Unityを初めて開くと、窓がいくつも並んでいて、どこを見ればいいのか分かりません。メニューも項目が多く、押していいのか迷います。
覚える範囲は、見た目ほど広くありません。VRChatのワールド制作で使うのは、Unityのごく一部だけ です。窓は4つ、操作は3つ覚えれば、床も壁も家具も置けます。
この記事では、その4つの窓の役割を分けて、Cubeを1つ置いて動かして保存するところまでを解説します。
この記事でわかること
- 4つの窓がそれぞれ何を担当しているか
- 移動・回転・拡大の3つの操作
- Sceneで迷子になったときに戻る方法
- いま覚えなくていいUnityの機能
環境構築 を終えて、Worldsプロジェクトを開いた状態から始めます。
覚えるのは4つの窓だけ
画面はいくつも区画に分かれていますが、当面使うのは4つです。担当がはっきり違います。

- Hierarchy(ヒエラルキー) は、いまワールドに置いてあるものの一覧 です。名前が縦に並びます
- Scene(シーン) は、配置する場所 です。制作者の視点で見る作業画面で、ここでオブジェクトを動かします
- Inspector(インスペクター) は、選んだものの設定 です。位置や大きさ、色などが並びます
- Project(プロジェクト) は、素材の置き場 です。画像や音、作ったスクリプトが入っています
この4つの関係で、最初につまずくのが Hierarchy と Project の違いです。
ワールドに存在するのは、Hierarchyに名前があるものだけ です。Projectは倉庫で、そこに素材があっても、まだ部屋には置かれていません。Projectの画像をクリックしても、Sceneには現れません。
もう1つ、Inspectorが空っぽなのは、何も選んでいないだけ です。Hierarchyで名前をクリックすると、その設定が出てきます。
このほかに Game と Console という窓もあります。Gameは「実際にプレイヤーから見える画面」、Consoleは「エラーやログが出る場所」です。この2つは後の記事で使います。
実践:Cubeを置いて、動かして、保存する
いちばん基本の操作を一巡します。完成すると、床 の上に立方体が1つ置かれた状態がファイルに保存されます。
1. Cubeを置く
Hierarchyの何もないところで右クリックして、「3D Object → Cube」 を選びます。
Hierarchyに Cube という名前が追加され、Sceneの中央に立方体が現れます。これで「ワールドに置いた」ことになります。
Cubeを選んだ状態でInspectorを見ると、いちばん上に Transform という欄があります。ここに位置・回転・大きさが並んでいます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| Position | 位置。X・Y・Zの3方向 |
| Rotation | 回転。それぞれの軸まわりに何度 |
| Scale | 大きさの倍率。1が元の大きさ |
UnityのCubeは1辺が1単位で、VRChatでは1単位を1mとして扱います。つまりこの立方体は1m角です。
2. 数値で動かす
InspectorのPositionのYに 0.5 と入力してみてください。Cubeが少し上へ移動します。
なぜ0.5なのかというと、オブジェクトの位置は中心を指す からです。1m角のCubeをY=0に置くと、下半分の50cmが床に沈みます。中心を0.5にすると、下面がちょうど0になって床に乗ります。
これは今後ずっと使う考え方です。壁でも家具でも、「置きたい高さ+厚みの半分」で計算します。
3. ドラッグで動かす
数値だけでなく、Sceneの中で直接つかんで動かすこともできます。

