AIを作りはじめて最初に出会う壁は、たいてい 「敵が1歩も動かない」 です。Behavior Treeも組んだ、AI Controllerも割り当てた、それでも棒立ちのまま。原因の多くは、AIそのものではなく 足元の床 にあります。
UEのAIは、地面の上を自由に歩いているわけではありません。 NavMesh(ナビメッシュ) という「歩いていい場所のデータ」の上だけを移動します。この記事では、NavMeshを目で見る方法から、AIのサイズに合わせる設定、地形が変化するゲームでの選び方、そして動かないAIを実際に直す手順までを解説します。
この記事でわかること
- AIは地面ではなく NavMeshの上 を歩いている
- まず Pキー で緑の床を見る(ここが全ての出発点)
- 緑が 狭く出るのは正常 (Agent Radiusの分だけ削られる)
- Runtime Generation は Static / Dynamic Modifiers Only / Dynamic の3択
- 実践:動かないAIを 上から順に切り分けて 直す
AIはNavMeshの上を歩いている
プレイヤーは地面のコリジョンの上を歩きますが、 AIは違います 。AIが参照するのは NavMesh 、「ここは歩いて移動できる」という情報を床の形として持ったデータです。

なぜ別のデータが必要なのか。 経路を計算するため です。「AからBへ行きたい」と言われたとき、地面のポリゴンを毎回調べていては間に合いません。あらかじめ「歩ける面」を単純な形にまとめておくことで、 経路探索を高速に解ける ようにしてい ます。
ここから、重要な帰結が2つ出てきます。
- NavMeshがない場所へは、AIは移動できない 。地面があっても関係ありません
- NavMeshは事前に生成される 。あとから床を置いても、再生成しなければ反映されません
「AIが動かない」の大半は、この2つのどちらかです。
まずPキーで見る
原因を推測する前に、 見てください 。エディタのビューポートにマウスカーソルを置いて P キー を押すと、NavMeshが緑色の床として表示されます。

何も出てこない場合、まず疑うのは NavMesh Bounds Volume です。Place Actors パネル(ウィンドウ → Place Actors)で「Nav」と検索し、 NavMesh Bounds Volume をレベルにドラッグします。
それでも出ないときは、次も確認してください。
- 床にコリジョンがあるか: NavMeshは ワールドのコリジョンから作られます 。見た目の床があっても、コリジョンが無ければ生成されません
- 床の
Can Ever Affect Navigationが有効か: Actorの詳細パネルにあります。ここがオフだとNavMeshの生成対象になりません - 自動更新が有効か:
Edit → Editor Preferences → Level Editor → MiscellaneousのUpdate Navigation Automatically。これがオフの環境では、Build → Build Pathsを実行するまで生成されません
置いたら、スケールを調整して AIに歩かせたい範囲を丸ごと包む ようにします。ここで初心者がつまずくポイントが2つあります。
- ボリュームが地面を含んでいない: 空中に浮いていたり、地面より上にしか無いと生成されません。 地面を内側に含む ようにします
- ボリュームが小さすぎる: 端まで歩かせたいなら、その端まで覆う必要があります
P を押して緑の床が出たら、 AIの足元・通る道・目的地が、ひと続きの緑につながっているか まで確認してください。緑がどこかに出ているだけでは足りません。
Pは レベルエディタのビューポート のショートカットです。PIE中にゲーム側が入力を受けている状態では切り替わらないことがあります。
緑が出たのに狭い? 壁際が少し削れて見えるのは正常です。次のAgent Radiusが理由です。
AIのサイズに合わせる
緑の床は、 AIのサイズを考慮して 作られます。「このキャラクターが通れるか」を事前に計算しているので、キャラクターと設定がずれていると挙動がおかしくなります。
