自分でモデリングもテクスチャも作るのは、正直しんどい。机も棚も小物も、ぜんぶ自作していたら、ゲームの中身にたどり着く前に力尽きます。個人開発では、素材の多くをストアの既製アセットに頼るのが現実的です。
ところが、いざアセットを使おうとすると、「どこで探すのか」「無料でいいのか」「どうやってプロジェクトに入れるのか」で最初の一歩が止まります。UE5の公式ストア Fab は、探す・確認する・入れるの全部を担う入り口です。この記事では、Fabで無料アセットを見つけてプロジェクトへ入れ、検証用から本番へ安全に移すまでを、殺風景な部屋を飾りながら解説します。
この記事でわかること
- Fabとは何か(旧Marketplace・Quixel・Sketchfabの 統合ストア )
- 無料アセットの 探し方(無料フィルタ・Quixel Megascans)
- ライセンス の読み方と商用利用の注意
- Epic Games Launcherの 「ライブラリ」から追加 する流れ
- Migrate で検証用から本番へアセットを引っ越す
- 実践: 無料プロップで殺風景な部屋を1部屋分ドレスアップ
Fabとは何か
Fab は、2024年秋にUE Marketplaceを置き換えたEpic Gamesの公式ストアです。それまで別々だった3つの供給元が、1つのストアに統合されました。

- 旧UE Marketplace: これまでUE向けに売られていたアセット。購入済みのものはFabのライブラリへそのまま引き継がれています
- Quixel Megascans: 写実的な3Dスキャン素材のライブラリ。フォトリアルな岩・地面・植物などが揃います
- Sketchfab: 世界中のクリエイターが公開する3Dモデルの巨大な集積地
つまりFabは、「UE向けの完成アセット」から「汎用の3Dモデル」まで、幅広い素材を1か所で探せる場所です。旧Marketplaceで購入済みのアセットも、無料で入手したものも、すべてFabのライブラリに残ります。
無料アセットを探す
最初は無料アセットから始めるのがおすすめです。Fabのサイトで、価格の 無料(Free)フィルタ を有効にすると、無料のものだけが並びます。

無料アセットには、大きく次の種類があります。
- Quixel Megascans: 高品質な3Dスキャン素材。 Fab Standard License のもとで無料で入手できます(条件は変わりうるので、アセットページの表記を確認してください)
- 常時無料のアセット: クリエイターが無料で公開しているモデルやマテリアル
- 期間限定の無料枠: 一定期間だけ無料で入手できる枠が用意されることがあります(内容や条件は変わりやすいので、その時々の表記を確認してください)
まずは「プロップ(小物)」や「マテリアル」で検索して、無料フィルタをかけると、練習に使いやすい素材が見つかります。
ライセンスを読む
無料でも、 使い方の条件(ライセンス) は必ず確認します。「無料=何にでも使える」ではありません。

見るべきは主に2点です。
- 商用利用ができるか: 自分のゲームを販売・配信する予定なら、商用利用が許可されているかを確認します
- 収益規模による区分: ライセンスは、個人・小規模向けと、大きな収益規模向けとで区分が分かれていることがあります。自分の規模に合った区分を選びます
区分の名前や具体的な条件は、Fab側の表記が更新されることがあります。 アセットのページに書かれたライセンス本文を、その場で読むのが確実 です。迷ったら、商用可・区分の条件を満たしているかだけ押さえておけば、まず問題ありません。
プロジェクトに追加する
入手したアセットをプロジェクトへ入れる道は、大きく2つあります。

- Epic Games Launcherのライブラリから: Launcherの 「ライブラリ」 を開く と、入手済みアセットが並びます。 Add to Project(既存プロジェクトへ追加)または Create Project(そのアセット入りの新規プロジェクトを作成)を選べます。無料アセットも購入済みアセットと同じ扱いです
- エディタ内のFabプラグインから: UEエディタに搭載されたFabプラグインから、アセットを直接プロジェクトへドロップできます。エディタを開いたまま素材を足せるので、試しながら進めるのに向いています
どちらでも結果は同じで、Content Browserにアセットが取り込まれます。まずはLauncherの「ライブラリ」からの追加が分かりやすいです。
Migrateで別プロジェクトへ移す
もう1つ、覚えておくと一生使うのが Migrate です。これは、あるプロジェクトのアセットを、 依存関係ごと 別のプロジェクトへ引っ越すツールです。

