【Unreal Engine】プロジェクト作成直後に確認すべき5つの初期設定

作成: 2025-12-12最終更新: 2026-07-19

UE5プロジェクト作成直後にやるべき5つの初期設定を図解。ソース管理と.gitignore、デフォルトマップ、Enhanced Input、言語、エディタ軽量化まで、理由と手順つきで解説。

プロジェクトを作ったら、すぐに中身を作り始めたくなります。ただ、その前に済ませておきたい設定がいくつかあります。

初期設定を疎かにすると、後々「なぜか動作が重い」「ファイルを消したら戻せない」「チームでファイルが競合する」といった、 ゲーム作りと関係のないトラブル に時間とやる気を奪われます。逆に、最初の30分で5つの設定を済ませておけば、開発環境は安定し、安心して壊せる(=実験できる)環境が手に入ります。この記事では、その5つを理由と手順つきで解説し、最後に「最初のコミットでタイムマシンを動かす」実践まで行います。

チェックリストにチェックを書き込む人形。初期設定のイメージ

この記事でわかること

  • ソース管理(Git) の設定と、UE5専用 .gitignore の考え方
  • Editor Startup Map / Game Default Map の使い分け
  • Enhanced Input System の確認ポイント(UE5.1以降は最初から有効)
  • エディタの 言語設定軽量化 の定番設定
  • 実践:最初のコミットを作り、 わざと壊して戻す

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ソース管理(Version Control)の設定

ソース管理(GitやPerforce)は、プロジェクトの 「保険」 であり 「タイムマシン」 です。バグを混入させた時、大事なファイルを誤って消した時、ソース管理がなければその日の作業が水の泡になります。最悪の場合、プロジェクト全体を失います。一人開発でも必須です。

コミットをセーブポイントに例えた図。壊れても、旗を立てた時点へいつでも戻れる
  1. Gitの導入: Git公式サイトからインストールし、プロジェクトフォルダでリポジトリを作成します(実践節で実際にやります)
  2. UEエディタとの連携(任意): メニューの ツール → ソース管理 → ソース管理に接続 で、エディタ内から変更の確認やコミットができるようになります

.gitignore——「生成されるもの」はコミットしない

UEプロジェクトのフォルダには、エンジンがいつでも再生成できる一時ファイル(BinariesIntermediateDerivedDataCacheSaved)が大量に含まれます。これらをリポジトリに入れるとサイズが際限なく膨らみ、チーム開発では競合の温床になります。 コミットするのは ContentConfig.uproject など「自分で作ったもの」だけ 。この仕分けを自動でやってくれるのが .gitignore です。

gitignoreをフィルタに例えた図。Content・Config・.uprojectは通し、Binaries・Intermediate・Savedは弾く。生成されるものはコミットしない
# ビルド生成物(エンジンが再生成できる)
Binaries/
Intermediate/

# キャッシュ
DerivedDataCache/

# 一時ファイル・ログ・自動保存
Saved/

# Visual Studioの生成物
*.sln
.vs/

# プラグインの生成物(プラグインを1つ入れた時点で作られる)
Plugins/**/Binaries/
Plugins/**/Intermediate/

# macOS
.DS_Store

モデルやテクスチャなど 大きなバイナリアセットが増えてきたら、Git LFS の導入も検討してください(→ UEプロジェクトのGit運用)。なお「Zipで丸ごとバックアップ」は、履歴が追えず「どの時点が正しいのか」が分からなくなるため、ソース管理の代わりにはなりません。

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デフォルトマップとゲームモードの設定

「起動時にどのレベルが開き、どのルールで動くか」を最初に決めておくと、開発効率とテストの正確性が上がります。 プロジェクト設定 → マップ&モード で設定します。

Editor Startup Mapは開発用の軽いレベル、Game Default Mapはタイトル画面。開発用と本番用、起動マップは別々に
  • Editor Startup Map: エディタ起動時に開くレベル。重い本番レベルを設定するとエディタの起動が遅くなるため、 開発用の軽量なテストレベル を指定するのが定石です
  • Game Default Map: パッケージ化したゲームの起動時に最初にロードされるレベル。 タイトル画面やメインメニュー を指定するのが一般的です
  • Default GameMode Class: プロジェクト全体でデフォルトとして使うGameMode(例: BP_MyGameMode)を指定します。GameModeは「使用するキャラクター・スポーン地点・ゲームルール」を束ねるクラスです(→ UE5の基本概念、詳しくは Game Frameworkの理解

「Playを押したら知らないマップが開いた」「パッケージしたらテストレベルから始まった」——このあたりの混乱は、たいていこの設定の見落としが原因です。

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入力設定(Enhanced Input System)

Enhanced Input System は、UE5.1以降で標準となった入力の仕組みです。旧入力システム(Input Mappings)はすでに非推奨のため、これから作るプロジェクトは必ずEnhanced Inputで組みます。

キーボードとゲームパッドの入力がIMC_Defaultで割り当てられ、IA_Jumpという動作の意図につながる図。キーを差し替えても、動作の設計は変わらない

仕組みの核心は 「動作の意図」と「キー割り当て」の分離 です。

  • Input Action (IA): 「ジャンプ」「移動」といった 動作の意図 を定義する
  • Input Mapping Context (IMC): その意図に どのキー・ボタンを割り当てるか を定義する

この分離のおかげで、「スペースキーをゲームパッドのAボタンに差し替える」「後からキーコンフィグ機能を足す」といった変更が、ゲームロジックに一切手を触れず行えます。

