【Unreal Engine】Sound WaveとSound Cueの使い分け:足音が単調にならない作り方

作成: 2025-12-12最終更新: 2026-07-20

同じ足音が繰り返されて安っぽい——Sound Waveは音そのもの、Sound Cueは鳴らし方の設計図。RandomとModulatorで単調さを消す方法を図解し、足音Cueをゼロから作る実践つき。

音を鳴らすところまでは、意外と簡単にできます。つまずくのはその次で、 同じ足音が延々と繰り返されて、途端に安っぽく聞こえる 段階です。走るたびにまったく同じ「コツ、コツ、コツ」が鳴ると、耳はすぐに「これは同じファイルの再生だ」と気づいてしまいます。

解決策は、Blueprintで乱数を書くことではありません。UEには 鳴らし方そのものを設計するアセット があり、そこで完結させるのが定石です。この記事では、 Sound Wave(音そのもの)Sound Cue(鳴らし方の設計図) の役割分担と、単調にならない足音の作り方を解説します。

1つの音源から、毎回少しずつ違う音が生まれるイメージ

この記事でわかること

  • Sound Wave=音そのもの、Sound Cue=鳴らし方の設計図
  • 単調さを消す2ノード—— RandomModulator
  • Blueprint側の再生ノードは、どちらも同じ
  • リバーブやディレイは Sound Cueの中では掛けない
  • 実践:足音Cueを作って、ランダムに鳴らす

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Sound Waveは「音そのもの」

.wav ファイルをコンテンツブラウザにドラッグすると作られるのが Sound Wave です。これは 録音された音のデータそのもの で、それ以上でもそれ以下でもありません。

波形が入った1枚のカードとして表されたSound Waveの図
  • できること: そのまま再生する。インポート設定(圧縮品質、ループ設定など)を変える
  • できないこと: 音を選ぶ、ランダムに変化させる、複数を混ぜる

再生はBlueprintの2ノードで足ります。

ノード何をするか使いどころ
Play Sound 2D位置に関係なく、そのまま鳴らすUI音、BGM
Play Sound at Location指定した座標で鳴らす(距離で減衰する)足音、爆発、環境音

毎回まったく同じ音でよいなら、Sound Waveのまま使って構いません。 ボタンのクリック音やセリフのボイスは、むしろ変化しないほうが自然です。

問題は、繰り返し鳴る効果音です。足音・銃声・打撃音——ここで同じファイルを鳴らし続けると、途端に作り物っぽくなります。

Sound Cueは「鳴らし方の設計図」

Sound Cue は、Sound Waveを素材として受け取り、 どう鳴らすかを組み立てるアセット です。ノードをつなぐ形で作るので、見た目はBlueprintに近いものです。

複数のSound Waveがノードでつながり、1つの出力にまとまっているSound Cueの図

そして重要なのが、 Blueprint側から見ると、Sound WaveもSound Cueも同じように扱える ことです。

Play Sound at Location(Sound: SC_Footstep, Location: 足元の座標)

Sound ピンには どちらも挿せます 。つまり、あとから「やっぱりランダム化したい」と思ったとき、 Blueprintを書き換えずにアセットだけ差し替えられます

これが設計上の大きな利点です。 鳴らし方の複雑さを、Blueprintの外に追い出せる ため、プログラム側は「この音を鳴らして」と言うだけで済みます。

単調さを消す2つのノード

Sound Cueには多くのノードがありますが、 最初に覚えるべきは2つだけ です。この2つで、単調さのほとんどは解決します。

Randomで素材を選び、Modulatorでピッチと音量に揺らぎを与える流れの図

Random: つないだ複数の入力から 毎回1つを選んで 鳴らします。足音を3〜5種類用意してつなぐだけで、「同じ音の繰り返し」ではなくなります。

Modulator: 通した音の ピッチと音量を、指定した範囲でランダムに揺らします 。同じ素材でも、わずかに高かったり低かったりするだけで、耳の印象は大きく変わります。

