【Unreal Engine】UE5のライティング入門:4つのライトとLumen、暗い画面の直し方

作成: 2026-07-20

UE5のライティングを図解。Directional/Point/Spot/Rectの使い分け、Mobilityが決めること、既定で有効なLumen、そして「画面が暗い」の犯人になりやすい自動露出の止め方まで。

レベルにライトを1つ置いて、明るさを10倍にしてみる。ところが画面はほとんど変わりません。逆に消してみても、真っ暗にはならず薄暗いままです。

UE5のライティングは、 光源・Mobility・Lumen・露出 の4つが噛み合って絵になります。どれか1つだけを触っても結果が動かないため、最初は手応えがつかめません。この記事では、4種類のライトの使い分けから、Mobilityが実際に決めていること、既定で動いているLumen、そして「暗い」「明るすぎる」の犯人になりやすい自動露出の止め方までを解説します。

4種類のライトに照らされた白い空間と、ソフトブルーの人形

この記事でわかること

  • 4つのライト( Directional / Point / Spot / Rect )の使い分け
  • Mobility が決めているのは「焼くか、その場で計算するか」
  • UE5で既定で動いている Lumen が何をしているか
  • 「暗い」の犯人はライトではなく 自動露出 であることが多い
  • 実践: 真っ暗な洞窟を3灯で見せる

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4つのライトの使い分け

Place Actorsパネルの「Lights」には5種類が並びますが、そのうち 直接光を出す主要な4つ から押さえます(残る1つのSky Lightは後半で扱います)。4つは 光の出かた が違うので、現実の何にあたるかで覚えると迷いません。

ライト光の出かた現実でいうと主な用途
Directional Light平行光線。位置は無関係で 向きだけ が効く太陽屋外の主光源。1レベルに1つが基本
Point Light1点から全方向へ裸電球、たき火屋内の照明、松明、光る小物
Spot Light円錐状に一方向へ懐中電灯、ステージ照明誘導、演出、車のヘッドライト
Rect Light四角い面から窓、蛍光灯パネル、モニター窓明かり、柔らかい室内光
4種類のライトの光の出かたを、平行線・放射・円錐・面から広がる形で示した比較図

Directional Lightだけは位置を動かしても何も変わりません 。太陽と同じで、無限に遠くから平行に届く扱いだからです。明るさと向き、そして色だけが効きます。回転させると、そのまま時刻の変化になります。

Point LightとSpot Lightで最初に触るのは Attenuation Radius (減衰半径)です。これは明るさではなく 光の影響を打ち切る上限の範囲 で、この球の外へは一切届きません。「ライトを置いたのに床が照らされない」ときは、たいていこの半径が足りていません。

新規に配置したPoint Lightの既定値は Intensity 8.0 cdAttenuation Radius 1000 です。

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Mobilityが決めていること

どのライトにも、詳細パネルの一番上に Mobility の3択があります。ここが初心者にとって分かりにくいのですが、決めているのは 「光の計算をいつやるか」 です。

Mobility計算のタイミングできることできないこと
Staticビルド時に焼き付ける最も軽い実行中に一切変えられない
Stationary一部を焼き、一部をその場で色・強さを実行中に変えられる移動はできない。重なりに上限がある
Movable毎フレームその場で計算移動・点滅・すべて自由最も重い
Static/Stationary/Movableを「事前に焼く」「一部だけ焼く」「毎回その場で計算する」で対比した図

ここで、UE5では重要な前提があります。 Lumenを有効にしていると、Staticライトを焼いた結果はGIとして使われません。 LumenとベイクしたライトマップのGIは併用できず、Lumen側が優先されるためです。

つまり、次の二択になります。

方針ライトのMobilityBuild Lighting
Lumenを使う(UE5の既定)Movable または Stationary不要
ベイクに戻すStatic 中心必要(先にLumenを無効化する)

個人開発では、 まずMovableで作る のが現実的です。UE5のLumenは動的な光を前提にしているため、Movableのままでも十分に見える絵になります。

「Staticにしたら真っ暗になった」という現象は、 ベイク方式を選んだのにBuild Lightingを実行していない ときに起きます。Lumenのまま試している場合は、そもそもStaticにする意味がありません。

