【Unreal Engine】プロジェクトを新しいUEバージョンへ上げる:壊さないための手順

作成: 2026-07-25

UEは年2回バージョンが上がります。作りかけのプロジェクトを上げるべきかの判断軸、複製してから試す鉄則、Switch Unreal Engine Versionの手順、上げた直後にOutput Logで見る場所、よくある壊れ方と直し方を、実際に1バージョン上げる実践つきで解説します。

新しいUEが出た。使いたい機能がある。でも、作りかけのプロジェクトを上げて壊れたらと思うと手が止まる。

UEは年2回ほどメジャーバージョンが上がります。個人開発の期間なら、制作中に2〜3世代またぐことも珍しくありません。上げること自体は難しくないのですが、「壊れても戻れる状態を先に作っておくか」で結果がまったく変わります。この記事では、上げるべきかの判断軸、複製してから試す手順、上げた直後にどこを見るか、そしてよくある壊れ方と直し方を解説します。

古いバージョンのプロジェクトを複製してから新しいバージョンへ移す様子とソフトブルーのクレイ人形

この記事でわかること

  • 上げるべきか、待つべきか の判断軸
  • 複製してから試す という鉄則
  • Switch Unreal Engine Version での上げ方
  • 上げた直後に Output Logで見る場所
  • よくある壊れ方(非推奨ノード・プラグイン無効化・マテリアル)
  • 実践: 1バージョン上げて、壊れた箇所を直すまで

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上げるべきか、待つべきか

まず前提として、上げないという選択は正しい選択です。動いているプロジェクトを、理由なく上げる必要はありません。

上げる理由は、次の2つに絞れます。

  • 使いたい新機能がある(新しいレンダリング機能、新しいアニメーション機能など)
  • 今のバージョンのバグに当たっている(新バージョンで直っていると分かっている)

逆に、上げないほうがいい場面ははっきりしています。

上げていい場面(新機能を使いたい・バグを踏んでいる)と、上げないほうがいい場面(リリース直後・制作終盤・プラグイン未対応)を左右で対比した図
場面判断理由
新バージョンのリリース直後待つ初期のバージョンは不具合が残っていることがある。少し待つと修正版が出る
制作終盤・リリース直前上げない得るものより、壊れて確認し直すコストのほうが大きい
有料プラグインを使っている各プラグインの対応を確認してからプラグインが新バージョンに未対応だと、その機能ごと止まる
チームで作っている全員で足並みを揃えてから1人だけ上げるとプロジェクトが開けなくなる

プラグインの確認がいちばん見落とされます。 Fabで買ったアセットやプラグインには対応バージョンが書かれています。使っているものを一度書き出して、全部が新バージョンに対応しているかを見てから決めてください。


上げる前にやること

ここがこの記事の背骨です。次の2つをやっておけば、何が起きても元に戻れます。

  1. コミットするソース管理 を入れているなら、上げる前に必ず1回コミットしておきます。「バージョンを上げる直前」の旗を立てておく、ということです
  2. プロジェクトフォルダを複製する — フォルダごとコピーして、複製したほうを上げます。元のフォルダには手を触れません
元のプロジェクトフォルダを複製し、複製したほうだけを新バージョンで開く。元はそのまま残るので、失敗しても複製を消せば戻れることを示した図

複製さえしておけば、失敗したときの復旧は「複製フォルダを消す」だけです。この安心があるかないかで、試せることの幅が変わります。

複製したら、開く前に3つのフォルダを削除しておきます。

フォルダ中身消していい理由
Saved一時ファイル・ログ・自動保存エンジンが作り直す
Intermediateビルドの中間生成物同上
DerivedDataCacheシェーダーなどのキャッシュ同上

これらは前のバージョンで作られたキャッシュなので、残したまま新バージョンで開くと、原因の分かりにくい不具合の元になります。消しておけば新バージョンで作り直されます(初回起動は少し時間がかかります)。

ContentConfig.uproject は絶対に消さないでください。 ここが自分で作った本体です。何を消していいかの仕分けは 初期設定の記事.gitignore の考え方と同じです。

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実際の上げ方

新しいバージョンのエンジンは、Epic Games Launcher の「Unreal Engine → ライブラリ」 から追加インストールします。古いバージョンを消す必要はありません。複数のバージョンを同時に入れておけます。