この2つは 重ねて使う のが基本形です。素材が3種類でも、それぞれにピッチの揺らぎが加われば、事実上「毎回違う音」になります。

その他のノードは、必要になってから覚えれば十分です。

ノード何をするか
Mixer複数の音を 同時に 鳴らす(爆発音+破片の音)
Concatenator複数の音を 順番に つなげる
Attenuation距離による減衰の設定を上書きする
Looping繰り返し再生する(環境音、BGM)

エフェクトはCueの外で掛ける

ここは誤解しやすいところです。 Sound Cueの中に、リバーブやディレイを掛けるノードはありません。

Sound Cueは音の選択と変調まで、リバーブなどはSubmixやAudio Volumeで掛けるという役割分担の図

Sound Cueが担当するのは 「どの音を、どんなピッチ・音量で鳴らすか」 まで。 音を加工するエフェクト は、別の仕組みで掛けます。

仕組み何に掛かるか使いどころ
Audio Volumeその空間にいる間洞窟や室内のリバーブ
Submix EffectそのSubmixに流れる音 全体BGM全体にコンプレッサー
Source Effect個々の音源特定の音だけ歪ませる
Sound Classカテゴリ単位SEだけ音量を下げる

とくに Audio Volume は覚えておくと便利です。洞窟にボリュームを置いてリバーブを設定しておけば、 そこに入ったときだけ響きます 。音側には何も手を加える必要がありません。

なぜ分けるのか。 「洞窟で響く」のは音の性質ではなく 場所の性質 だからです。足音Cueに洞窟のリバーブを焼き込んでしまうと、屋外でも響いてしまいます。 音は音、空間は空間 と分けておくのが自然です。

距離による減衰(Attenuation)やSubmixでBGMだけ音量を下げる仕組みは UE5の3Dサウンドとミキシング で詳しく扱っています。

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実践:単調にならない足音を作る

アクションゲームの走行音、ホラーゲームの忍び足、RPGのフィールド移動——足音はプレイヤーが 最も長時間聞き続ける音 です。ここが単調だと、ゲーム全体が安っぽく感じられます。

再現用の準備: 足音の素材を 3〜5個 用意します。フリー素材でも、同じ音を少し切り出し位置を変えたものでも構いません。

種類名前内容
Sound WaveSW_Footstep_0103足音の素材(インポートしたもの)
Sound CueSC_Footstepこれから作ります
Animation Sequence歩き・走りのアニメーション通知を打ち込む先

ステップ1:Sound Cueを作る。 コンテンツブラウザで右クリック → SoundsSound CueSC_Footstep と名付けて開きます。

ステップ2:Randomでバリエーションを持たせる。 パレットから Random ノードをドラッグして置きます。

コンテンツブラウザで SW_Footstep_0103 を選択し、そのままSound Cueエディタへドラッグすると、Sound Waveノードが3つ並びます。それぞれの出力を Randomノードの入力へ つなぎます。

Randomノードの入力ピンは、繋ぐと自動で増えます。足りなければ、ノードを右クリックして Add Input でも追加できます。

ステップ3:Modulatorで揺らぎを加える。 Modulator ノードを置き、Randomの出力をつなぎます。そして詳細パネルで揺らぎの範囲を指定します。

項目意味
Pitch Min0.92いちばん低いとき
Pitch Max1.08いちばん高いとき
Volume Min0.85いちばん小さいとき
Volume Max1.0いちばん大きいとき

ピッチは ±10%程度に留める のがコツです。広げすぎると「別の生き物の足音」になってしまいます。

最後に、Modulatorの出力を Output ノード につなぎます。

3つのSound WaveがRandomへ、RandomからModulatorを経てOutputへつながるSound Cueの図

ステップ4:その場で確認する。 Sound Cueエディタのツールバーの Play Cue を、 何度も連続で押してください 。毎回わずかに違う音が鳴れば成功です。1回聞いただけでは分かりません。 繰り返して初めて効果が出る のが、この作りの特徴です。