Content Browserでアセットを右クリックし、 Asset Actions → Migrate を選ぶと、そのアセットが使っている マテリアル・テクスチャ・その他の依存アセットを自動でまとめて 、指定した別プロジェクトのContentフォルダへコピーします。メッシュだけコピーして「マテリアルが真っ黒」になる失敗を防げます。
これが効くのは、 対応バージョンが古いアセットを今のUEで使う ときです。古いバージョンのプロジェクトでアセットを追加し、そのプロジェクトから今のUEプロジェクトへMigrateすれば、多少バージョンが違っても動くことが多いです。
実践:殺風景な部屋をドレスアップする
グレーボックスだけの自作ステージ、Third Personテンプレートの白い床、プロトタイプの仮メッシュ。 「殺風景な空間を、無料アセットで一気に見栄えさせる」 はどんなゲームでも通る道です。ここでは推奨ワークフローを一周して、空っぽの部屋を1部屋分ドレスアップします。
作るのは、 無料のプロップパックを検証用プロジェクトで確認し、使う分だけMigrateで本番へ移して、部屋に家具を並べる 流れです。
動かすとこうなります。何もなかった白い部屋に、机・棚・小物が並ぶ。そして本番プロジェクトのContent Browserには、 使ったアセットとその依存分だけ が入っていて、試しただけの余計なアセットは混ざっていません。

手順
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 検証用プロジェクトを用意 | 本番とは別に、アセットを試すためのプロジェクトを1つ作る |
| 2. 無料プロップパックを追加 | Launcherの「ライブラリ」から、検証用プロジェクトへ Add to Project |
| 3. 中身を確認 | Content Browserでメッシュを1つずつ見て、使えるものを選ぶ |
| 4. 使う分だけMigrate | 使うメッシュを右クリック → Migrate → 本番プロジェクトのContentへ |
| 5. 部屋に並べる | 本番プロジェクトで、机・棚・小物をレベルに配置する |
確かめる
本番プロジェクトのContent Browserを見てください。うまくいけば、 配置した家具と、その依存マテリアル・テクスチャだけ が入っています。パック全体(使わなかった数十個のメッシュ)は混ざっていません。レベル上では、家具が 真っ黒でなく、ちゃんとテクスチャ付きで 表示されています。
うまくいかないときの切り分けです。
- 家具が真っ黒/ピンク → Migrateでマテリアルが漏れています。メッシュ単体でなく、Migrateの確認画面で依存アセットにチェックが入っているか確認
- 本番が急に重い・巨大になった → パック全体を検証用でなく本番へ直接入れた可能性。使う分だけMigrateし直す
- アセットが古くて開けない → 対応バージョンのプロジェクトで追加してからMigrateする(前節)
ポイントは2つです。
- 本番には「使う分だけ」入れる: 検証用プロジェクトで試し、Migrateで必要な分だけ移す。この一手間で、本番プロジェクトが軽く保てます
- Migrateは依存ごと運ぶ: メッシュだけコピーするとマテリアルが漏れます。Migrateなら依存アセットが自動で付いてくるので、「真っ黒メッシュ」を避けられます。入れたあとの整理はアセット管理のベストプラクティスへ
おまけ:先に知っておくと良いこと
グレーボックスからの差し替え。 最初はブロックで大まかに空間を作り(モデリングモードでグレーボックス)、あとからFabのアセットで見た目を差し替えると、レベル制作が速く進みます。「まず形、あとで見た目」の順が定番です。
人型アセットは自キャラで使える。 Fabで手に入れたキャラクターやアニメーションは、アニメーションのリターゲットを使えば、自分のキャラクターに載せ替えて動かせます。素体だけ自作して、動きは既製を借りる、という手もあります。
大容量アセットはLFSを検討。 Fabのアセットはテクスチャが大きく、プロジェクトの容量を一気に押し上げます。チームやバックアップでGitを使うなら、大容量ファイルはGit LFSで管理すると、リポジトリが 軽く保てます。
まとめ
アセットの入手から本番投入まで、次の流れで進めます。
| 段階 | やること | 道具 |
|---|---|---|
| 探す | 無料フィルタで素材を見つける | Fab(無料フィルタ・Megascans) |
| 確認 | 商用可・区分を読む | アセットページのライセンス本文 |
| 入れる | 検証用プロジェクトへ追加 | Launcherの「ライブラリ」/ Fabプラグイン |
| 移す | 使う分だけ本番へ | Migrate(依存ごと引っ越す) |
そして貫く原則が、 本番には「使う分だけ」入れる ことです。検証用で試し、Migrateで選んで移す。この一手間が、後々のプロジェクトの軽さを決めます。
これで、素材の調達に困らなくなりました。あなたのゲームの、いちばん殺風景な部屋はどこでしょうか。まずはそこに、無料の小物を1つ置いてみてください。
さらに学ぶために
- アセット管理のベストプラクティス — 入れたアセットの整理と命名
- モデリングモードでグレーボックス — 形を先に作り、あとでアセットに差し替える
- アニメーションのリターゲット — 人型アセットを自キャラで使う
- Git LFSでのプロジェクト管理 — 大容量アセットの扱い