Cubeを選んだ状態で、キーボードの W を押します。Cubeに3本の矢印が出ます。矢印をドラッグすると、その方向にだけ動きます。
- W(移動): 3本の矢印。ドラッグした方向へ動く
- E(回転): 3本の弧。ドラッグすると回る
- R(拡大縮小): 3本の棒。ドラッグすると伸び縮みする
矢印が出ないときは、何も選んでいないか、W以外のモードになっています。
大まかな配置はドラッグ、正確な位置は数値入力 と使い分けます。「壁を床にぴったり合わせる」のような作業は、Inspectorに直接数字を入れるほうが確実です。
4. 親子にしてみる
Hierarchyで、あるオブジェクトを別のオブジェクトの上にドラッグすると、親子 になります。子は親の名前の下に、少し右にずれて表示されます。
親子にすると、親を動かせば子もついてきます。机と、その上に乗せた小物をまとめて動かしたいときに便利です。
ただし1つ落とし穴があります。親のScaleは子にも掛かります。 親を2倍にすると、子も2倍になります。しかも親が縦に潰れていると、子は縦に潰れた状態で計算されます。
だから、位置をそろえたいだけなら、中身が空のオブジェクト(Create Empty)を親にする のが安全です。空のオブジェクトはScaleを1のままにしておけます。
5. 保存する
Ctrl + S を押します。これで シーン が保存されます。
シーンとは、「どこに何をどう置いたか」を記録したファイルです。Projectの中に .unity という名前で入っています。
Unityは自動保存しません。置いただけでは保存されていない ので、こまめに押す癖をつけてください。
6. 確かめる
ここまでで、4つの窓と3つの操作をひととおり使いました。
| 確認 | 期待する結果 |
|---|---|
| Hierarchy | 作ったCubeの名前が並んでいる |
| Inspector | Position の Y が 0.5、Cubeの下面が床に乗っている |
W を押す | 3本の矢印が出て、ドラッグで動く |
| 親をドラッグ | 子も一緒についてくる |
| タブの表示 | Ctrl + S のあと、シーン名の横の * が消える |
最後の * が、保存されているかどうかの目印です。これが付いていたら、まだ保存されていません。
迷子になったら、Fキーで戻る
Sceneビューで視点を動かしていると、いつの間にか何もない灰色の空間に出てしまうことがあります。

Cubeが消えたわけではありません。 視点が遠すぎるか、別の方向を向いているだけです。
戻り方は簡単です。
- Hierarchyで、見たいオブジェクトの名前をクリックする
- マウスカーソルを Sceneビューの上に置く
- F キーを押す
そのオブジェクトが画面の中央に来ます。この操作は、これから何百回も使うことになります。
視点の動かし方も覚えておきます。
| 操作 | 動き |
|---|---|
| 右ドラッグ | その場で見回す |
右ドラッグ中に W A S D | 見ている方向へ飛ぶ |
| ホイール | 前後に寄る・引く |
| 中ボタンドラッグ | 上下左右に平行移動 |
Sceneビューの視点は、プレイヤーが見る景色とは関係ありません。 ここでどれだけカメラを動かしても、ワールドに入ったときの位置は変わりません。
いま覚えなくていいこと
Unityにはゲーム制作用の機能がたくさんありますが、VRChatのワールド制作では使わないものが多くあります。
Terrain(地形)、Cinemachine(カメラ演出)、描画方式の設定画面、Animatorの複雑な状態管理。これらのメニューを見かけても 、いまは開かなくて構いません。
特に注意したいのが、一般的なUnity入門の記事 です。多くはVRChatとは違う描画方式(URPなど)を前提にしていて、そのまま真似ると素材が表示されなくなります。VRChat向けの解説を探してください。
Worldsプロジェクトを作った時点で、VRChat用の設定はすでにそろっています。自分で変える必要はありません。
Playボタン(画面上部の三角)も、この記事の範囲では押さなくて構いません。押すと画面が少し暗くなって、そのあいだに変えた設定は停止すると全部消えます。押してしまったら、もう一度押して戻してください。
おまけ:先に知っておくと良いこと
Ctrl + Zで戻せる: 置いたものを消したり、動かしすぎたりしたときは元に戻せます。ただしファイルの削除など、戻せない操作もあります- 名前は分かりやすく付ける:
Cube (1)Cube (2)が10個並ぶと、どれが何か分からなくなります。FloorBackWallのように役割で名前を付けます - Hierarchyの並び順に意味はない: 上下を入れ替えても、見た目や動作は変わりません。整理しやすい順に並べて構いません
- Sceneの2D切り替えに注意: Sceneビューの上に「2D」というボタンがあります。押すと立体的に見えなくなるので、いつのまにか押していたら戻します
- 窓の配置は変えられる: 誤って窓を消してしまっても、Windowメニューから戻せます。配置ごと戻したいときは Layout から Default を選びます
まとめ
Unityで最初に覚えるのは、これだけです。
- 使う窓は4つ。Hierarchyは一覧、Sceneは配置、Inspectorは設定、Projectは倉庫
- ワールドに存在するのは、Hierarchyに名前があるものだけ
- 位置は中心を指す。1m角のCubeは、Y=0.5で床に乗る
- 迷子になったら、名前をクリックしてSceneの上で
F
操作に迷ったときの問いかけは、「いま自分は、どの窓を触っているのか?」 です。倉庫を触っているのか、現場を触っているのか。ここが分かれば、たいていの混乱は解けます。
次は、この操作で実際に歩ける場所を作ります。床・スポーン・落下復帰を作って歩く へ進んでください。