概要
3Dモデルにテクスチャ(画像)を貼り付けるには、「UVマッピング」という作業が必要です。UVマッピングとは、3Dの立体を2Dに展開し、どの部分にテクスチャのどの部分が対応するかを定義する作業です。この記事では、UVマッピングの基本から実践的なテクニックまでを解説します。
UVマッピングとは?
「UV」とは、テクスチャ画像上の座標を表す記号です(X・Y・Zが3D空間で使われているため、2Dテクスチャ座標にはU・Vを使用)。
例えるなら:
- 3Dモデル = プレゼントの箱
- UVマッピング = 包装紙を箱に貼る際の設計図
- テクスチャ = 包装紙の柄
UVマッピングがうまくできていないと、テクスチャが伸びたり、歪んだり、意図しない位置に表示されたりします。
UVエディターを開く
- 画面上部の「UV Editing」ワークスペースを選択
- または、任意のエリアで「エディタータイプ」→「UV Editor」を選択
左側にUVエディター、右側に3Dビューポートが表示されます。
シームとは?
シーム(Seam)は、3Dモデルを2Dに展開する際の「切れ目」です。
段ボール箱を平らに開くとき、どこを切り開くか決めるようなものです。
シームの作成方法
- 編集モードに入る(Tab)
- 辺選択モードに切り替え(2)
- 切りたい辺を選択
Ctrl + E→ 「シームをマーク」
シームが設定された辺は赤色で表示されます。
UVアンラップの方法
シームを設定したら、UVを展開(アンラップ)します。
基本的なアンラップ
- 編集モードで全選択(A)
Uキー → 「展開」
UVエディターに展開されたUVマップが表示されます。
アンラップの種類
| 方法 | 説明 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 展開 | シームに従って展開 | 有機的な形状、キャラクター |
| スマー トUVプロジェクト | 自動でシームを決定 | 建物、機械的なもの |
| キューブ投影 | 6方向から投影 | 立方体に近い形状 |
| 円筒投影 | 円筒形に投影 | パイプ、ボトル |
| 球投影 | 球形に投影 | 惑星、ボール |
スマートUVプロジェクト
シームを設定せずに自動でUVを展開する方法です。
- 編集モードで全選択(A)
Uキー → 「スマートUVプロジェクト」- 角度のしきい値を調整(デフォルト66°)
- メリット - 素早くUVを作成できる
- デメリット - 手動ほど綺麗にはならない
UVの編集
UVエディターでUVアイランド(展開されたパーツ)を編集できます。
基本操作
G: 移動R: 回転S: 拡大縮小L: アイランドを選択
便利な機能
| 操作 | ショートカット | 説明 |
|---|---|---|
| UVを整列 | Shift + W | UVを軸に沿って整列 |
| UVをパック | Ctrl + P | UVアイランドを効率的に配置 |
| 平均化 | Ctrl + A | アイランドのサイズを統一 |
テクスチャの確認
UVマッピングが正しくできているか確認する方法です。
チェッカーテクスチャを使用
- シェーダーエディターを開く
- 「追加」→「テクスチャ」→「画像テクスチャ」
- 「新規」でチェッカーパターンを生成
- カラー出力をプリンシプルBSDFのベースカラーに接続
チェッカーパターンが歪んでいなければ、UVマッピングは成功です。
よくある問題と解決方法
テクスチャが伸びている
- 原因 - UVアイランドの比率が元のメッシュと異なる
- 解決 - UVエディターで該当部分を調整、または再アンラップ
テクスチャが反転している
- 原因 - 面の法線が反転している可能性
- 解決 - 3Dビューで面を選択 →
Alt + N→ 「反転」
継ぎ目が目立つ
- 原因 - シームの位置が目立つ場所にある
- 解決 - シームを目立たない場所(裏側、折り目など)に移動
UVが重なっている
- 原因 - 複数のUVアイランドが同じ位置にある
- 解決 -
Ctrl + PでUVをパック、またはアイランドを手動で移動
効率的なUVマッピングのコツ
- シームは最小限に: 多すぎると継ぎ目が増える
- 目立たない場所にシームを: キャラクターなら脇の下、服の縫い目など
- テクスチャ解像度を意識: 重要な部分はUVを大きく
- パディングを確保: アイランド間に余白を設けてブリーディングを防ぐ
まとめ
- UVマッピング: 3Dモデルを2Dに展開してテクスチャ座標を定義
- シーム: 展開の切れ目を指定
- アンラップ: シームに従ってUVを生成
- スマートUVプロジェクト: 自動で素早くUVを作成
UVマッピングは最初は難しく感じますが、実践を重ねることで感覚が身についていきます。