インストールできたら、複製したプロジェクトの .uproject ファイルを右クリックします。

.uprojectを右クリックしてSwitch Unreal Engine Versionを選び、一覧から新しいバージョンを選ぶ操作を示した図

メニューの Switch Unreal Engine Version を選ぶと、インストール済みのバージョン一覧が出ます。上げたいバージョンを選んでOKを押すと、.uproject の中に書かれているエンジンバージョンが書き換わります。

あとは通常どおり .uproject をダブルクリックして開くだけです。初回の起動はシェーダーの再コンパイルで時間がかかります(プロジェクトの規模によっては数十分)。ここで止まっているように見えても、進行状況が出ていれば待ってください。

もう1つの方法。 新しいバージョンのエディタでプロジェクトを開こうとすると、「コピーを作って開くか、変換するか」を聞かれることがあります。コピーを作るを選べば、複製と切り替えを同時にやってくれます。どちらの方法でも結果は同じです。


上げた直後に見る場所

開けたからといって、まだ終わりではありません。壊れていても、開くところまでは普通にできてしまいます。

見る場所は決まっています。

Output Logのフィルタを開き、ErrorとWarningだけを表示して上から読む手順を示した図
  1. Output Logウィンドウ → Output Log)の Error と Warning — フィルタで絞り込んで、上から読みます。読み方は Print StringとOutput Log と同じです
  2. プラグイン編集 → プラグイン)— 無効化されたものがないか。新バージョン未対応のプラグインは自動で無効になります
  3. Blueprintのコンパイルアセット → 全Blueprintをコンパイル を実行し、エラーになるものがないか
  4. 見た目 — レベルを開いて、マテリアルやライティングが以前と同じに見えるか

このうち 1と3が最重要です。ここで何も出なければ、たいていは無事に上がっています。

そして最後に、必ずPlayして一通り遊んでください。コンパイルが通ることと、ゲームが以前と同じように動くことは別の話です。


よくある壊れ方

上げたときに出る症状は、だいたい4種類に分けられます。

症状原因対処
ノードが赤くなる/消えているそのノードが 非推奨(Deprecated) になったOutput Logの警告に 代わりのノード名 が書かれていることが多い。差し替える
機能がまるごと動かないプラグインが 無効化されたプラグイン画面で状態を確認。未対応なら、対応版を待つか代替を探す
見た目が変わったレンダリング機能の既定値が変わったプロジェクト設定のレンダリング項目を、前のバージョンの値と見比べる
C++がビルドできないAPIが変わったエラーの行を見て、変わった関数名・引数に合わせる

いちばん多いのは非推奨ノードです。UEは古いノードをすぐには消さず、まず「非推奨」として警告を出す期間を置きます。この段階で警告に従って差し替えておけば、次のバージョンで消えても困りません。

見た目が変わったときは、慌てて設定を戻さないでください。 新しい既定値のほうが正しいこともあります。まず「どこが変わったか」を特定し、意図的に戻すかどうかを判断してください。

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実践:1バージョン上げて、直しきる

短編ホラーの試作、ローグライクの検証プロジェクト、ポートフォリオ用のショーケース。作りかけを1バージョン上げるという作業は、どんな規模でも手順は同じです。ここでは通しでやります。

準備するもの

上げる対象は、いま作っているプロジェクトで構いません。手元にない場合は、Third Personテンプレートで新規プロジェクトを作り、Blueprintを1つ足しておいてください(何もないプロジェクトだと壊れようがなく、練習になりません)。

用意するもの内容
プロジェクトThird Personテンプレート + 自作のBlueprintが1つ以上
エンジン現在のバージョン + 1つ上のバージョン の両方をインストール済み
プロジェクトを複製し、3フォルダを消し、バージョンを切り替えて開き、ログを読んで直し、Playで確認するまでの一連の流れ図

手順

  1. コミットする(ソース管理を入れているなら)
  2. プロジェクトフォルダをまるごと複製し、名前を MyGame_5xx のように上げ先のバージョンが分かる名前にする
  3. 複製したフォルダの中の Saved / Intermediate / DerivedDataCache を削除する
  4. 複製の .uproject を右クリック → Switch Unreal Engine Version → 1つ上のバージョンを選ぶ
  5. .uproject をダブルクリックして開く。シェーダーのコンパイルを待つ
  6. Output Log を開き、フィルタで Error と Warning に絞って上から読む
  7. アセット → 全Blueprintをコンパイル を実行し、エラーが出たBlueprintを開いて直す
  8. Play して、以前と同じように遊べるか確認する

