【Unreal Engine】Modeling Modeでグレーボクシング:外部DCCなしでレベルの形を作る

作成: 2026-07-23

Blenderなしで、UEの中だけでレベルの形を組むグレーボクシング入門。見た目より先に広さ・高さ・距離を確かめる工程の意味、Modeling Modeへの入り方(Shift+5)、Box/Cylinder/Stairsの置き方、PolyEditやBooleanで部屋を彫る方法、プレイヤーカプセルを基準にした寸法感覚まで。小さな見張り塔をグレーボックスで建てて登れるようにします。

ゲームのレベルを作ろうとして、いきなりBlenderで壁や床のモデルを作り始める。でも、いざUEに並べてみると、「通路が狭すぎる」「天井が低くて圧迫感がある」「ジャンプが届かない」と、寸法のやり直しが続きます。見た目を作り込む前に、まず 広さ・高さ・距離の手触り を確かめたい。

それを、外部ソフトなしでUEの中だけでやるのが グレーボクシング です。UE5の Modeling Mode を使えば、箱や階段をその場で置いて、ゲームの面白さを検証できます。この記事では、Modeling Modeの入り方から、箱を彫って部屋や塔を組むまでを、小さな見張り塔を建てながら解説します。

灰色の箱と階段で組んだ見張り塔のグレーボックスに、ソフトブルーのクレイ人形が登っていくイメージ

この記事でわかること

  • グレーボクシングとは: 見た目より先に広さ・高さ・距離を確かめる
  • Modeling Modeへの入り方(Shift+5
  • Box / Cylinder / Stairs を 数値指定で置く
  • PolyEditBoolean で部屋を彫る
  • プレイヤーカプセルを基準にした 寸法感覚
  • 実践: 登れる見張り塔をグレーボックスで建てる

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グレーボクシングとは何か

グレーボクシング(greyboxing) とは、テクスチャや装飾を付けない 灰色の箱だけ でレベルの形を組み、 遊びの手触りを先に確かめる 工程です。ブロックアウトとも呼ばれます。

装飾なしの灰色の箱で組んだステージ(左)と、それを土台に見た目を差し替えた完成ステージ(右)を対比した図

なぜ見た目を後回しにするのか。それは、 面白さは寸法で決まる からです。

  • 広さ: この部屋は広すぎて間延びしないか、狭すぎて窮屈でないか
  • 高さ: 天井は圧迫感がないか、ジャンプで届く高さか
  • 距離: 足場と足場の間隔は、ちょうど良い緊張感か

これらは、綺麗なテクスチャを貼っても解決しません。むしろ、見た目を作り込んだ後に「やっぱり通路が狭い」と気づくと、モデルの作り直しになります。だから 灰色の箱のうちに、寸法だけを何度も調整する 。これがグレーボクシングの狙いです。

Modeling Modeへの入り方

Modeling Modeは、UE5.0以降 エディタに標準搭載 されています。別途インストールは不要です。

ビューポート左上のモード切替ドロップダウンからModelingを選ぶ、またはShift+5で入る様子を示した図

入り方は2つあります。

  • モード切替から: ビューポート左上の、Select Mode と書かれたドロップダウンを開き、Modeling を選ぶ
  • ショートカット: Shift + 5 を押す

Modeling Modeに入ると、左側に道具のパネルが並びます。Create(作る)・PolyEdit(彫る)・Boolean(くり抜く)など、カテゴリごとに道具がまとまっています。まずはCreateから箱を置いてみるのが、いちばん分かりやすい第一歩です。作業が終わったら、Select Mode(または Shift + 1)で通常のモードへ戻ります。

箱・円柱・階段を置く

Modeling ModeのCreate系ツールで、基本の形をその場に置けます。グレーボクシングで最もよく使うのは、この3つです。

BoxでサイズをX/Y/Zの数値で指定して置き、Cylinderで柱、Stairsで階段を作る様子を示した図
  • Box(箱): 床・壁・足場の基本。ツールを選び、DimensionsX / Y / Z を数値で指定 してサイズを決められます
  • Cylinder(円柱): 柱・タンク・丸い足場に
  • Stairs(階段): 段数・1段の高さ・幅を指定して、階段を一発で作れます

ポイントは、 サイズを数値で指定できる ことです。目分量で伸ばすのではなく、「幅200cm・高さ300cmの壁」のように数値で置けるので、寸法をきっちり管理できます。グレーボクシングでは、この数値指定が寸法検証の土台になります。

PolyEditとBooleanで彫る

箱を置くだけでなく、 箱を彫って部屋の形にする のがModeling Modeの強みです。ここで使うのが PolyEdit と Boolean です。

PolyEditのExtrudeで面を押し出し、Insetで内側に段を作り、Booleanで箱から窓や入口をくり抜く様子を示した図
  • PolyEdit(ポリゴン編集): 箱の面を選んで編集します。Extrude で面を押し出して壁を伸ばし、Inset で面の内側に一回り小さい面を作る、といった操作で、箱から部屋の凹凸を彫れます
  • Boolean(ブーリアン): 2つの形の重なりを使って、片方でもう片方を くり抜きます 。壁の箱に、小さな箱を重ねてBooleanすれば、窓や入口の穴が空きます

たとえば「箱を置く → PolyEditで壁を上へExtrude → 入口用の小さな箱を重ねてBooleanでくり抜く」の流れで、入口のある部屋が組めます。外部のモデリングソフトを立ち上げることなく、UEの中だけで部屋の形が作れる、これがModeling Modeの便利さです。

