モデルもライティングも作り込んだのに、 なぜか画面が締まらない 。作例で見たような雰囲気にならない。ここで使うのが Post Process Volume です。撮影した写真を現像するように、 できあがった映像の最後の仕上げ を担当します。
ただ、この機能には初心者が確実につまずく箇所が2つあります。 置いたのに効果が出ない ことと、 暗い場所で勝手に明るくなる ことです。この記事では、その2つの対処と色を作る手順、そして 洞窟に入ると空気が変わる 演出の作り方を解説します。
この記事でわかること
- 効果が出ないのは カメラがボリュームの外にいる から(Unbound)
- 暗所で明るくなるのは 自動露出 の働きで、止め方がある
- 色を作る順番は 露出 → コントラスト → 色温度 → 彩度
- エリアごとの切り替えは Priority と Blend Radius
- 実践:洞窟に入ると 空気が変わる 演出を作る
ポストプロセスは「現像」
ポストプロセス とは、 すべてが描画された後 に、できあがった画面全体へ処理を掛けることです。

料理でいえば、モデルとライティングが 素材と調理 、ポストプロセスが 盛り付けと味の調整 にあたります。順番が大事で、 素材が悪いものをポストプロセスで救うことはできません 。
だからこの記事の内容は、 ライティングをある程度組んだ後 に効いてきます。真っ暗なシーンの色味をいくら調整しても、明るくはなりません。
Lumenとの役割分担: UE5では光の回り込みや反射を Lumen が計算します。 物理的にどう光るかはライティングとLumen、最終的な見え方はポストプロセス です。この線引きを持っておくと、どちらを触るべきか迷いません。
つまずき①:効果が出ない
Place Actors から Post Process Volume をレベルに置き、設定をいじってみる。 それでも何も変わらない 。最初にほぼ全員がここで止まります。

理由はシンプルで、 Post Process Volumeは、カメラがその箱の中に入ったときだけ効く からです。レベルの片隅に小さな箱を置いても、プレイヤーがそこに入らなければ何も起きません。
シーン全体に効かせたいなら、詳細パネルで Infinite Extent (Unbound) をオンにします(検索窓に unbound と入れると早いです)。これで 箱の位置や大きさに関係なく、常に適用される ようになります。
使い分けはこうです。
| 種類 | Unbound | 用途 |
|---|---|---|
| ベースボリューム | オン | ゲーム全体の基本の色味。1つ置く |
| ローカルボリューム | オフ | 洞窟・水中・特定の部屋だけの演出 |
まずは Unboundのベースを1つ置く ところから始めてください。
つまずき②:勝手に明るくなる
次に出会うのがこれです。暗い洞窟に入ったのに、 数秒待つと画面が明るくなって、暗さの演出が台無しになる 。

これは不具合ではなく 自動露出(Auto Exposure) の働きです。人間の目が暗闇に慣れるのと同じ仕組みで、UEは 画面の明るさを見て、露出を自動調整 しています。
リアルではあるのですが、 演出として暗さを保ちたいときには邪魔になります 。止め方は2つです。
方法1:範囲を狭めて固定する
Exposure カテゴリで、Min EV100 と Max EV100 を 同じ値 にします。これで自動調整の余地がなくなり、明るさが固定されます。
方法2:Metering Modeを Manual にする
完全に手動で決める方法です。この場合、明るさはカメラの Exposure Compensation などで決まります。
まずは方法1で十分です。 ゲームの明るさを1つに決め打ちしてしまうと、屋外と屋内で調整が効かなくなります。 「範囲を狭める」 ほうが扱いやすく、後から広げることもできます。
自動露出を残す場合でも、 Speed Up / Speed Down(順応の速さ)を調整すると、切り替わりの唐突さを抑えられます。
色を作る順番
設定項目は膨大ですが、 触る順番を決めておく と迷いません。

| 順番 | 項目 | 場所 | 効果 |
|---|---|---|---|
| ① | 露出 | Exposure | まず全体の明るさを決める |
| ② | Contrast | Color Grading → Global | メリハリ。1.0 → 1.1 程度から |
| ③ | Temperature | Color Grading → Temperature | 暖色/寒色。雰囲気を最も左右する |
| ④ | Saturation | Color Grading → Global | 彩度。下げると渋く、上げると鮮やかに |
明るさを先に決める のが重要です。露出が定まっていない状態で色をいじると、あとで明るさを変えたときに色の印象も変わってしまい、やり直しになります。
雰囲気づくりの目安をいくつか挙げておきます。
| 出したい雰囲気 | 調整 |
|---|---|
| 暖かい・ノスタルジック | Temperatureを暖色側へ/Saturationを少し下げる |
| 寒々しい・不穏 | Temperatureを寒色側へ/Contrastを上げる |
| 色あせた・退廃的 | Saturationを大きく下げる/Contrastを少し下げる |
そして仕上げに Vignette(画面端を暗くする)を ごくわずかに 入れると、視線が中央に集まって画面が締まります。Bloom(光の滲み)も同様で、 強くすると一気に安っぽくなる ので控えめに。
調整は必ずチェックボックスをオンにしてから。 各項目の左にあるチェックが入っていないと、値を変えても反映されません。「動かしているのに変わらない」ときは、ここを疑ってください。
実践:洞窟に入ると空気が変わる
ホラーゲームの地下室、RPGのダンジョン、アドベンチャーの水中——「特定のエリアに入ると画面の雰囲気が変わる」演出は、没入感に直結します。ここでは