BGMに合わせて壁が光るワールドを見 たことがあると思います。クラブ系のワールドでよく使われている演出です。
自分でやろうとすると、音の解析から始めることになりそうに見えます。実際には、その部分をまるごと引き受けてくれる仕組み があります。
AudioLink です。この記事では、BGMの低音で光る壁パネルを1枚 作ります。
この記事でわかること
- 音を4つの数字にして配る仕組み
- 導入からパネル1枚までの最短ルート
- 帯域を分けて使うこと
- 光らないときに見るところ
マテリアルとテクスチャ と 空間音を置く を読んだ状態から始めます。
音を4つの数字にして配る
AudioLinkがやっていることは、突き詰めると1つです。
流れている音を解析して、4つの数字にして、ワールド全体に配る。

配られる4つは、音の高さで分けた帯域です。
| 帯域 | 拾うもの | 向いている演出 |
|---|---|---|
| Bass(低音) | キック、ベース | 壁全体、床、大きな面 |
| Low Mid(中低音) | スネア、ギター | 中くらいの飾り |
| High Mid(中高音) | ボーカル、シンセ | 細い帯、ライン |
| Treble(高音) | ハイハット、シンバル | 小さい点、細かい飾り |
受け取る側は、この数字を見て明るさや色を変えるだけです。 音の解析をする必要はありません。
しかも配り先は限定されていません。同じ数字を、部屋中のマテリアルが同時に受け取れます。 壁も床も看板も、それぞれ好きな帯域を選んで反応できます。
この記事でやることは3つです。
- AudioLinkをプロジェクトに入れる
- 音源をAudioLinkにつなぐ
- 壁のマテ リアルを、Bassで光るように設定する
シェーダーは書きません。 対応しているシェーダーの項目を入れるだけです。
実践:低音で光る壁を作る
BGMが流れる部屋に、低音で明るくなるパネルを1枚置きます。
1. AudioLinkを入れる
Creator Companion(VCC) からプロジェクトを開き、「Manage Project」を選びます。
パッケージの一覧からAudioLinkを探して追加します。一覧に出てこない場合は、AudioLinkの配布ページに載っているリポジトリのURLをVCCに登録すると出てきます。
追加したらUnityに戻ります。Projectウィンドウに AudioLink のフォルダが増えていれば成功です。
2. Prefabを置いて、音源をつなぐ
シーンに次を用意します。
| 名前 | 作り方と設定 |
|---|---|
Bgm | Create Empty に Audio Source。Play On Awake と Loop をオン |
GlowPanel | 3D Object → Quad。壁の位置に。Scale (3, 2, 1) |

Bgm の Audio Source には、低音のはっきりした曲を入れます。キックの効いた曲のほうが、動きが分かりやすくなります。
AudioLink のフォルダから AudioLink のPrefab を探して、シーンにドラッグします。
Prefabを選んで、Inspectorの Audio Source の欄に Bgm をドラッグします。
ここが唯一の接続です。 AudioLinkは、ここで指定されたAudio Sourceの音を解析します。
3. 光るマテリアルを作る
GlowPanel に使うマテリアルを作ります。ここには2つのルートがあります。
ルート1:すでに使っているシェーダーが対応している場合
lilToonやPoiyomiなど、VRChatでよく使われるシェーダーはAudioLinkの項目を持っています。
- マテリアルのInspectorで、AudioLink関連の折りたたみを開く
- 有効にするチェックを入れる
- 反映先を Emission(発光)にする
- Bandを Bass にする
- 強さを上げる
ルート2:AudioLink付属のサンプルを複製する
対応シェーダーが手元にないときは、AudioLinkのフォルダにあるサンプルのマテリアルを複製して使います。
- サンプルのマテリアルを右クリックして「Duplicate」
- 名前を
PanelGlowなどにする - Bandを Bass にする
- 発光の強さを調整する
どちらのルートでも、見るところは同じです。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| Emission | 有効 |
| Emissionの色 | 真っ黒ではないこと |
| Band | Bass |
| 強さ | 0 ではないこと |
できたマテリアルを GlowPanel にドラッグします。
4. 確かめる
Playします。
| 確認 | 期待する結果 |
|---|---|
| BGMが鳴っている | 音が聞こえる |
| パネルを見る | キックに合わせて明るさが変わる |
| 曲の静かな部分 | パネルが暗くなる |
| 曲のサビ | パネルが強く光る |
暗めの部屋で見てください。 明るい部屋だと、光っているかどうかが分かりにくくなります。
動かない場合は、まず AudioLinkのPrefabにAudio Sourceが割り当たっているか を見てください。ここの抜けが最も多い原因です。
帯域を分けて使う
パネルが1枚光ったら、次は 部屋全体を作ります。
このとき、全部を同じBassにすると すべてが同じタイミングで光ります。 迫力は出ますが、単調になります。

分け方の目安はこうです。
| 対象 | 見る帯域 | 理由 |
|---|---|---|
| 壁、床など大きい面 | Bass | ゆっくり大きく動くので、面積の広いものに合う |
| 柱、看板 | Low Mid | 中くらいの動き |
| ライン照明、細い帯 | High Mid | 細かく動くので、細い形に合う |
| 小さな点、粒 | Treble | いちばん細かく動く |
大きいものはゆっくり、小さいものは細かく。 この対応を守ると、それらしく見えます。
強さも全部を最大にせず、主役だけを強くします。全部が全力で光ると、どこを見ればいいか分からなくなります。
うまくいかないときは
- まったく光らない → AudioLinkのPrefabにAudio Sourceが割り当たっていません
- 音は鳴るのに反応しない → マテリアルのAudioLinkの項目が無効か、強さが
0です - わずかに光るだけ → Emissionの色が暗すぎます。明るい色にします
- 全部が同じ動きをする → 全部がBassを見ています。帯域を分けます
- 明るい部屋で違いが分からない → 暗めの部屋で確かめます。発光は暗いところでこそ映えます
- シェーダーにAudioLinkの項目がない → 対応シェーダーに 差し替えます。自分で書く必要はありません
おまけ:先に知っておくと良いこと
- 動画の音にも反応する: AudioLinkが見ているのはAudio Sourceの波形です。動画プレイヤー の音をつなげば、流している映像に合わせて部屋が光ります
- AudioLinkが無いワールドでも壊れない: 対応シェーダーは、AudioLinkが無ければ普通のマテリアルとして描かれます。試して合わなければ外せます
- Quest向けは慎重に: 対応シェーダーは端末によって使えないことがあります。Android版も作るなら、Quest・スマホにも対応する の手順で確かめてください
- 光り物は数を絞る: 全面が光ると目が疲れます。落ち着いた面を多めに残して、光るのは一部にとどめるほうが心地よくなります
- 使いどころはいろいろ: クラブの壁、ライブ会場の照明、リズムゲームの演出、静かなラウンジのゆるい明滅。強さを抑えれば落ち着いた空間にも使えます
まとめ
AudioLinkは、音を数字に変えて配る仕組みです。
- 配られるのは4つの帯域の数字。解析は自分でしない
- Prefabを置いて、Audio Sourceを1つつなぐだけ
- 光らせるのは対応シェーダーの設定。自分では書かない
- 大きい面はBass、細かい飾りはTreble
作るときの問いかけは、「これは大きくゆっくり動くものか、細かく動くものか」 です。そこで見る帯域が決まります。