ワールドに人を招いたら、「読み込みが長い」と言われました。実際に自分でも入り直してみると、たしかに待たされます。
入室の待ち時間は、そのままそこで諦める人の数 になります。せっかく作った部屋を見てもらえません。
原因はたいてい1つです。テクスチャです。 この記事では、見た目をほとんど落とさずに容量を減らす手順を扱います。
この記事でわかること
- 容量の内訳と、まず見るべきところ
- Max Sizeを下げる効き方
- Crunch圧縮の使いどころ
- 減らしすぎてはいけないもの
重さを測る を読んだ状態から始めます。
容量の大半はテクスチャ
ワールドの容量は、こう分かれています。

| 中身 | だいたいの割合 |
|---|---|
| テクスチャ(画像) | 大半 |
| 音声 | 曲を入れていれば無視できない |
| モデル(メッシュ) | 少ない |
| スクリプト、シーンの設定 | ごくわずか |
スクリプトを削っても容量は減りません。 モデルの頂点を減らしても、思ったほど変わりません。
テクスチャが大きくなる理由は、増え方にあります。解像度を2倍にすると、容量は4倍になります。
| 解像度 | 面積の比 |
|---|---|
| 512 × 512 | 1 |
| 1024 × 1024 | 4 |
| 2048 × 2048 | 16 |
| 4096 × 4096 | 64 |
素材サイトからダウンロードした画像は、2048 や 4096 になっていることがよくあります。壁のタイル1枚に4096は要りません。
逆に言えば、ここを下げるだけで大きく減ります。 手を入れる場所がはっきりしているのが、容量の良いところです。
実践:容量を半分にする
いまのワールドの容量を測って、テクスチャを整理して、また測ります。
1. いまの容量を控える
VRChat SDKのControl Panelを開いて、Builderのタブを見ます。
ビルドすると2つの数字が出ます。控えておきます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| Download Size | 来場者がダウンロードする量 |
| Uncompressed Size | 展開後の大きさ |
この2つの数字が、この記事の答え合わせです。
2. 大きいテクスチャを見つける
Projectウィンドウの検索欄に t:Texture と入力します。プロジェクト内のテクスチャがすべて出ます。
右上の表示切り替えでリスト表示にすると、まとめて選びやすくなります。
大きいものから手を付けてください。 1枚の4096を直すほうが、小さいものを10枚直すより効きます。
3. Max Sizeを下げる
テクスチャを選ぶと、Inspectorに読み込みの設定が出ます。
Max Size の欄を下げます。目安はこうです。
| 使いみち | Max Size |
|---|---|
| 床や壁の広い面 | 1024 |
| 家具や小物 | 512 |
| 遠くにある飾り | 256 |
| 文字が入った看板 | 1024 以上を保つ |
Max Sizeは上限です。 元の画像が小さければ、そのまま使われます。下げても壊れないので、安心して試せます。
下げたあと、Sceneビューで見比べてください。 ぼやけて見えるなら1段階戻します。
複数のテクスチャをまとめて選んで、一度に設定できます。同じ用 途のものはまとめて処理すると速いです。
4. Crunch圧縮をかける
同じInspectorの下のほうに、Use Crunch Compression のチェックがあります。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| Use Crunch Compression | オン |
| Compressor Quality | 70 から 90 |
Crunchは、ダウンロードする量を減らすための圧縮 です。展開後の大きさは変わりませんが、来場者が待つ時間は短くなります。
代わりに、Unity側での書き出しに時間がかかります。 チェックを入れた直後、しばらく処理が走ります。素材が多いと数分待つことがあります。
品質は 90 あたりから試して、見た目が気になれば上げてください。壁や床の質感なら、70 でもほとんど分かりません。
5. 音声も見る
BGMを入れているなら、そこも効きます。
音声ファイルを選んで、Inspectorで次のようにします。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| Load Type | 長い曲は Streaming |
| Compression Format | Vorbis |
| Quality | 70 前後 |
長いBGMは Streaming にすると、全部を読み込まずに再生が始まります。 短い効果音は、そのままで構いません。
6. 測り直す
もう一度ビルドして、2つの数字を比べます。

| 項目 | 前 | 後 |
|---|---|---|
| Download Size | ||
| Uncompressed Size |
テクスチャを整理しただけで、半分近くまで減ることも珍しくありません。
数字が減ったら、実際に入って見た目を確かめてください。 数字だけ見て満足して、あとから「ぼやけている」と気づくのがいちばん惜しいところです。
減らしすぎてはいけないもの
なんでも下げればよいわけではありません。下げると目に見えて困るもの があります。

| 保つもの | 理由 |
|---|---|
| 文字が入った看板 | 読めなくなります。案内が読めないと迷います |
| 顔を近づけて見る物 | 手に持つ小物、覗き込む展示 |
| 繰り返さない大きな絵 | ポスターや壁画は、粗さがそのまま出ます |
| 法線マップ | 圧縮すると凹凸が汚くなります |
逆に、思い切って下げてよいもの もはっきりしています。
- 遠くの背景にしか出ない物
- 細かく繰り返すタイルや床
- 暗い場所にしかない物
「来場者がどれくらい近づくか」で決めてください。 触れる距離まで近づく物だけ、解像度を残します。
うまくいかないときは
- 数字が減らない → まだ大きいテクスチャが残っています。
t:Textureで一覧を出して、上から順に見ます - 見た目がぼやけた → 下げすぎです。1段階戻します。特に看板は要注意です
- Crunchを入れたら書き出しが終わらない → 処理に時間がかかっています。待ちます
- 音が悪くなった → Qualityを上げるか、効果音だけ圧縮を控えます
- Questで容量が足りない → PCよりずっと厳しくなります。Android向けの設定を別に下げてください
- アップロードで弾かれる → 上限を超えています。テクスチャからさらに減らします
おまけ:先に知っておくと良いこと
- 端末ごとに分けられる: テクスチャの設定は、PCとAndroidで別々にできます。詳しくは Quest・スマホにも対応する を参照してください
- 同じ素材を使い回す: 似た壁が5種類あるより、1種類を使い回すほうが軽くて、見た目もまとまります
- 元ファイルは残しておく: Max Sizeは読み込みの設定なので、元の画像は保たれています。あとから戻せます
- 早めに測る癖をつける: 素材を入れた直後にビルドして数字を見ておくと、どこで膨らんだかが分かります
- 入室が短いこと自体が体験の一部: 待たされないワールドは、それだけで印象が良くなります。見た目を少し落としてでも、入りやすさを取る価値があります
まとめ
容量を減らす作業は、テクスチャの整理です。
- 容量の大半はテクスチャ。解像度が2倍なら容量は4倍
- Max Sizeを下げる。上限なので、下げても壊れない
- Crunch圧縮でダウンロード量を減らす
- 文字と、近くで見る物は下げない
下げる前の問いかけは、「来場者は、これにどれくらい近づくか」 です。遠くにしかない物なら、思い切って下げて構いません。
公開前の確認をするなら 公開前チェックリスト、端末を広げるなら Quest・スマホにも対応する へ進んでください。