VCC、ALCOM、Unity Hub、Unity、SDK。似た名前のアプリが並んでいて、どれを入れればいいのか分かりません。
記事によって手順が違うのも困ります。古い解説にはSDKをファイルでインポートする手順が載っていますが、いまのやり方とは別物です。
この記事では、ワールド制作用のプロジェクトを作り、UnityでVRChat SDKのパネルが開くところまでを解説します。
この記事でわかること
- 4つの道具がどうつながっているか
- Worldsプロジェクトを作ってUnityで開く手順
- 「ちゃんと入った」を確かめる6つのチェック
- 最初はやらないほうがいいこと
ゴールは、SDKパネルが開くこと
この記事の到達点は、Unityのメニューに「VRChat SDK」が出て、そのパネルにログインできる ところまでです。
ワールドのアップロードはここには含めません。アップロードにはビルド設定、対象の端末、容量、VRChatアカウント側の条件が絡むので、環境構築と混ぜると「準備は正しいのに失敗した」の切り分けができなくなります。
床を置くのも、まだ先です。まずは道具がそろっていることだけを確かめます。
4つの道具は、順番につながっている
VRChatのワールド制作では4つのソフトを使いますが、全部を並べてインストールすれば完成、ではありません。役割が順番につながっていて、上流が下流を起動します。

- ALCOM または VCC: VRChat用のプロジェクトを作り、SDKなどの部品を出し入れする管理ツールです。ここが起点になります
- Unity Hub: Unity Editorを入れたり選んだりするランチャーです。プロジェクトを「開く」ために使い、「作る」ためには使いません
- Unity Editor: 実際に床やライトを 置く制作画面です
- VRChat SDK: Unityの中に読み込まれる、VRChat専用の機能です。上部メニューに「VRChat SDK」として現れます
いちばん多い遠回りが、Unity Hubの「New project」から直接プロジェクトを作ってしまう ことです。Hubで作った箱にはVRChat用の部品が入っていないので、いつまで待ってもSDKのメニューは出ません。

作るのは管理ツール。Hubは、その管理ツールから頼まれてUnityを起動する係です。
始める前に2つ決めておく
作り始めてから直すのが面倒な2つを、先に決めます。
1. 管理ツールはどちらか一方にする
VCC はVRChat公式の管理ツール、ALCOM は有志が作った代替です。作れるプロジェクトの中身は同じで、Unityも同じものを使います。違うのは「箱を作る道具」だけです。
迷ったらVCCを選んでください。公式のドキュメントや解説記事の画面がそのまま一致するので、詰まったときに調べやすくなります。動作の軽さを重視するなら、ALCOMも十分に使われています。
決めたら、もう片方は入れません。同じプロジェクトを両方から触ると、パッケージの管理経路が二重になり、何が原因で壊れたのか追えなくなります。
Unityのバージョンも、自分で選びません。管理ツールが「この 版を使う」と表示したものを、そのまま入れます。Unityは新しいほど良いソフトではなく、VRChatは指定の版でビルドしたものだけを受け付ける側です。
2. 保存先を先に決める
プロジェクトの保存先は、半角英数だけの短いパス にします。C:\VRChat\WorldLab のように、先に場所を決めてしまうのが確実です。

避けたいのは3種類です。
- 日本語やスペースが入ったパス: パッケージの取得に失敗することがあります
- OneDriveやGoogle Driveの同期フォルダ: Unityが自動生成するファイルは数万個あり、同期がプロジェクトを壊します。Windowsではデスクトップや「ドキュメント」がOneDrive配下になっている場合があるので要注意です
- 深すぎるパス: 途中でエラーになることがあります
もうひとつ、空き容量も見ておきます。プロジェクト1つで数GBになるので、20GB以上空いているドライブを選んでください。
Worldsプロジェクトを作る
ここからは、VCCでもALCOMでも手順はほぼ同じです。プロジェクト名は WorldLab としますが、好きな名前で構いません。
- 管理ツールを起動し、プロジェクトの一覧を開く
- 新規作成に進み、テンプレートから Worlds向け のものを選ぶ。Avatars向けと間違えないようにする
- プロジェクト名を
WorldLab、保存先を先ほど決めた場所にして作成する - Unityの版が足りないと案内が出たら、そこで指示された版 をUnity Hub経由で入れる
- 作成できたら、そのプロジェクトをUnityで開く
テンプレートの表示名は、管理ツールの更新で少しずつ変わります。「Worlds向けであること」だけを判断基準にしてください。
初回起動は、5分から20分待つ
初めてWorldsプロジェクトを開くと、Unityは長い時間ぐるぐるします。「Importing」「Compiling scripts」などが出たまま、5分から20分ほど戻ってこないこともあります。
これは正常です。 パッケージのダウンロードとスクリプトのコンパイルをしています。タスクマネージャーでディスクやCPUが動いていれば、そのまま待ってください。
ここで強制終了して開き直すのを繰り返すと、途中まで作られたファイルが中途半端に残って、かえって壊れます。
途中で「Safe Mode で開きますか」と聞かれることがあります。これは スクリプトのエラーで通常起動できないときの避難用 で、初回の待ち時間を短縮する機能ではありません。初回に出た場合は、Ignoreを連打せず、いったんキャンセルしてConsoleのエラーを読みます。
入ったかどうかを確かめる
Unityが開いたら、次の6つを順に見ます。上から順に見ていくと、どこで止まっているかが分かります。

