最適化することで、効率的にレンダリングを行いましょう。