補足: Mobilityは、ライトだけでなくStatic Mesh Actorにもあります。 動かすメッシュをStaticのままにすると、影の位置がずれたまま固まります 。動かす物はメッシュ側もMovableにしてください。

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Lumen:置いていない光が回り込む

UE5の標準テンプレートでは Lumen が既定で有効です。これは 動的なグローバルイルミネーション(GI) の仕組みで、ひとことで言えば 光の跳ね返りを自動で計算するもの です。

直接光だけでは影が真っ黒だが、Lumenでは壁からの跳ね返りで影の中も見えることを示した対比図

赤い壁に白い光を当てると、その手前の床がうっすら赤みを帯びます。窓から差した光が、直接当たっていない天井まで明るくします。こうした 置いていない光 を、Lumenがリアルタイムで作っています。

Lumenが担当しているのは2つです。

機能Project Settingsの項目効果
Dynamic Global IlluminationDynamic Global Illumination Method光の跳ね返り。影の中が真っ黒にならない
ReflectionsReflection Method映り込み。床や水面に周囲が映る

どちらも Lumen になっていれば有効です。 Edit > Project Settings > Engine > Rendering で確認できます。

Lumenがあるおかげで、ライトを大量に置かなくても空間が成立します。1つ置けば、その光が壁や床を伝って周囲へ回るためです。

なお「ライトを強くしても変化が薄い」と感じる主な原因は、Lumenではありません。次の節で扱う 自動露出 です。

「暗い」の犯人は露出かもしれない

もう1つ、そしてより多い原因が 自動露出(Auto Exposure / Eye Adaptation) です。

UEの既定では、カメラが人間の目のように 明るさへ順応 します。暗い場所へ行けば徐々に見えるようになり、明るい場所ではまぶしさが落ち着きます。この機能が働いているため、 ライトを強くしても、カメラ側が絞って元の明るさに戻してしまう のです。

ライトを強くしても自動露出が絞り返すため画面の明るさが変わらないことを示した図

ライティングを調整するときは、まずこれを止めます。

  1. Place Actorsから Post Process Volume をレベルに配置する
  2. 詳細パネルで Infinite Extent (Unbound) にチェック を入れる(レベル全体に効かせるため)
  3. Lens > Exposure を開く
  4. Min EV100Max EV100 を同じ値にする(たとえば両方 1.0

これで明るさが固定され、ライトを変えた分だけ素直に画面が変わります。 ライティングの調整は、露出を止めてから始めてください。 順番が逆だと、何を変えても効果が打ち消されて見えます。

補足: 完成時に自動露出を戻すかどうかは作品次第です。洞窟から屋外へ出た瞬間のまぶしさは演出になりますが、UIの視認性が変わってしまう問題もあります。露出の細かい調整はPost Process Volumeの記事で扱っています。

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実践:真っ暗な洞窟を3灯で見せる

ホラーゲームの洞窟、ダンジョンRPGの通路、脱出ゲームの倉庫。 暗い屋内をどう見せるか は、ジャンルを問わず必ずぶつかります。太陽が使えない空間で、3つのライトだけで 「見える暗さ」 を作ります。

完成形

真っ暗だった空間が、松明のまわりだけ暖かく照らされ、奥の出口が光って見える状態になります。

真っ暗な洞窟が、Sky Light・松明のPoint Light・出口のSpot Lightの3灯で見えるようになる前後の比較図

再現条件

Third Person テンプレート で新規プロジェクトを作り、File > New Level > Basic で新しいレベルを開いて、次の状態にします。

手順内容
1Player Start を配置し、World Settingsの GameMode OverrideBP_ThirdPersonGameMode にする(これがないと歩けません)
2既定で置かれている Directional Light を削除 する(太陽を消す)
3Sky Atmosphere・Volumetric Cloud・Exponential Height Fog も削除 する(屋内なので不要)
4Sky Light は残す(Basicレベルには最初から入っています。後で使います)
5既定のFloorを引き伸ばして通路を作り、両側と天井にもCubeで壁を立てる
6Post Process Volumeを配置し、Infinite Extent (Unbound) をオン、Min EV100Max EV100両方 1.0