確認ポイント: UE5.1以降の新規プロジェクトでは、 プロジェクト設定 → エンジン → 入力 の Default Classes が最初から EnhancedPlayerInput / EnhancedInputComponent になっています。基本は 確認するだけでOK 。UE5.0以前から移行したプロジェクトや、値が旧クラスのままの場合だけ、この2つを変更してください。実際の使い方(IA・IMCの作成からBlueprintでの受け取りまで)は Enhanced Input System入門 で手を動かして学べます。

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エディタの言語設定

編集 → エディタの環境設定 → 一般 → 地域と言語 で表示言語を選べます。

おすすめは、少し背伸びして English にしておくことです。理由は割り切ったもので、エラーメッセージ・公式ドキュメント・海外チュートリアル・トラブル検索の情報量が、英語UIの用語を基準に流通しているからです。「日本語UIの項目名を英語に置き換えてから検索する」という余計な一手間が消えます。もちろん、まず日本語で全体像を掴み、慣れてきたら英語へ切り替える、でも構いません。

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エディタのパフォーマンス設定

UE5は高機能なぶん、初期状態ではエディタがPCに大きな負荷をかけます。特にノートPCやミドルスペックのPCでは、次の2つを設定するだけで体感が大きく変わります。

  • リアルタイム描画のオフ: ビューポート左上のメニューから 「リアルタイム」(Ctrl + R をオフにすると、ビューポートを操作していない間の描画更新が止まり、CPU/GPU負荷とファンの回転が大幅に減ります
  • フレームレート制限: エディタの環境設定 → 一般 → パフォーマンス「エディタのフレームレートを制限(Use Less CPU when in Background含む)」 で上限を60などに設定し、不要なリソース消費を防ぎます
既定のままだと操作していない間も描き続けて負荷が高いのに対し、リアルタイムOFFとFPS上限60を設定すると負荷が大きく下がることを左右で比較した図

勘違いに注意: ビューポート右上の スケーラビリティ設定(描画品質)を下げても、 最終的なパッケージ品質には影響しません 。エディタ上の表示品質だけの話なので、開発中はPCスペックに合わせて遠慮なく下げてOKです。

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実践:最初のコミットで「タイムマシン」を動かす

設定の話だけで終わらせず、いちばん大事な「保険」が本当に効くのかを確かめておきましょう。ここでは最初のコミットを作り、 わざとファイルを壊して、無事に戻す ところまでやります。この体験を一度しておくと、以後の開発で「思い切った実験」が怖くなくなります。

左は立方体を置いて旗を立てる(コミット)、右は消しても旗から復元できる。最初のコミットでタイムマシンが動き出す

プロジェクトフォルダ(.uproject があるフォルダ)でターミナルを開き、次を実行します。

git init
# 上で紹介した UE5用 .gitignore をプロジェクト直下に置いてから:
git add .
git commit -m "Initial commit"

これで旗(セーブポイント)が1本立ちました。次に、タイムマシンを試運転します。

  1. エディタでレベルに適当なCubeを1つ置き、保存します
  2. git status を実行し、 変更として出てくるのが Content/ 以下だけSaved/ などが出てこない)ことを確認します。これが .gitignore が効いている証拠です
  3. git add .git commit -m "Add test cube" で2本目の旗を立てます
  4. ここからが本番。エディタでそのCubeを 削除して保存 し、一度エディタを閉じます
  5. git checkout -- . を実行してからプロジェクトを開き直すと、消したはずのCubeが元どおりに戻っています

「消しても、戻せる」を自分の手で確認できたら、この実践は完了です。もし手順2で Saved/Intermediate/ が大量に出てきたら、.gitignore がプロジェクト直下に置けていないか、ファイル名が間違っています(gitignore.txt になっている事故が定番です)。

ポイントは2つです。

  • コミットは「作業の区切り」ごとに: 「ギミックが1つ動いた」「アセットを整理した」——動く状態になるたびに旗を立てる癖をつけると、いつでも「最後に動いていた時点」へ戻れます
  • 仕組みの詳細は専門記事へ: Git LFSの導入や、バイナリ競合を避けるUE特有の運用(One File Per Actor)は UEプロジェクトのGit運用 で扱っています。まずは「コミット=セーブポイント」の1点だけで十分戦えます

おまけ:先に知っておくと良いこと

設定項目目的確認場所ベストプラクティス
1. ソース管理開発履歴の管理と安全性プロジェクト直下+[ツール] > [ソース管理]UE5用 .gitignore で生成物を除外
2. マップ&ゲームモード起動レベルとルールの定義[プロジェクト設定] > [マップ&モード]Editor用は軽いレベル、Game用はタイトル画面
3. 入力設定Enhanced Inputの確認[プロジェクト設定] > [エンジン] > [入力]UE5.1以降は確認のみでOK
4. エディタ言語検索・トラブル解決の効率化[エディタの環境設定] > [地域と言語]慣れてきたらEnglish推奨
5. パフォーマンスPC負荷の軽減ビューポートの[リアルタイム]・環境設定リアルタイムオフ+フレームレート制限

まとめ

  • 初期設定は「ゲーム作りと関係ないトラブル」への 前払いの保険 。最初の30分で済ませる
  • ソース管理は一人開発でも必須。 コミット=セーブポイント.gitignore=「生成物は入れない」フィルタ
  • Enhanced InputはUE5.1以降 最初から有効 。仕組み(IAとIMCの分離)だけ頭に入れておく

足場が整ったら、エディタUIの基本で操作を体に入れ、アセット管理入門でフォルダ構造の育て方を押さえましょう。学習の全体像はUE5学習のロードマップへ。

試運転で消したCubeが戻ってきた、あの「いつでも元に戻せる」という安心感が、これからのあなたの実験を支えてくれます。