作ったワールドに、友達を呼びました 。ところがQuest単体で遊んでいる人が入れません。スマホから見に来てくれた人も同じです。
VRChatのワールドは、端末ごとにビルドを分けて、同じIDに載せます。 1回作ればどの端末でも動く、という形にはなっていません。
この記事では、PC版のあるワールドに、Android版を追加する ところまでを扱います。
この記事でわかること
- 1つのIDに複数のビルドが載る仕組み
- Androidで真っ先に外れるもの
- テクスチャの端末別設定
- 実機がなくても確かめる方法
ワールドをアップロードする で1回アップロードした状態から始めます。
1つのIDに、2つのビルドを載せる
ワールドには Blueprint ID という背番号が付いています。アップロードすると1つ発行され、シーンの VRCWorld に記録されます。

このIDが、ワールドそのものです。同じIDのまま、端末を変えてアップロードすると、そのワールドに別のビルドが追加されます。
| 来場者の端末 | 受け取るビルド |
|---|---|
| PC(VR・デスクトップ) | PC版 |
| Quest単体 | Android版 |
| スマホ | Android版 |
同じ部屋に集まれて、同じ仕掛けが動きます。見えている物や照明の焼き方が違っていても構いません。
新しいIDを作ってしまうと、別々のワールドになります。 検索でも2つ並んで出てきて、PCの人とQuestの人が別の部屋に入ることになります。ここが、この作業でいちばん気をつけるところです。
作業の流れは4段です。
- UnityのBuild TargetをAndroidに切り替える
- Android向けに直す
- 同じシーンを アップロードする
- スマホかQuestで入って確かめる
3番目で、シーンの VRCWorld に前と同じBlueprint IDが 入っていること を確認します。そこが同じなら、同じワールドに載ります。
Androidで真っ先に外れるもの
Quest単体もスマホも、中身はAndroidです。PCとは性能の桁が違うので、PCで当たり前に使っているものが使えません。

| 使えない・避けるもの | 代わりに |
|---|---|
| Post Processing(後処理) | 使わない。色はライトとマテリアルで作る |
| リアルタイムライト・影 | ライトを焼く(Baked) |
| 自作シェーダー・重いシェーダー | VRChatのモバイル向けシェーダー |
| 大きなテクセルのテクスチャ | 端末別の設定で小さくする |
| 大量のパーティクル、透明の重なり | 数を減らす |
照明を焼いてあるかどうかが、いちばん効きます。 ライトを焼く をまだやっていないなら、Android対応の前に済ませてください。焼いていないワー ルドは、Androidではほぼ真っ暗になります。
シェーダーは、SDKがビルド時に警告を出してくれます。対応していないシェーダーは自動で置き換えられることがあり、見た目が変わります。 自分で置き換えておくほうが、意図した見た目になります。
Android版でも、Udonの仕掛けはそのまま動きます。書き直す必要はありません。 変えるのは主に見た目の部分です。
実践:Android版をビルドする
PC版をアップロード済みのワールドに、Android版を追加します。

