【Unreal Engine】Sound WaveとSound Cueの使い分け:足音に自然な変化をつける

作成: 2025-12-12最終更新: 2026-09-06

Sound Waveは音の素材、Sound Cueは鳴らし方の設計図。足音を題材にRandomとModulatorの役割を学び、音を聞き比べてから、Animation Notifyで着地のタイミングに合わせて鳴らします。

歩くたびに「コツ、コツ、コツ」。足の動きには合っているのに、まったく同じ音が続くと、機械的な繰り返しが耳につくことがあります。

そんなときは、数種類の足音から一つを選び、音の高さや音量にも少しだけ変化をつけてみましょう。UEでは、音の素材を持つSound Wave と、鳴らし方を組み立てるSound Cue を分けて扱えます。

同じ素材でも、音の高さや音量を変えると聞こえ方に変化が生まれる

この記事でわかること

  • Sound Wave(素材)とSound Cue(鳴らし方)の違い
  • RandomとModulatorで、同じ足音を毎回変える方法
  • Animation Notifyで足が着く瞬間に鳴らす手順
  • 距離の減衰と部屋の響きは、別に整えるということ

今回は、Sound Cueの中で足音を作り、何度か聞き比べてから、キャラクターの着地に合わせて鳴らします。

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Sound Waveは音の素材

足音の .wav ファイルをコンテンツブラウザへドラッグすると、Sound Wave が作られます。録音した音を、UEで使うためのアセットにしたものです。

足音のwavファイルを取り込み、Sound Waveアセットとして使う

Sound Waveには音のデータと再生に関する設定があり、そのまま鳴らせます。ただし、「三つの足音から一つ選ぶ」といった組み合わせのルールは、別に用意します。

Blueprintから再生するなら、たとえば次のノードを使います。

ノード鳴らし方使う例
Play Sound 2D空間内の位置に関係なく鳴らすボタン音、BGM
Play Sound at Location指定した位置で鳴らす足音、爆発音

位置を指定することと、遠くで小さくすることは別の設定です。距離によって音量を変えるには、後述するAttenuationも設定します。

ボタンのクリック音やセリフなど、一つの素材をそのまま使いたい場面ではSound Waveで十分です。Sound Cueを作ること自体が、音を良くするわけではありません。

Sound Cueは鳴らし方の設計図

Sound Cue は、Sound Waveを素材として、「どれを選ぶか」「どのくらい音を変えるか」をノードで組み立てるアセットです。

三つの足音素材からRandomで一つを選び、Outputへ渡すSound Cue

BlueprintのPlay Sound 2DやPlay Sound at Locationの「Sound」には、Sound WaveもSound Cueも指定できます。素材を直接指定していたところをSC_Footstepへ変えれば、同じ再生ノードから足音Cueを鳴らせます。

これなら、あとから足音を増やしたり、高さの変化を弱めたりするときも、Cueを開いて調整できます。「いつ鳴らすか」と「どんな音を鳴らすか」を分けておけるのが利点です。

選ぶRandom、変化をつけるModulator

最初は、この二つを使ってみましょう。

Random は、つないだ素材から再生するものを一つ選びます。同じ床を踏んだ足音を3種類用意すれば、毎回同じ録音だけが鳴る状態を減らせます。

Modulator は、再生するたびに音の高さと音量を、指定した範囲から選びます。ここでいう ピッチ(Pitch)は音の高さ、Volumeは音量です。「少し低め」「少し小さめ」といった違いを加えられます。

Randomで素材を一つ選び、Modulatorでピッチと音量を少し変える

この図の波形は、聞こえ方の変化を表すイメージです。Modulatorが一つの音を鳴らしている間ずっと値を揺らし続ける、という意味ではありません。今回は足音を一回鳴らすたびに値を選び直す使い方です。

Randomで無作為に選ぶだけなら、同じ素材が続くこともあります。繰り返し方を調整する設定も、次の手順で確かめます。

実践:足音Cueを作って聞き比べる

まずは、キャラクターへつなぐ前に音だけを確認します。短い足音の .wav を3個用意してください。一つのファイルに一歩分が入っていて、先頭に長い無音がない素材が扱いやすいです。

同じ床・同じ靴の音で、踏み方が少し違うものを選びます。似た大きさの素材をそろえると、一歩だけ急に大きく聞こえることを防げます。複製した同じファイルを3個並べても、素材の違いは生まれません。

1. まず、一つの音を鳴らす

  1. 3個の音声ファイルをコンテンツブラウザへドラッグして取り込む。
  2. SW_Footstep_01SW_Footstep_02SW_Footstep_03 と名付け、それぞれ試聴する。
  3. コンテンツブラウザで右クリックし、音のカテゴリ(Audio/Sounds)から「Sound Cue」を作る。名前は SC_Footstep
  4. Cueを開き、SW_Footstep_01をグラフへドラッグする。
  5. 素材を再生する Wave Player の出力を、最初からある Output の入力へつなぐ。

