UE5でサウンドを調べると、Sound CueとMetaSoundsという2つの仕組みが出てきます。どちらも音を鳴らすためのアセットで、見た目もノードをつなぐ形で似ています。そのため「新しく作るならどちらなのか」「そもそも何が違うのか」で手が止まります。
違いは役割です。Sound Cueは用意した音を選んで鳴らす設計図で、MetaSounds は音そのものを組み立てて加工する仕組みです。とくに大きいのは、MetaSoundsが再生中の音を外から変えられる点です。この記事では、Sound Cueとの違い、MetaSound Sourceの作り方、基本ノード、そして再生中にInputを渡して音を変える方法までを解説します。
この記事でわかること
- Sound Cue=素材を選んで鳴らす、MetaSounds=音を組み立てて加工する
- MetaSound Source の作り方と、Wave Player / Random の基本ノード
- トリガー と 音声 の2種類のワイヤーの見分け方
- 再生中に音を変える最大の強み、 Inputを外から渡す 方法
- 実践: 足音の高さを移動速度で変える
Sound Cueとの違い:選ぶか、組み立てるか
先に結論から言うと、2つは競合ではなく 役割が違う 仕組みです。
Sound Cue は、すでにある音(Sound Wave)を 選んで、混ぜて、揺らして鳴らす 設計図です。素材そのものは触りません。詳しくはSound WaveとSound Cueの記事で扱っています。
MetaSounds は、そこから一歩踏み込んで 音を組み立て、加工する 仕組みです。ノードをつないでいく点はSound Cueと似ていますが、扱えるものが違います。

| Sound Cue | MetaSounds | |
|---|---|---|
| 考え方 | 素材を選んで鳴らす | 音を組み立てて加工する |
| 得意なこと | ランダム選択、ピッチ・音量の揺らぎ | それに加えてDSP(フィルタや合成)まで |
| 再生中の変更 | 基本はできない | Inputで外から変えられる |
| 位置づけ | 今も現役 | Epicの開発の中心 |
いちばんの違いは、下から2行目の 再生中の変更 です。Sound Cueは「どう鳴らすか」を作った時点で固定するのに対し、MetaSoundsは 鳴らしている最中にBlueprintから値を送り込んで音を変えられます 。ピッチ・音量はもちろん、フィルタの効き具合や鳴らす間隔まで、実行中に動かせます。
どちらを使うかは、今から新しく作るなら MetaSounds で構いません。ただしSound Cueが使えなくなったわけではなく、 考え方(素材を選ぶ・変調する・出力する)は共通 なので、片方を理解すればもう片方も読めます。
MetaSound SourceとPatchの作り方
コンテンツブラウザで右クリックし、 Sounds > MetaSound Source を選ぶと作れます。名前を付けてダブルクリックすると、専用のエディタが開きます。
同じメニューに MetaSound Patch もありますが、役割が違います。
| アセット | 再生できるか | 用途 |
|---|---|---|
| MetaSound Source | できる | Blueprintの Sound ピンに挿す、実際の音 |
| MetaSound Patch | できない | 複数のSourceで使い回す部品(サブグラフ) |
最初に作るのは MetaSound Source です。Patchは「よく使う加工をまとめて再利用する」段階で出てくるので、今は気にしなくて構いません。
エディタを開くと、最初から On Play(入力)と On Finished(出力)、そして音声の出力ピンが置かれています。
- On Play: この音が再生され始めた瞬間に発火するトリガー。ここから処理を始めます
- On Finished: 再生が終わったことをエンジンに伝えるトリガー。単発の音では、鳴らし終わったらここへつなぎます
- Out(Mono / Left・Right): 実際に耳へ届く音声信号の出口
補足: MetaSoundsはプラグインで提供されますが、UE5の標準テンプレートでは有効になっています。もしノードが見当たらないときは、
Edit > Pluginsで MetaSound が有効かを確認してください。
基本のノード:Wave PlayerとRandom
最初に覚えるノードは2つです。この2つで「素材を鳴らす」「複数からランダムに選ぶ」が作れます。

