【Unity】Unity レンダーパイプライン入門:Built-in / URP / HDRPの違いと選び方

作成: 2026-02-05

Unityの3種類のレンダーパイプライン(Built-in、URP、HDRP)の違いと選び方を解説。パフォーマンス比較、機能比較、プロジェクトに最適なパイプラインの選定方法を紹介します。

概要

動作確認環境: Unity 2022.3 LTS / Unity 6

「プロジェクト作成時にどれを選べばいいの?」「URPとHDRPの違いがわからない…」「途中で変更できる?」

Unityでプロジェクトを始める際、レンダーパイプラインの選択で迷うことがあります。レンダーパイプライン は、Unityでグラフィックスをレンダリング(描画)する仕組みです。3D/2Dオブジェクトをどのように画面に表示するかを制御し、ライティング、シャドウ、ポストプロセッシングなどの処理を管理します。

カスタムSRP: Unityでは独自のレンダーパイプラインを構築することも可能(Scriptable Render Pipeline)ですが、上級者向けのため本記事では扱いません。

3種類のレンダーパイプライン

Unityには3種類のレンダーパイプラインがあります。

パイプライン特徴主な用途
Built-in従来のデフォルト、シンプルレガシープロジェクト、ゲームジャム
URP軽量・最適化、幅広い対応モバイル、VR、新規プロジェクト全般
HDRPハイエンド、写実的表現AAAタイトル、建築ビジュアライゼーション

比較表

表現力・パフォーマンス

項目Built-inURPHDRP
表現力◎(最高)
パフォーマンス◎(最軽量)△(重い)
新機能対応×

プラットフォームサポート

プラットフォームBuilt-inURPHDRP
Windows/Mac/Linux
iOS/Android×
Switch×
WebGL×
PlayStation/Xbox
VR(デスクトップ)
VR(モバイル)×

Built-in Render Pipeline

特徴

Unityの従来からあるデフォルトのレンダーパイプラインです。

  • シンプルで使いやすい
  • 難しいことを考えなくても使える
  • 古いアセットとの互換性が高い
  • 長年使われてきた実績がある
  • 新機能の追加予定はない

利点

  • セットアップが不要
  • 学習コストが低い
  • 古いアセットがそのまま使える
  • 情報が豊富
  • トラブルシューティングが容易

欠点

  • 描画が最適化されていない(Batchesが多い)
  • VFX Graph、2Dライティングなどの新機能が使えない(Shader GraphはUnity 2021.2以降で対応するが、Lit Shader Graphは使用不可などの制限あり)
  • URPに比べてパフォーマンスが劣る

適したプロジェクト

  • ゲームジャムや試作(セットアップの手間を省きたい)
  • 古いアセットを使う必要がある場合
  • レガシープロジェクトのメンテナンス

Universal Render Pipeline(URP)

特徴

Built-inの後継として開発された新しいレンダーパイプラインです(旧称:LWRP)。

  • あらゆるプラットフォームに対応
  • 描画処理が軽量で最適化されている
  • Shader Graph、VFX Graphなどの新機能が使える
  • 2Dライティングが使える
  • 今後のUnityの標準となる予定

2D vs 3Dテンプレート: 2DゲームでURPを使う場合、プロジェクト作成時に「2D (URP)」テンプレートを選択してください。2D Rendererが設定済みで、2Dライティングがすぐに使えます。

利点

  • 描画処理が最も軽い(Batchesが少ない)
  • モバイルからハイエンドPCまで幅広く対応
  • 新機能が使える
  • Built-inの多くの機能をカバー(ただしSurface Shaderは非対応)
  • 今後も機能追加が継続される
  • カスタマイズ可能(C#でレンダリングパスを追加)

Forward vs Forward+レンダリングパス

パスライト数制限対応バージョン
Forwardリアルタイムライト4つまでUnity 2019以降
Forward+大幅に緩和(数百個対応)Unity 2022.2以降

Forward+: 多数のライトを使用するシーンで有効です。URP Renderer Dataの「Rendering Path」で切り替え可能。

欠点

  • Built-inからの移行に手間がかかる
  • 古いアセットの互換性に問題がある場合がある
  • セットアップが必要
  • Surface Shaderが使えない - カスタムシェーダーの書き換えが必要な場合がある