1. 準備を確かめる
Unity Hubで、使っているUnityのバージョンに Android Build Support が入っているか確認します。入っていなければ、Unity Hubの「Add modules」から追加します。
シーンを開いて、VRCWorld を選び、Pipeline Manager にBlueprint IDが入っていること を確認します。ここが空だと、新しいワールドとして上がってしまいます。
念のため、この時点でシーンを保存しておきます。
2. Build TargetをAndroidに切り替える
「File → Build Settings」を開きます。
Platformの一覧から Android を選び、Switch Platform を押します。
初回は時間がかかります。 プロジェクト内の画像や音を、Android向けに作り直しているためです。素材が多いと 数十分かかることもあるので、余裕のあるときに始めてください。
3. Android向けに直す
切り替えが終わったら、次の3つを見ます。
照明を焼く。 Lightingウィンドウで、リアルタイムライトが残っていないか確認します。Mode が「Realtime」のライトは「Baked」に変えて、焼き直します。
後処理を外す。 Post Process Volume や Post Process Layer が付いていれば、無効にします。
テクスチャを小さくする。 大きなテクスチャを選んで、Inspectorの下のほうにある Platform Settings で「Android」のタブを開きます。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| Override for Android | オン |
| Max Size | 512 か 1024 |
| Format | 自動のままでよい |
PC版の設定はそのままです。 ここで変えるのはAndroid向けの分だけなので、PC版の見た目は落ちません。
大きなテクスチャから順に、10枚ほど直せば効果が見えます。全部を一度にやろうとしなくて構いません。
4. ビルドしてアップロードする
VRChat SDKのControl Panelを開いて、Builderのタブを見ます。
警告の一覧が出ます。 赤いエラーは直さないとアップロードできません。黄色い警告は、内容を読んで判断します。よく出るのは次の3つです。
| 警告の内容 | どうするか |
|---|---|
| 対応していないシェーダー | モバイル向けシェーダーに変える |
| リアルタイムライトがある | 焼く、または削る |
| テクスチャのメモリが大きい | Max Sizeを下げる |
問題なければ、Build & Publish を押します。PC版のときと同じ手順です。
アップロードが終わったら、SDKのワールド一覧で PCとAndroidの両方に印が付いていること を確認します。
5. 実際に入って確かめる
Questを持っていなくても確かめられます。スマホのVRChatで入ってください。 受け取るのは同じAndroid版です。
| 確認すること | 見るところ |
|---|---|
| 部屋が明るいか | 真っ暗ならライトが焼けていない |
| ピンク色の面がないか | シェーダーが対応していない |
| 仕掛けが動くか | ボタン、扉、椅子 |
| 動きが重くないか | 歩いたときのカクつき |
ピンク色の面 は、シェーダーが読めていない印です。そのマテリアルをモバイル向けシェーダーに変えて、上げ直します。
PCからも入り直して、PC版が壊れていないこと も確かめてください。Android向けの作業で、うっかりライトを消していることがあります。
うまくいかないときは
- 別のワールドになった → Blueprint IDが変わっています。Pipeline Managerを確認して、元のIDに戻します
- 部屋が真っ暗 → ライトが焼かれていません。Bakedに変えて焼き直します
- ピンク色の面がある → シェーダーが対応していません。モバイル向けに変えます
- Switch Platformが終わらない → 素材の変換に時間がかかっています。待ちます。2回目以降は速くなります
- アップロードできない → 赤いエラーを読みます。たいてい容量かシェーダーです
- PC版の見た目が変わった → Android向けの作業がPC版にも及んでいます。Platform Settingsで分けられているか確認します
- 動画が再生されない → 動画まわりは端末差が大きい部分です。Android版では別の設定が要ります
おまけ:先に知っておくと良いこと
- 早めに1回ビルドしておく: 完成してからAndroid対応を始めると、直す量が膨れ上がります。作りかけでも一度ビルドしておくと、どこが引っかかるか分かります
- 見た目は違っていてよい: 同じにしようとすると無理が出ます。「同じ部屋で、同じことができる」を目標にしてください
- Build Targetの切り替えは行き来できる: 何度でも戻せます。ただし毎回時間がかかるので、まとめて作業するのがおすすめです
- 容量の上限はPCより厳しい: Androidはダウンロードできる量が小さいので、テクスチャの削減が効きます。重さを測る の手順でサイズを見ながら進めてください
- 入れる人が増える: Quest単体とスマホの利用者は多く、対応するだけで来場者の幅が大きく広がります
まとめ
Quest・スマホ対応は、同じIDに別のビルドを載せる作業です。
- Blueprint IDが同じなら、1つのワールドになる
- Build TargetをAndroidに切り替えてビルドする
- 焼いた照明、後処理なし、モバイル向けシェーダー、小さいテクスチャ
- スマホで入れば、実機がなくても確かめられる
上げる前の問いかけは、「Blueprint IDは前と同じか」 です。ここさえ守れば、あとはやり直しがききます。
誰にとっても使いやすくするなら いろんな人が使えるようにする、容量を減らすなら ワールドの容量を減らす へ進んでください。