Wave Player は、Sound Wave(.wav 素材)を再生するノードです。主なピンは次のとおりです。
| ピン | 種類 | 内容 |
|---|---|---|
| Play | トリガー(入力) | ここが発火すると再生を始める |
| Wave Asset | データ(入力) | 鳴らすSound Wave |
| Pitch Shift | データ(入力) | ピッチを半音単位でずらす。再生中でも効く |
| On Finished | トリガー(出力) | 鳴らし終わったら発火 |
| Out | 音声(出力) | 実際の音声信号 |
Random Get は、 配列から1つをランダムに取り出す ノードです。Next トリガーを受けるたびに、つないだ配列から1要素を選んで出します。No Repeats を設定すると、直前と同じ要素を避けられます。
足音を3〜5種類の配列にして Random Get へ入れ、その出力を Wave Player の Wave Asset へつなげば、「毎回違う足音」の土台ができます。これはSound Cueの Random ノードと同じ発想です。
トリガーと音声:2種類のワイヤー
MetaSoundsを触り始めて最初に戸惑うのが、 ワイヤーに種類がある ことです。つなごうとしても挿せない、というのはたいてい種類の取り違えです。

| ワイヤー | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| トリガー | 「今やれ」の合図。一瞬だけ発火する | On Play、Play、On Finished |
| 音声(Audio) | 耳に届く連続した信号 | Wave Playerの Out |
| データ | 設定値。数値や真偽 | Float、Int、Bool、Wave Asset |
見分け方はシンプルで、 同じ種類のピン同士しかつながりません 。トリガーはトリガーへ、音声は音声へ、Floatの値はFloatの入力へ。「線が引けない」ときは、出口と入口の種類が違わないかを見てください。
とくに トリガー はMetaSoundsの中心です。「Randomで次を選ぶ」「Wave Playerを鳴らす」といった動作は、すべてトリガーが発火した瞬間に起こります。連続的に流れ続ける音声信号とは、性質が別物だと押さえておくと混乱しません。
Inputで外から音 を変える
ここがMetaSoundsの主役です。グラフに Input を作っておくと、 Blueprintから名前を指定してその値を送り込めます 。しかも再生中に送れます。

流れは3ステップです。
- MetaSoundエディタの左側「Inputs」で、たとえば
SpeedRatio(Float)というInputを追加する - そのInputを、グラフ内で使いたいところ(
Wave PlayerのPitch Shiftなど)へつなぐ - Blueprintから、その音のAudio Componentに対して
Set Float Parameterを送る
3番目のノードは、In Name に グラフのInput名と同じ文字列(この例なら SpeedRatio)、In Value に送りたい値を入れます。 文字列が一致して初めて届く ので、大文字小文字まで合わせてください。
そしてここに、初心者がまず引っかかる落とし穴があります。 Set Float Parameter を送るには、その音のAudio Componentの参照が必要 です。ところが再生ノードには2系統あり、参照を返すのは片方だけです。
| 鳴らし方 | 戻り値 | パラメータを送れるか |
|---|---|---|
| Play Sound 2D / at Location | なし(鳴らしっぱなし) | 送れない |
| Spawn Sound 2D / Attached | Audio Component | 送れる |
つまり、あとから音を変えたいなら Spawn Sound 系で鳴らす 必要があります。Play Sound で鳴らすと参照が手元に残らず、Set Float Parameter の送り先がありません。「MetaSoundにInputを作ったのに変わらない」ときは、まずここを疑ってください。
補足: 値だけでなく、トリガーも外から送れます。グラフにトリガー型のInputを作り、
Set Trigger Parameter(MetaSound内のトリガー入力を実行するノード)で発火させると、「鳴らしっぱなしの1つの音に、外から拍を打ち込む」といった作り方もできます。まずはFloatのInputから始めるのがおすすめです。
実践:足音の高さを移動速度で変える
アクションの走行音、ホラーの忍び足、RPGのフィールド移動。 速く動くほど足音が少し高く弾む ようにすると、同じ素材でもスピード感が伝わります。ここでは、移動速度をInputで受け取り、足音のピッチをその場で変えるMetaSoundを作ります。
動かすとこうなる
歩いているときは低めの落ち着いた足音、走り出すと1段高い足音になり、しかも1歩ごとにわずかに違って聞こえる状態を作ります。