適したプロジェクト

  • スマホゲーム
  • VRゲーム
  • 2Dゲーム
  • パフォーマンスを重視するプロジェクト
  • 幅広いプラットフォームに対応したいプロジェクト
  • 新規プロジェクト全般

High Definition Render Pipeline(HDRP)

特徴

ハイエンドなグラフィックスに特化したレンダーパイプラインです。

  • AAAタイトル並みの写実的な表現が可能
  • 物理ベースレンダリング(PBR)
  • 物理ベースのライティング(Physical Light Units)
  • 物理カメラ(現実のカメラと同じ単位)
  • 高度なマテリアル表現
  • ボリュームレンダリング、レイトレーシング対応

利点

  • 最高品質のグラフィックス
  • 写実的な表現が可能
  • 現実の単位が使える(物理ベース)
  • レイトレーシング

欠点

  • 処理負荷が高い
  • ハイエンドPCまたはコンソールが必要
  • モバイル、Switch、WebGLは非対応
  • セットアップが複雑、学習コストが高い
  • 物理法則への理解が必要

適したプロジェクト

  • AAAタイトル並みの写実的な3D表現が必要なゲーム
  • ハイエンドPC向けゲーム
  • 建築ビジュアライゼーション
  • 映像制作

選び方のガイドライン

URPを選ぶべき場合

  • スマホゲームを作る
  • VRゲームを作る
  • パフォーマンスを重視する
  • 幅広いプラットフォームに対応したい
  • 新機能を使いたい
  • 迷ったらとりあえずURP

HDRPを選ぶべき場合

  • AAAタイトル並みの写実的な表現が必要
  • ハイエンドPC、コンソール専用
  • 建築ビジュアライゼーション
  • 映像制作

Built-inを選ぶべき場合

  • ゲームジャムや試作(セットアップの手間を省きたい)
  • 古いアセットを使う必要がある
  • レガシープロジェクトのメンテナンス

機能比較

シェーダー

機能Built-inURPHDRP
Shader Graph△(2021.2以降、制限あり)
Surface Shader××

Built-inのShader Graph制限: Unity 2021.2以降でBuilt-in RPでもShader Graphが使えますが、Lit Shader Graphは使用不可 です。Unlitのみ対応のため、ライティング対応シェーダーはHLSLで書く必要があります。

その他の機能

機能Built-inURPHDRP
VFX Graph×
2D Lighting××
Volumetric Fog××
レイトレーシング××
Decals×

移行について

Built-inからURPへの移行

Render Pipeline Converterの使い方

  1. Window > Rendering > Render Pipeline Converterを開く
  2. 左側で変換元(Built-in)と変換先(URP)を選択
  3. 変換項目にチェック:
    • Material Upgrade: マテリアルをURP対応に変換
    • Animation Clip Converter: アニメーションクリップを変換
    • Read-only Material Converter: パッケージ内マテリアルを変換
  4. Initialize Converters をクリック
  5. 変換対象を確認し、Convert Assets をクリック

移行後の調整

  1. マテリアルを変換(Render Pipeline Converter)
  2. ライティングを調整(明るさが変わることがある)
  3. ポストプロセッシングを再設定(VolumeベースのURPポストプロセッシングに)
  4. カスタムシェーダーを書き換え(必要な場合)

移行の注意点

  • 一部のアセットは互換性がない
  • カスタムシェーダーは書き換えが必要
  • ライティングの見た目が変わる可能性がある
  • パフォーマンスを再測定する必要がある

プロジェクトの規模と残り期間を考慮して判断してください。 大規模プロジェクトで期限が近い場合は移行しない方が無難です。

Unity 6(2025)の変更: Unity 6ではURPでRender Graphがデフォルトで有効になります。ただし、Compatibility Mode を使用することで従来のRenderer Featureも動作可能です。移行期間中はCompatibility Modeを活用し、段階的にRender Graph対応に移行することを推奨します。

まとめ

Unityには3種類のレンダーパイプラインがあります。

パイプライン一言で言うと
Built-in従来のデフォルト、シンプルだが新機能なし
URP軽量・最適化、あらゆるプラットフォーム対応
HDRPハイエンド向け、写実的表現、処理負荷高い

新規プロジェクトでは、基本的にURPを選ぶのが無難です。迷ったらURP。

写実的な表現が必要でハイエンド専用ならHDRP、ゲームジャムや試作でセットアップの手間を省きたい場合はBuilt-inも選択肢になります。

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