【Unreal Engine】Sequencer入門:カットシーンとイベント演出を作る

作成: 2026-07-20

UE5のSequencerでカットシーンを作る入門。Timelineノードとの違い、Level Sequenceのトラックとキーフレーム補間、BlueprintからのPlayとOn Finished、Set Cinematic Modeで入力を止める方法まで。ボス登場のカメラ演出を最後まで作ります。

ゲームにボスが登場する瞬間。扉が重々しく開く演出。タイトルのオープニング。こうした「見せ場」は、プレイヤーの記憶に残る大事な場面です。ところが、カメラを動かしてキャラのアニメと音を合わせる、という演出を、Blueprintのノードだけで作ろうとすると、あっという間にこんがらがります。

こういう時間軸に沿った演出のための道具が Sequencer です。カメラ・アニメ・音・エフェクトを、1本のタイムライン上に並べて束ねられます。映像編集ソフトのように、トラックを重ねてキーフレームを打っていくだけで、映画のようなカットシーンが作れます。この記事では、Sequencerの基本と、ボス部屋に入るとカメラがボスを映して戻ってくる演出を、最後まで作ります。

タイムライン上にカメラ・アニメ・音のトラックが重なり、カットシーンになる様子とソフトブルーのクレイ人形

この記事でわかること

  • Sequencer と Timelineノード の違い(複数Actorを束ねるか、1つのBP内で補間するか)
  • Level Sequence のトラック(Transform / Camera Cut / Audio など)
  • キーフレームと補間(Auto / Linear / Cubic)
  • Blueprintから再生する Play と On Finished
  • 演出中に操作を止める Set Cinematic Mode
  • 実践: ボス部屋に入るとカメラがボスを映して戻る演出

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SequencerとTimelineの違い

UEには、時間に沿って何かを動かす仕組みが2つあります。名前が似ていて混同しやすいので、最初に整理します。

  • Timelineノード:1つのBlueprintの中で、値をなめらかに変化させる。ドアの角度を0度から90度へ、色を徐々に変える、といった 単体の小さな補間 向き。
  • Sequencer(Level Sequence):複数のActor・カメラ・音を、1本のタイムラインに束ねる。カメラを切り替えて、キャラを動かして、音を鳴らす といった、映画のような演出向き。
Timelineノードは1つのActor内の補間、Sequencerは複数Actorとカメラを時間軸で束ねる、という違いを2枚のカードで対比した図

判断はシンプルです。動かすものが1つで、値の補間だけ なら Timelineノードカメラが動く、複数のものが同時に動く ならSequencer。見せ場を作りたいならSequencerです。

Level Sequenceとトラック

Sequencerで作る演出の入れ物が Level Sequence です。コンテンツブラウザで右クリック → Cinematics > Level Sequence で作り、ダブルクリックで開くと、下に横長のタイムラインが現れます。

ここに トラック を足していきます。トラックは「何を動かすか」の帯です。レベルに置いたActorをSequencerにドラッグすると、そのActorのトラックが追加されます。

Level Sequenceのタイムラインに、Camera Cut・Transform・Animation・Audioのトラックが縦に積まれた構成図

よく使うトラックは次の4つです。

  • Camera Cut:どのカメラで映すかを指定する。演出中のカメラはこれで切り替える。
  • Transform:Actorの位置・回転・スケールを時間で変える。カメラを動かすのもこれ。
  • Animation:キャラクターにアニメーション(Animation Sequence)を再生させる。
  • Audio:BGMやSEを鳴らす。

カメラを演出用に動かすときは、Cine Camera Actor をレベルに置いてSequencerに追加し、Camera Cutトラックでそのカメラを指定します。Cine Cameraは焦点距離や被写界深度など、映画的な設定を持っています。

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キーフレームと補間

トラックの中で「いつ・どうなるか」を決めるのが キーフレーム です。タイムラインの再生ヘッドを目的の時刻に置き、値を決めて◆ボタン(またはEnter)でキーフレームを打ちます。最初のキーを打ってから Auto Key を有効にすると、以降は値を変えるだけで自動でキーが追加されます。

たとえばカメラのTransformトラックで、0秒の位置と3秒の位置にキーフレームを打つと、その間をカメラが自動でなめらかに移動します。間の動きの「なめらかさ」を決めるのが 補間 です。