Outputは、このCueの最終的な出力先です。ツールバーの「Play Cue」で、一歩分の音が鳴れば最初の段階は成功です。Wave Playerの「Looping」はオフにしておきます。

2. 三つから選ぶ形へ変える

残りのSW_Footstep_02と03もグラフへドラッグします。グラフの右クリックメニューから Random を追加し、先ほどのWave PlayerからOutputへの直結を外します。

三つのWave Playerの出力を、Randomの別々の入力へつないでください。入力が足りなければ、Randomの「Add Input」で追加します。

Randomを選び、詳細で次を設定します。

項目設定ねらい
Weights三つとも1.0特定の素材だけを選ばれやすくしない
Randomize Without Replacementオン一通り選んでから、次の組へ進む
Preselect at Level Load0今回は候補を減らさない

Weightsは、選ばれやすさの重みです。まず同じ値にして、素材を同じ条件で比べます。

Randomize Without Replacementは、選んだ素材をいったん候補から外す方法です。01・02・03を一通り選んだら、また三つが候補に戻ります。「前回と同じ素材は絶対に選ばない」という設定とは区別してください。

3. 高さと音量を少し変える

Modulator を追加し、Randomの出力→Modulatorの入力、Modulatorの出力→Outputの入力とつなぎます。

三つのWave PlayerをRandomへつなぎ、Modulatorを通してOutputへ出す構成

Modulatorを選び、詳細で次のように設定します。

項目意味
Pitch Min0.92元の音より少し低い側
Pitch Max1.08元の音より少し高い側
Volume Min0.85少し小さい側
Volume Max1.0元の音量の側

1.0が元の値を変えない倍率です。Pitchを1より小さくすると低く、大きくすると高くなります。ここでは元の高さから上下8%の幅を使っています。音量の0.85は元の信号に掛ける倍率で、体感の大きさが厳密に85%になるという意味ではありません。

まずはこの範囲で聞き、変化が大きすぎればPitch MinとMaxを1へ近づけます。素材の特徴が残る程度の、小さな違いから始めましょう。

4. 設定を一つずつ聞き比べる

保存し、「Play Cue」を一回ずつ、音が終わるのを待って繰り返します。連打で音を重ねるより、違いを聞き取りやすくなります。

素材の違いとピッチの違いを分けて聞き、最後に両方を組み合わせる
  • 素材の違いだけ聞く:Modulatorの4項目をすべて1.0にして再生する。
  • ピッチの違いを聞く:Pitchを0.92〜1.08へ戻し、Volumeは両方1.0のまま再生する。
  • 仕上がりを聞く:Volume Minも0.85へ戻す。

三つの音の違いが分かり、変化を加えても同じ場所を歩いているように聞こえれば、Cue側の準備はできました。

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足が着くタイミングで鳴らす

次は、作ったCueを歩行に合わせます。ここからは、キャラクターが歩く・走るアニメーションを再生できていることが前提です。土台がまだない場合は、Animation Blueprint入門から用意してください。

Notify(通知) は、アニメーションの特定の時点で処理を呼ぶ目印です。足が地面に着くところへ音の通知を置けば、アニメーションの再生に合わせて足音が鳴ります。

一歩分のアニメーションで足が着く瞬間と、Play Sound通知の位置を合わせる
  1. 実際に歩行で使っている Animation Sequence(ひとまとまりのアニメーション素材) を開く。Blend Spaceを使っている場合は、その中で参照している歩行素材を開く。
  2. プレビューを止め、時間を少しずつ動かして片足が地面に着く瞬間を探す。
  3. タイムラインの「Notifies」の子トラック(初期状態では「1」)を、その時点で右クリックする。
  4. 「Add Notify」→「Play Sound」を追加する。
  5. 追加した通知を選び、詳細の「Sound」に SC_Footstep を指定する。
  6. Volume MultiplierとPitch Multiplierは1.0のままにし、Followはオフにする。
  7. もう片方の足が着く時点にも、同じ設定の通知を置いて保存する。

Followをオフにすると、鳴り始めた場所に音が残ります。 この例では短い一歩分の音を使い、着地のタイミングを確かめます。

Notifyを置くフレーム番号は素材によって違います。決まった番号を写すより、足の接地をプレビューで見て合わせましょう。走行用のAnimation Sequenceにも同じ手順で追加します。すでに足音用の通知がある場合は、新しく重ねず、その通知のSoundを差し替えます。

Playして、歩く・走る・止まるを試します。着地に合わせて鳴り、止まったあと新しい足音が鳴らないことを確認してください。Cueが音を選び、Notifyが鳴らす時点を決める、という分担がここでつながります。