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守ると後で楽になる寸法感覚

グレーボクシングで一番大事なのは、道具の使い方ではなく 寸法感覚 です。そして、寸法を測る基準は プレイヤーのカプセル です。

プレイヤーのカプセル(標準的な高さ)を基準に、通路幅・天井高・段の高さを測る様子を示した図

UEの標準的なキャラクターは、Character Movement のカプセルで大きさが決まっています。この カプセルを物差し にして、寸法を決めます。

  • 通路幅: カプセルが余裕を持って通れるか。狭すぎると引っかかる
  • 天井高: カプセルの頭上に余裕があるか。ジャンプで頭をぶつけないか
  • 段の高さ: 1段の高さが、キャラクターの Step Height を超えていないか。超えると登れず、階段として機能しません

特に 段の高さと Step Height の関係 は、グレーボクシングでよくつまずくポイントです。見た目には階段でも、1段が高すぎるとキャラが登れません。Modeling ModeのStairsで作るときは、1段の高さをStep Height以下に収めるのが鉄則です。数値で置けるModeling Modeなら、この調整が簡単にできます。

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実践:登れる見張り塔を建てる

アクションの攻略ポイント、ステルスの監視塔、アスレチックの中間ゴール。 「登れる塔」 は、多くのゲームで欲しくなる構造物です。ここではその一棟を、Modeling Modeのグレーボックスで、実際に登れるところまで建てます。

作るのは、 Boxで土台を組み、PolyEditで壁を立て、Stairsで階段を回し、Booleanで入口をくり抜いた、屋上まで登れる見張り塔 です。

動かすとこうなります。PIEでキャラクターを操作すると、塔の入口から中へ入れて、階段を登って屋上まで行けます。屋上にはコインを置いてあり、「登ってでも取りに行きたい形か」を、実際に登って確かめられます。

見張り塔のグレーボックスにキャラが入口から入り、階段で屋上まで登ってコインを取る一連の流れを示した実例図

手順

ステップやること
1. 土台Box で塔の土台(例:500×500×100cm)を置く
2. 壁Box で四方の壁を立てる、または PolyEdit で床から壁を Extrude
3. 階段Stairs で階段を作る。1段の高さは Step Height 以下
4. 入口小さな Box を壁に重ねて Boolean でくり抜く
5. 検証PIEで実際に登る。屋上にコイン(総仕上げ:コイン集めゲーム で作るもの)を置く

確かめる

PIEでキャラクターを塔へ向かわせてください。うまくいけば、 入口から入って、階段で屋上まで登れます 。屋上のコインまでたどり着ければ成功です。

うまくいかないときの切り分けです。この 寸法の検証こそがグレーボクシングの本番 です。

  • 途中の段で登れず止まる → 1段の高さが Step Height を超えています 。StairsのStep Heightを下げて作り直す(Character Movement のStep Heightと見比べる)
  • 入口が通れない・引っかかる → 入口の幅がカプセルに対して狭い。Booleanでくり抜く箱を大きくする
  • 屋上から落ちる・柵がない → 手すりのBoxを足す。寸法検証の一部として、落下対策も見る

ポイントは2つです。

  • 寸法検証が本番: 綺麗な塔を作ることではなく、「登れるか」「登りたくなるか」を確かめるのがグレーボクシングです。段が登れないなら、それは見た目でなく寸法の問題。ここを何度も調整します
  • 数値で置けるから直せる: Modeling Modeは数値でサイズを決められるので、「段を5cm低く」といった微調整がすぐできます。目分量のモデリングより、寸法の作り直しがずっと速いです

おまけ:先に知っておくと良いこと

形が決まったらアセットへ差し替える。 グレーボックスで「面白い形」が確定したら、その灰色の箱を土台に、Fabのアセット や自作モデルで見た目を差し替えます。「まず形、あとで見た目」の順で進めると、寸法の作り直しに巻き込まれずに済みます。グレーボックスは捨てる前提の下書きだと考えてください。

生成メッシュの保存先とコリジョン。 Modeling Modeで作ったメッシュは、Project Settings > Plugins > Modeling Mode の Asset Generation Location で決めた場所(既定はレベルと同階層の _GENERATED フォルダ)に保存されます。また、生成されたメッシュにはSimple Collisionが付くので、壁や床としてすぐ機能します。思ったように当たり判定が効かないときは、生成メッシュのコリジョン設定を確認してください。

屋外はLandscape、人工物はModeling Mode。 地形や山のような自然物は Landscape が向き、部屋・塔・通路のような人工物はModeling Modeが向きます。この分担を覚えておくと、レベル制作でどちらの道具を使うか迷いません。

まとめ

外部ソフトなしのレベル制作は、次の流れで進みます。

段階やること道具
入るModeling ModeへShift+5 / モード切替
置く基本の形を数値でBox / Cylinder / Stairs
彫る部屋・入口を作るPolyEdit(Extrude/Inset)/ Boolean
検証登れるか・遊べるかPIEで寸法を確かめる

そして貫く原則が、 見た目より先に寸法 ということです。灰色の箱のうちに広さ・高さ・距離を作り込めば、あとから見た目を差し替えるだけで、遊びの手触りは保たれます。

これで、Blenderなしでもレベルの形が組めるようになりました。あなたの作りたいステージで、プレイヤーが一番わくわくする「登れる場所」はどこでしょうか。まずは灰色の箱を1つ、置いてみてください。

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