この時点でPlayすると、 画面はほぼ真っ黒 です。ここから3灯を整えていきます。

1灯目:Sky Lightで底上げする

新しく追加せず、レベルにある Sky Light を選択 して設定を変えます(追加すると2個になり、意図しない明るさになります)。

項目
MobilityMovable
Source TypeSLS Specified Cubemap
Cubemap適当な明るめのHDRIキューブマップ(未設定なら Real Time Capture をオフにして Intensity Scale で調整)
Intensity Scale0.1

注意: Sky Atmosphereを消したあと、Source Typeが SLS Captured Scene のままだと、 真っ黒になった空をキャプチャして光をほとんど出しません 。「Sky Lightを置いたのに何も変わらない」の原因はここです。Cubemapを指定するか、キャプチャの対象がある状態にしてください。

真っ黒だった影の中が、 輪郭がぎりぎり見える程度 に持ち上がります。ここを0にすると、光の当たらない場所が完全な黒になり、プレイヤーは何も判断できません。 「暗い」と「見えない」は別物 で、その境界を作るのがこの1灯です。

2灯目:松明のPoint Light

通路の途中に Point Light を置きます。

項目
MobilityMovable
Intensity UnitsCandelas (cd)
Intensity50.0 cd
Attenuation Radius400.0
Light Colorオレンジ寄り(R 1.0 / G 0.6 / B 0.3 程度)

Attenuation Radiusの球が「影響が届く上限」です。 半径を200まで下げると、光が足元しか届かなくなる のが確認できます。ここを動かして、光の届く距離を体感してみてください。

明るさは距離の2乗で落ちます。50 cdなら1m先で約50 lux、2m先では約12 luxです。「思ったより暗い」ときは、 Intensityを2倍ではなく4倍 にすると距離1段ぶんの感覚に合います。

3灯目:出口へ誘導するSpot Light

通路の奥に Spot Light を、出口の方向から手前へ向けて置きます。

項目
MobilityMovable
Intensity UnitsCandelas (cd)
Intensity500.0 cd
Attenuation Radius1500.0
Inner Cone Angle20.0
Outer Cone Angle40.0

Inner とOuter の差が ふちのぼけ具合 です。同じ値にすると輪郭がくっきりし、差を広げるほど柔らかくなります(既定は Inner 0 / Outer 44)。

遠くまで届かせるには、Point Lightよりずっと大きな数値が要ります。 10m先を照らすなら数百cdから が出発点です。

確認する

Playして通路を歩いてください。 松明に近づくと壁がオレンジに染まり、離れると青みがかった暗がりに戻り、奥に白い出口の光が見えていれば成功 です。

  • まったく変化がない → Post Process Volumeの Infinite Extent (Unbound) が入っていない
  • 強くしても明るくならないMin EV100Max EV100 が違う値のまま(露出が動いている)
  • ライトの近くだけ光って床が暗いAttenuation Radius が足りない
  • 影が真っ黒で何も見えない → Sky Lightの Source TypeSLS Captured Scene のまま。空を消したので、真っ黒をキャプチャしている
  • そもそも歩けないGameMode Override が未設定か、Player Startが無い
  • 全体が妙に明るい → Sky Lightを追加して2個になっている(World Outlinerで確認)

ここで 松明のPoint Lightだけを消して みてください。周囲のオレンジの照り返しも一緒に消えます。壁を赤系の色にしておくと、Lumenによる跳ね返りの違いがはっきり分かります。

ポイントは2つです。

  • 暗い場所ほど「底上げの1灯」が要る: 主役のライトより先に、Sky Lightで最低限の明るさを作ります。これが無いと、光の当たらない場所が真っ黒になり、プレイヤーは壁があるのかどうかも判断できません
  • 範囲は Attenuation Radius が決める: PointとSpotは、Intensityを上げても半径の外へは一切届きません。「明るくならない」と感じたら、強さより先に半径を疑ってください