Auto(S字でなめらか)、Linear(一定速度で直線)、Cubic(緩急のある曲線)の3つの補間カーブを並べて比較した図

代表的な補間は3つです。

  • Auto(Cubic Auto):前後のキーから接線を自動計算し、なめらかな曲線を作る。始点・終点で速度がゆるむ動きになりやすい。迷ったらこれ。
  • Linear:一定速度の直線的な動き。機械的な動きに向く。
  • Cubic(User):カーブを手で調整して、緩急を細かく作る。

カメラワークはAutoにしておくと、自然な「ため」のある動きになります。

Blueprintから再生する

Level Sequenceは、そのままではゲーム中に再生されません。Blueprintから再生の合図 を送ります。

レベルに Level Sequence Actor を置く(Level Sequenceをレベルにドラッグすると作られます)と、その中に Sequence Player が入っています。ただしBlueprintから直接 Play は呼べません。間に1ノード挟みます。

  1. Level Sequence Actorへの参照を用意する(レベル上のActorを選んでからレベルBlueprintで右クリック → 参照を作成、またはBlueprint側で変数にする)
  2. その参照から Get Sequence Player を引き出す
  3. 戻ってきたSequence Playerに対して Play を呼ぶ

この「Actorそのものではなく、中のPlayerを取り出してから再生する」という一段が、最初につまずくところです。Play が見つからないときは、たいていActorのピンから直接探しています。

Level SequenceアセットをレベルへドラッグするとLevel Sequence Actorになり、その内側のSequence PlayerからPlayとOn Finishedが出ていることを示す構造図

再生が終わったことは、同じSequence Playerの On Finished イベントで受け取れます。「演出が終わったら操作を戻す」という後始末は、必ずここに書きます。ここを忘れると、演出後にプレイヤーが動かせないまま固まります。

バインドは Play より先に。 On Finished へ処理をつなぐ前に Play を呼ぶと、極端に短い演出では終了に間に合わないことがあります。バインド → Play の順を習慣にしてください。

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実践:ボス登場のカメラ演出

具体的な演出を1つ、最後まで作ります。

ARPGのボス登場、ホラーの初遭遇、パズルの仕掛け作動。プレイヤーがある場所に入ると、操作が一瞬奪われ、カメラが何かを映して、また戻ってくる。ジャンルを問わず使う「見せ場」の型です。

作るのは、ボス部屋の入口に入ると、3秒間カメラがボスを映し、その間プレイヤーは動けず、終わると元の操作に戻る 演出です。

動かすとこうなります。プレイヤーがトリガーに触れた瞬間、操作が効かなくなり、カメラがボスへ切り替わって寄っていく。3秒後にカメラが三人称に戻り、操作が復活する。

プレイヤーがトリガーに入ると入力が止まりカメラがボスを映し、3秒後に操作が戻るまでの流れを示した実例図

Sequencerを組む

まず演出そのものを作ります。

  1. Cine Camera Actor をレベルに置き、ボスを見下ろす位置に構える。
  2. コンテンツブラウザで Level Sequence を作り(例:SEQ_BossIntro)、開く。
  3. Cine CameraをSequencerに追加し、Camera Cut トラックでそのカメラを指定する。
  4. カメラのTransformトラックで、0秒(引き)と3秒(寄り)にキーフレームを打つ。補間はAuto。
  5. ボスのAnimationトラックに、登場アニメ(吠える等)を置く。Audioトラックに効果音を置く。アニメはボスのSkeletonと互換のある Animation Sequence を使う。
  6. 再生範囲(Playback Range)の終端を3秒 に合わせ、Camera Cutセクションを先頭から終端まで敷く。キーを3秒に打つだけでは、シーケンス全体が3秒で終わるとは限りません。

これで、3秒のカメラワーク+ボスのアニメ+音が1本に束ねられました。SEQ_BossIntro をレベルにドラッグして、Level Sequence Actor を作り、詳細パネルで Auto Play=オフ、Loop=Don't Loop、Pause at End=オフ に設定しておきます。

Blueprintで再生と入力制御をつなぐ

入口に Trigger(Box Collision) を置き、そのBlueprintでグラフを組みます。

On Actor Begin OverlapからSet Cinematic Mode(true)、Sequence PlayerのPlay、On FinishedでSet Cinematic Mode(false)へ戻る完成ノードグラフ図