ステップ5:アニメーションから鳴らす。 足音は、Blueprintで時間を測って鳴らすものではありません。 足が地面に着く瞬間 に鳴らすのが自然です。

歩きのAnimation Sequenceを開き、足が着地するフレームで Notify(通知)を打ちます 。タイムライン下部の Notifies トラックを右クリック → Add NotifyPlay Sound を選び、その通知の詳細パネルで SoundSC_Footstep を指定します。Notifyそのものの仕組み(種類・カスタム通知の作り方)は Animation Montage入門:Notifyで当たり判定を出す で詳しく扱っています。

同じことを、もう片方の足が着くフレームにも行います。走りのアニメーションにも同様に打ち込みます。

Playして歩き回ってください。 足の着地に合わせて足音が鳴り、しかも毎回わずかに違って聞こえれば成功です

うまくいかないときの切り分けです。

  • 音が鳴らない → Notifyの Sound が空か、アニメーションが実際に再生されていません
  • 足の動きとずれる → Notifyを打ったフレームを調整します
  • 変化を感じない → Modulatorの範囲が狭すぎるか、素材が似すぎています。まずピッチを ±15% まで広げて確かめてから戻します
  • 走ると音が重なる → 走りのアニメーションにも通知を打ち、歩き用の通知が二重に鳴っていないか確認します

ポイントは2つです。

  • ランダム化はアセット側に閉じ込める: Blueprintで乱数を書くと、音を調整するたびにプログラムを触ることになります。Cueの中で完結させれば、 音の調整は音のファイルだけで済みます
  • 鳴らすタイミングはアニメーションに持たせる: 足音を Event TickDelay で鳴らすと、走行速度が変わったときに必ずずれます。 足が着いた瞬間 という事実に紐づけるのが確実です(→ Animation Blueprint入門

地面の材質ごとに音を変えたくなったら、Play Sound 通知ではなく カスタム通知 を作り、Blueprint側で足元をトレースして材質を判定してからCueを選ぶ形に発展させます。

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おまけ:先に知っておくと良いこと

新規に作るなら、MetaSoundも検討してください。 UE5には Sound Cue の後継にあたる MetaSound があり、Epicの開発の中心はそちらに移っています。できることは Sound Cue の上位互換に近く、実行時にパラメータを渡して音を変化させるといった動的な処理も得意です。

とはいえ、Sound Cue が使えなくなったわけではありませんし、 考え方(素材を選ぶ/変調する/出力する)は共通 です。まず Sound Cue で仕組みを掴んでから MetaSound へ進むと、理解が早くなります。Sound Cueとの違いと、実行中に外からパラメータを渡して音を変える方法は UE5のMetaSounds入門 で解説しています。

音量は Volume Multiplier で無闇に上げない。 再生ノードの Volume Multiplier を1.0より大きくすると、音が割れる原因になります。音が小さいと感じたら、まず 素材そのものの音量Sound Class での調整を検討してください。

同時に鳴る音の数には上限があります。 大量の敵が一斉に足音を鳴らすような場面では、上限を超えた音は再生されません。Sound Concurrency という設定で「同じ種類の音は最大◯個まで」を決められるので、雑多な効果音には設定しておくと安定します。

ループする環境音は、Sound Waveのインポート設定を確認。 川のせせらぎのような音は、Sound Wave側の Looping を有効にするか、Sound Cueの Looping ノードを使います。ここを設定せずにBlueprintで繰り返すと、継ぎ目でプツッと切れます。


まとめ

役割分担は、この3層で覚えると迷いません。

担当
Sound Wave音そのもの録音された足音の .wav
Sound Cue鳴らし方(選ぶ・揺らす・混ぜる)Random + Modulator
Submix / Audio Volume空間や全体への加工洞窟のリバーブ

そして実務上の指針が1つ。 繰り返し鳴る音は、必ずCueにする ことです。足音・銃声・打撃音は、Random と Modulator を通すだけで質感が変わります。手間は数分、効果は大きい部類の作業です。

あなたのゲームで、いちばん長く聞こえている音は何でしょうか?