光を置いたら、次は色と質感の最終調整です。全体のトーンを整える方法はPost Process Volumeの記事へ続きます。

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Lumenが効いていないときのチェック

「跳ね返りが出ない」「映り込みが真っ黒」というときは、次の順に確認します。

確認する場所見るところ
Project Settings > RenderingDynamic Global Illumination MethodLumen
同上Reflection MethodLumen
同上Generate Mesh Distance Fieldsオン か(Lumenを Software Ray Tracing で動かす場合に必要)
メッシュの大きさ極端に小さい物や薄い板は、Lumenの計算に乗りにくい
プロジェクトの世代UE4から移行したプロジェクトは、既定がLumenではないことがある
プロジェクトの想定環境Lumenが既定で有効なのは、デスクトップ向け・品質Maximumで新規作成した場合。Mobile / Scalable / VR / Forward Shading では当てはまらない

Generate Mesh Distance Fields を切り替えた場合は エディタの再起動が必要 です。設定したのに変わらないときは、再起動を挟んでみてください。

なお、対応GPUで Hardware Ray Tracing を有効にしている場合、Lumenはメッシュそのものを直接たどるため、Distance Fieldsへの依存は下がります。ただし非対応環境へのフォールバックを残すなら、オンのままにしておくのが安全です。

ビューポート左上の Lit > Lumen から、Lumenの内部表現を可視化するモードも選べます。「そこに物があると認識されているか」を目で確かめられます。

おまけ:先に知っておくと良いこと

  • 屋外はDirectional + Sky Light + Sky Atmosphereの3点セット: この3つが揃って初めて自然な屋外になります。Sky Lightが無いと、日陰が不自然に真っ黒になります
  • Intensityの単位は種類ごとに違う: Directional Lightは lux 固定です。Point / Spot / Rect は Intensity Unitscd(カンデラ)・lmUnitless から選べ、標準設定の既定は cd です。同じ「10」でも意味が変わるので、数字を他のライトから流用しないでください
  • ライトは重ねるほど重い: 特にMovableで影を落とすライトは負荷が高くなります。演出用の小さな光は、影の投影(Cast Shadows)を切るだけでかなり軽くなります(→ 計測の記事
  • Emissiveマテリアルも光を出す: Lumenが有効なら、自己発光するマテリアルからの間接光が周囲に回ります。ネオンや魔法陣の「にじみ」はこれで作れます。ただし 主照明の代わりにはなりません 。Emissive値を1より十分大きくする必要があり、小さく強い面はちらつきやすく、鋭い影も作れません。確実に照らしたい場所にはライトを併用してください(→ マテリアルの記事
  • たくさんのライトを置きたいなら、専用の仕組みがあります: 「動くライトを増やすほど重い」という前提そのものを変える MegaLights という機能が用意されています。多数の動的ライトに影を落とさせても破綻しにくい仕組みで、ネオン街・多数のたいまつ・大量の魔法エフェクトのような画づくりが現実的になります。 お使いのバージョンで使えるかは Project Settings → Rendering で確認 してください(対応環境の条件があります)
  • 重いと感じたらベイクへ: 実行時の負荷を大きく下げる選択肢です。ただし Lumenを無効にしてから 行います(Project Settingsで Dynamic Global Illumination MethodNone にし、Allow Static Lighting をオンにする)。そのうえで動かさないライトをStaticにして Build Lighting Only で焼きます。焼き直しに時間がかかるため、レベルの形が固まってからにしてください

まとめ

  • 主要な直接光は4種類。 Directionalは向きだけ、Point/Spot/Rectは Attenuation Radius が影響の届く上限を決める
  • Mobility は「いつ光を計算するか」 。Lumenを使う間はMovable/Stationaryで、Staticのベイクは併用できない
  • UE5は Lumen が既定で有効 。置いていない跳ね返りの光が自動で回り込む
  • 「暗い」の犯人は自動露出のことが多い 。調整の前に Min EV100Max EV100 を揃えて止める
  • 暗い空間では Sky Lightによる底上げ が要る。「暗い」と「見えない」は別物

いま作っているレベルで、プレイヤーに最初に見てほしいものはどこにあるでしょうか。そこへ光を1つ置くところから始めてみてください。