- 管理ツールの一覧に、作った
WorldLabがある - その行のUnityの版が、ツールの要求と一致している(赤字や「未インストール」になっていない)
- Unityが起動し、Hierarchyにシーンが表示されている
- 上部メニューに VRChat SDK がある
- VRChat SDK → Show Control Panel でパネルが開き、VRChatアカウントでログインできる
- Consoleの赤いエラー(Error)が0件
6番目には補足があります。赤のErrorは0にする必要がありますが、黄色のWarningは残っていて構いません。 初回は警告がいくつか出るのが普通で、これを消そうとして設定をいじると、かえって壊れます。
ログインは、SDKのパネルから行います。管理ツールにログインしていなくても問題ありません。また、ここで使うのは VRChatのアカウント です。SteamやMetaのアカウントでVRChatを遊んでいる場合、そのままでは使えないことがあります。
この6つが通れば、環境構築は完了です。この時点で床を置けなくても、Udonが分からなくても構いません。
うまくいかないときは
症状ごとに、見る場所が違います。
- Unityが「指定の版がない」と言う → 自分で最新版を入れず、管理ツ ールが表示した版をUnity Hubから入れます。Hubの一覧にあることと、管理ツールがその場所を認識していることは別なので、両方を確かめます
- SDKのメニューが出ない → まず、そのプロジェクトを管理ツールから作ったか確かめます。Hubの「New project」で作った箱にはSDKが入りません。次にConsoleを見て、赤いエラーが出ていればそれが原因です
- 赤いエラーが大量に出る → 件数に驚かず、いちばん上のエラー を読みます。1つのエラーが後続を大量に生むので、最初の1件を直せば全部消えることがよくあります。原因が分からないままパッケージを追加すると、切り分けが難しくなります
- ログインできない → VRChatのアカウントか、メールの確認が済んでいるかを見ます。ここはUnityの問題ではなくアカウント側なので、環境構築と切り離して考えます
環境まわりのメモを残しておく
「昨日は動いたのに今日は違う」というとき、原因がコードとは限りません。EditorやSDKの版が変わっていることもあります。最初に次のメモを残しておくと、後から切り分けられます。
プロジェクト: WorldLab
Unity: 管理ツールが表示した版
Worlds SDK: 管理画面で確認した版
管理ツール: VCC または ALCOM と、その版
確認日: 準備した日
おま け:先に知っておくと良いこと
今すぐ必要ではありませんが、知っておくと余計な手間が減ります。
- 古い記事の手順は使えない: SDKを
.unitypackageで入れる、UdonSharpをGitHubから別途入れる、といった手順は以前のやり方です。いまのプロジェクトに重ねると版が衝突します - Questやスマホ向けは、Unityにモジュールを追加する: Android向けのビルドには Android Build Support が必要です。しかも 指定バージョンのUnityに対して 追加します。別の版に入れても効きません。PCだけで始めるなら、まだ入れなくて構いません
- ワールドとアバターはプロジェクトを分ける: 「あとでアバターも作るから」と最初から同居させると、初回のプロジェクトとしては要素が増えすぎます
- Assets・Packages・Library の役割: 自分が作ったものは
Assetsに入ります。PackagesはSDKの本体、LibraryはUnityが自動で作るキャッシュです。バックアップするのはAssetsとProjectSettings、Packagesで、Libraryは消しても再生成されます - 既存のUnityプロジェクトに後から入れない: 別のゲーム用に作ったプロジェクトへSDKを足すより、専用のプロジェクトを新しく作るほうが確実です
まとめ
環境構築は、道具を全部入れる作業ではなく、つながりを1本作る 作業です。
- 作るのは管理ツール。Unity Hubは「開く」ためのもの
- VCCとALCOMはどちらか一方。両方入れない
- Unityの版は自分で選ばず、管理ツールが表示したものを入れる
- 保存先は半角英数の短いパス。クラウド同期フォルダは避ける
- 初回起動は長い。ディスクが動いていれば待つ
- 合格ラインは「SDKパネルが開いてログインできる」まで
つまずいたときの問いかけは、「このプロジェクトは管理ツールから作ったか?」 です。ここがずれていると、後の手順をいくら直しても直りません。
Unityを触るのが初めてなら、Unityの画面と操作 で4つの窓の役割をつかんでから進むと迷いません。すぐ作りたいなら 床・スポーン・落下復帰を作って歩く へどうぞ。