つなぎ方は次の流れです。

  1. On Actor Begin Overlap で、相手がプレイヤーかを Cast(Cast to 自作キャラクター)で確かめ、DoOnce を通して一度だけ走るようにする
  2. Get Player Controller を置き、その戻り値を Set Cinematic Mode の Target につなぐ。In Cinematic Mode = trueAffects HUDAffects MovementAffects Turning を有効にして、移動・視点操作とHUDを止める(撃つ・使うといったアクション入力までは止まりません)
  3. SEQ_BossIntro の Level Sequence Actor から Get Sequence Player を取り、その On Finished に後始末の処理をバインドして からPlay を呼ぶ
  4. On Finished 側で、もう一度 Set Cinematic ModeIn Cinematic Mode = false(Affects系は同じく有効)で呼んで、操作を戻す

読み上げ用の疑似コードにすると、こうなります。

On Actor Begin Overlap (Trigger)
  if Cast to PlayerCharacter(Other Actor) 成功:
    DoOnce:
      pc = GetPlayerController()
      pc.SetCinematicMode(InCinematicMode=true, AffectsHUD=true, AffectsMovement=true, AffectsTurning=true)
      player = BossIntroActor.GetSequencePlayer()
      player.OnFinished へ「入力復帰」をバインド
      player.Play()

入力復帰:
  pc.SetCinematicMode(InCinematicMode=false, AffectsHUD=true, AffectsMovement=true, AffectsTurning=true)

確かめる

Playして、プレイヤーをボス部屋の入口へ歩かせます。うまくいっていれば、入った瞬間に操作が効かなくなり、カメラがボスへ切り替わって3秒寄っていきます。終わると、カメラが元の三人称に戻り、また動けるようになります。

もし演出後に 動かせないまま固まった なら、On Finished の Set Cinematic Mode(false) が呼ばれていません。ここが後始末の要です。逆に、トリガーで何も起きない なら、Overlapの相手がプレイヤーか(他のActorで誤発火していないか)、Sequence Playerの参照が正しいかを確認します。

ポイントは2つです。

  • 入力を止めたら、必ずOn Finishedで戻す:Set Cinematic Modeのtrueとfalseは、Playと On Finished でペアにする。片方を忘れると操作不能になる
  • カメラはCamera Cutトラックに任せる:演出中のカメラ切り替えはSequencer側で持たせ、終了後はプレイヤーのカメラへ自動で戻す。手でカメラを動かそうとしない

一度きりの演出なら、上の DoOnce で二度目の発火は止まります。トリガー自体をDestroyしたい場合は、On Finishedの後 にしてください。再生中に消すと、操作を戻す処理まで一緒に消えて、動かせなくなります。

おまけ:先に知っておくと良いこと

Event Trackでゲーム側の処理を呼べる。 Sequencerの Event Track にイベントキーを打ち、Quick Binding などで対象のBlueprintにつなぐと、タイムラインの特定の時刻でゲーム側の処理を呼べます。「カメラがボスに寄った瞬間に、扉のフラグを立てる」といった、演出とゲーム進行の連動ができます。

スキップできるようにする。 カットシーンは2回目以降は飛ばしたくなります。決定ボタンで Sequence Player の Go to End and Stop を呼べば、演出を終端まで飛ばせます。ただしこれは明示的な停止で On Finished が走らないことがあるので、スキップ処理からも入力を戻す処理(Set Cinematic Mode を false)を呼んでおきます。長い演出ほど、スキップは親切です。

演出は短く。 プレイヤーが操作できない時間は、体感で長く感じます。ボス登場なら3秒前後で十分です。長い演出はスキップ前提で作ると、テンポを損ないません。

まとめ

Sequencerは、カメラ・アニメ・音を1本のタイムラインに束ねる、見せ場のための道具です。押さえるべき型は4つです。

場面使うもの
1つのActor内の補間Timelineノード(Sequencerではない)
複数Actor・カメラの演出Sequencer(Level Sequence)
再生と後始末Blueprintから PlayOn Finished で戻す
演出中の入力停止Set Cinematic Mode(true で止め、必ず false で戻す)

小さな補間はTimelineノード、映画的な演出はSequencer。この型さえ押さえれば、あなたのゲームに記憶に残る瞬間を作れます。

あなたのゲームで、一番プレイヤーに見せたい瞬間はどこでしょうか。そこが、最初のカットシーンを作る場所です。