確かめる

うまくいっていれば、Output Logに Error が0件で、全Blueprintのコンパイルが通り、Playして以前と同じように動きます。テンプレートのキャラクターが走り、ジャンプでき、自作のBlueprintも以前どおり反応するはずです。

うまくいかないときの切り分けです。

  • Blueprintに赤いノードがある → 非推奨ノードです。そのノードを選んでOutput Logの警告を読み、代わりのノードへ差し替えます
  • 機能がまるごと反応しない編集 → プラグイン で、そのプラグインが無効化されていないか確認します
  • どうにもならない複製フォルダを消してください。 元のプロジェクトは無傷です。もう少しバージョンが枯れてから再挑戦すれば構いません

開いた瞬間に落ちる場合は、原因が1つに絞れません。 上から順に見てください。

  1. ログを読むSaved/Logs の最新ファイルの 末尾 、そしてクラッシュレポーターに出ているメッセージ。 ここに答えが書いてあることが多い です
  2. プラグインを疑う — 新バージョン未対応のプラグインが、起動時の初期化で落ちることがあります。.uproject をテキストエディタで開き、Plugins の該当項目を一時的に無効("Enabled": false)にして切り分けます
  3. C++プロジェクトならビルドを確認 — APIの変更でコンパイルが通っていない可能性があります。Visual Studioでビルドし、エラーを読みます
  4. キャッシュを消すSaved / Intermediate / DerivedDataCache を消して開き直します(手順3を飛ばしていた場合は、ここで解決します)
  5. アセットを切り分ける — それでも落ちるなら、Content の一部を別フォルダへ退避して、どのアセットが原因かを絞ります

いちばんやってはいけないのが、原因を推測して手当たり次第に試すことです。 ログの末尾を読むのが、いつでも最短です(→ Print StringとOutput Log)。

ポイントは2つです。

  • 元のフォルダには一切触らない: 上げる作業は全部、複製の中で完結させます。これを守っている限り、最悪の結果が「時間を無駄にした」で止まります
  • 上げたら遊ぶまでが1セット: コンパイルが通ることと、ゲームが以前と同じに動くことは別です。Playで一通り触るところまでを手順に含めてください

上げた後は、新しいバージョンでもう一度パッケージが通るかも確認しておくと安心です(→ パッケージ化とビルド)。


おまけ:先に知っておくと良いこと

飛ばさず1つずつ上げる。 2世代以上離れている場合、いきなり最新へ飛ばすこともできますが、壊れたときに「どのバージョンで壊れたか」が分からなくなります。1つ上げてPlayで確認、また1つ上げて確認、と刻むほうが、結果的に早く終わります。

複数バージョンを同時に入れておける。 エンジンは何世代でも共存できます(そのぶんディスクは食います)。古いバージョンをすぐ消さないでください。上げた先で問題が出たとき、古いほうで開き直して比べられます。

エンジンのソースビルドは別の話。 GitHubからエンジンのソースを取得してビルドしている場合、この記事の手順とは進め方が変わります。まずはLauncherから入れる通常版で運用するのが、個人開発では現実的です。

「バージョン差を先に疑う」は本当によく効く。 チュートリアルどおりにやったのにノードが見つからない、設定項目の場所が違う——こうしたときは、記事や動画が作られたバージョンと自分のバージョンの差がいちばんの容疑者です(→ 初心者ロードマップ)。


まとめ

バージョンアップで大事なことは、順番に並べるとこれだけです。

  • 上げる理由がないなら上げない。リリース直後と制作終盤は避ける
  • コミットして、複製する。上げるのは複製のほうだけ
  • Saved / Intermediate / DerivedDataCache を消してから開く
  • Output Log の Error と Warning、全Blueprintのコンパイル、そしてPlay で確認する
  • 駄目なら複製を消す。元は無傷

手順としては複製の一手間だけですが、これがあるだけで「試してみる」のハードルが一気に下がります。新しいバージョンで使ってみたい機能は、何かありますか。