カスタム通知の作り方は、Animation MontageとNotifyの記事で扱っています。足元の材質で音を変えたい場合は、そこで処理を呼び、地面を調べてからCueを選ぶ形へ広げられます。

距離と部屋の響きは別に整える

足音の変化とタイミングができたら、周囲との関係も整えます。敵が遠くへ行ったら小さく聞こえることと、洞窟で響くことは、それぞれ別の仕組みです。

Attenuation(減衰) は、距離に応じた音量などの設定です。Sound Attenuationアセットを作り、Cueの「Attenuation Settings」に指定すると、同じ足音でも近くと遠くで聞こえ方を変えられます。距離や範囲の具体的な設定は、3Dサウンドとミキシングへ続きます。

リバーブ(残響) は、部屋や洞窟で音が反射して残るような響きです。Cueで素材をランダムに選ぶ処理とは分けて考えます。

Cueは素材の選択、Submixは集めた音への加工、Audio Volumeは場所に応じた響きを担当する
仕組み役割
Submix複数の音を集めて加工する先集めた音へ同じエフェクトを掛ける
Audio Volumeレベル内に音の設定が変わる領域を置く洞窟へ入ると残響が増える
Sound Class音を分類し、音量などをまとめて調整するSE全体の音量を下げる

通常のSound Cueグラフで、Randomの後ろへリバーブ用ノードをつなぐ作り方ではありません。洞窟のAudio Volumeへ残響を設定するなら、音側もリバーブへ送る設定になっている必要があります。領域を置いただけで、すべての音が自動的に響くわけではありません。

このように分けると、同じ足音Cueを屋外でも洞窟でも使えます。

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うまくいかないとき

素材の試聴→Cueの試聴→アニメーション→ゲーム中の順に確かめると、どこから音が変わったかを追いやすくなります。

症状確認するところ
Cueから音が出ない素材単体は鳴るか、Wave PlayerからOutputまでつながっているか
同じ音ばかり聞こえる三つの別素材が接続されているか、Weights、素材そのものの違い
ゲーム中だけ鳴らない実際に再生しているSequenceか、通知のSound、減衰の範囲
着地より遅れて鳴る通知の位置だけでなく、素材の先頭の無音も確認
一歩で二重に鳴る既存の足音処理との重複、通知の重複、歩行と走行のブレンド
走ると音が重なる一歩分の素材が長すぎないか、通知が二重に発火していないか

歩行と走行を混ぜる ブレンド の途中では、両方のアニメーションの通知が関わる場合があります。まず単独のSequenceで一歩一回になっているか確かめ、二重になる場合はAnimBPのSync Groupなど、通知をどちらから出すかの設定を確認します。Sync Groupは、複数のアニメーションの歩調を合わせるグループです。

おまけ:先に知っておくと良いこと

他のCueノードは、必要に合わせて足す

複数の音を同時に重ねるなら Mixer、順番につなぐなら Concatenator が使えます。爆発本体と破片の音を重ねる、といった場面へ広げられます。

環境音を継ぎ目なく繰り返したい場合は、ループに適した素材を使い、Cue内の Wave PlayerのLooping をオンにします。Sound Cueの「Looping」ノードは、処理のまとまりを繰り返す用途で、音の継ぎ目がなくなることまでは保証しません。足音のWave Playerはオフのままです。

音量と同時再生数も整える

Volume Multiplierの1.0は元の倍率で、上限の値ではありません。ただし、大きく上げたり複数の音を重ねたりすると、音が割れることがあります。個々の音だけでなく、BGMや他の効果音と一緒に鳴らして調整します。

Sound Concurrency は、同時に鳴らす音の数や、上限に達したときの扱いを決める設定です。敵が増えて足音が密集したときに検討します。新しい音を止めるのか、古い音を止めるのかは設定によって変わります。

MetaSoundsへ進む目安

音そのものを合成したい、音楽の切り替えを細かいタイミングで制御したい、といった場合には MetaSounds も候補です。Sound Cueと同じノードをそのまま置き換える仕組みではなく、音を作るための別のグラフを使います。

今回の「素材を選び、少し変化をつける」経験は、その先でも役立ちます。実行中の値で音を変える例は、MetaSounds入門で試せます。

まとめ

Sound Waveは音の素材、Sound Cueは鳴らし方の設計図です。今回はRandomで一つを選び、Modulatorで高さと音量を少し変え、Notifyで足の着地に合わせました。

まずは一歩分の音を鳴らし、素材の違いとピッチの違いを順に聞いてみてください。「変化しているけれど、同じ床を歩いている」と感じられるところを探すと、足音を調整しやすくなります。

参考資料

Unreal Engine このセクションのノート98