敵のHPをゼロにして、倒せるようになった。でも、倒した敵は棒立ちのまま、その場でスッと消えるだけ。せっかく 当たった手応え を作り込んでも、最後の「倒れる」瞬 間が味気ないと、撃破の爽快感が半減します。
この「倒れる」を物理で作るのが ラグドール です。アニメーションを止めて、骨ごとの物理ボディに切り替えると、敵は撃った方向へ吹き飛び、地形に沿って自然に崩れ落ちます。この記事では、その土台になる Physics Asset の見方から、Blueprintで敵をラグドール化して吹き飛ばすまでを、やられ演出を作りながら解説します。
この記事でわかること
- ラグドールの正体: アニメを止めて骨ごとの物理に切り替える
- Physics Asset とは何か(骨に付いたカプセルの集まり)
- Blueprintでラグドール化する 3点セット
- Add Impulse で攻撃方向へ吹き飛ばす
- 部分ラグドール・後始末の注意
- 実践: 撃った方向へ敵が崩れ落ちるやられ演出
ラグドールの正体
ラグドールと聞くと難しそうですが、正体はシンプルです。 アニメーションの再生を止めて、キャラクターを「骨ごとの物理ボディの集まり」として物理シミュレーションに任せる こと、それだけです。

- 通常時: アニメーション(歩く・攻撃する)が、キャラクターの骨を動かしています。骨は決められたポーズをとります
- ラグドール時: アニメを止め、各骨に付いた物理ボディが、 重力・衝突・加えられた力 で自由に動きます。関節でつながった人形が、力の抜けたように崩れます
だから「布人形(rag doll)」と呼ばれます。生きている間はアニメで制御し、死んだ瞬間に物理へ切り替える。この切り替えが、やられ演出の核心です。
Physics Assetとは
ラグドールを支えるのが Physics Asset です。これは、Skeletal Mesh と対になる資産で、 各骨に付いた物理ボディ(カプセルや箱)と、それらをつなぐコンストレイント(関節)の集まり です。

- ボディ(Body): 各骨を包むカプセルや箱。これが衝突と物理の実体です
- コンストレイント(Constraint): ボディ同士をつなぐ関節。曲がる角度の制限などを持ちます
Physics Assetは、Content BrowserでSkeletal Meshを右クリックし、 Create → Physics Asset → Create で自動生成できます。作ったら Physics Asset Editor を開き、シミュレート再生(Simulate)ボタンで、実際に崩れ落ちる様子を確認します。ここで、めり込んだり暴れたりする部分があれば、そのボディのカプセルの大きさや衝突を調整します。まずは自動生成のまま試し、おかしい所だけ直すのが早道です。
Blueprintでラグドール化する3点セット
いよいよBlueprintで、生きている敵を死んだ瞬間にラグドールへ切り替えます。ここで大事なのが、 3点セットを揃える ことです。1つでも欠けると、うまく崩れません。

- Set Simulate Physics(true): Meshに対して物理シミュレーションをオンにする。これで骨が物理で動き出します
- Collision Profileを
Ragdollへ: Meshの衝突プロファイルをRagdollに切り替える。物理ボディが地面や壁と正しく衝突するようになります - Movementを止める: Character Movementを止める(
Set Movement ModeをNoneにするなど)。アニメ制御の移動と物理がケンカしないようにします
さらに、CharacterのCapsule Componentと物理ボディが衝突し合って暴れることがあるので、 ラグドール化する瞬間にCapsuleのコリジョンをOFF にすると安定します。この3点セット+Capsule OFFが、Blueprintラグドールの定番の形です。
攻撃方向へ吹き飛ばす
ただ崩れるだけでなく、 撃った方向へ吹き飛ばす と、やられ演出が一気に気持ちよくなります。これには Add Impulse を使います。

Add Impulse は、物理ボディに 瞬間的な力 を加えるノードです。ラグドール化した直後に、これを呼びます。
- どこに: Line Trace のHit Resultが持つ
Hit Bone Name(当たった骨)を指定すると、当たった部位に力が加わります - どちら向きに: 攻撃の方向(弾の飛んだ向きなど)× 係数(大きさ)を、力のベクトルとして渡します
これで、正面から撃てば仰向けに、背後から撃てばうつ伏せに、頭を撃てば頭から、と 当てた部位と方向で倒れ方が変わります 。Line Traceの記事で取得したHit ResultのBoneと方向が、ここでそのまま活きます。
部分ラグドールと後始末
全身ではなく、 一部の骨だけを脱力させる こともできます。これが 部分ラグドール です。
Set All Bodies Below Simulate Physics を使い、ある骨(たとえば肩)より下だけを物理にすると、 腕だけがだらんと垂れる ような表現ができます。上半身は生きているのに腕は脱力、といった演出に向きます(まずは全身ラグドールに慣れてから挑戦すれば十分です)。
